【リニア】JR社長改めて「静岡の未着工が2027年開業難しく」 打開策は静岡へのメリット? 「空港新駅」「新幹線の増便」
16日、JR東海の金子慎社長は会見を開き、改めて「静岡工区での未着工が2027年開業を難しくしている」と、強調しました。
JR東海 金子慎社長(16日):「2020年6月に知事と会い、工事の着手をお願いした。その時点は、それから直ちにヤードの整備などに着手をして、その後工事が極めて順調に進むことを前提に、2027年開業にギリギリというタイミングだった。了解がもらえなかったので、その時点で2027年開業は難しい状態になった。今から仮に着手しても、遅れを取り戻すことはできないまま今日に至っている」
日に日に、開業の遅れが現実味を増す中、県外では事態の打開に向けた動きが進んでいます。そのポイントが…
静岡へのメリット① 「空港新駅」
つまり、工事が始まらない静岡県に対し、リニア開業によるメリットを示すことで理解を深めようというもの。先日、沿線10都府県の知事が参加する期成同盟会はリニア開業による効果を最大化させるための研究会を立ち上げました。その主な議題の一つが、「空港新駅」です。
静岡県 川勝平太知事(16日):「中央新幹線の小委員会、ここでリニアっていうのは東京から大阪まで結んで初めてその機能が発揮できるということ。その暁には“新駅”の可能性もあるとうたっている」
県は、東海道新幹線が空港の真下を通る環境を生かそうと、新幹線の新しい駅を設置する構想を持ち続けてきました。その上で、技術的な可能性や地域への効果などを調査するため、2014年から2019年にかけて、4750万円を計上しています。
静岡県 川勝平太知事(16日)
Q.空港新駅については、県としていったん調査費の予算計上を見送っているが、そうした中で県としてどんなアプローチをしていきたいか?
A.調査費を止めたんじゃなくて終わった。もし造るとなれば、そこに造れるだけの工学的な知見を得られている。熱海型(待避線なし)にするか、通過待ちができる形にするか、こうしたことを全てできるかどうか調査した。それは一応終わっているということ。
一方、JR東海は、掛川駅との距離が短いことなどを理由に建設の可能性を一貫して否定しています。
静岡へのメリット② 「新幹線の増便」
「空港新駅」と同様に、静岡県へのメリットとして挙げられているのが「新幹線の増便」。JR東海は、品川―大阪間でリニアが開業すれば、のぞみの数を減らし、その分、静岡県に止まる「ひかり」「こだま」の本数を増やせるとしていますが、具体的な本数などは、示していません。
Q.リニア開業後の東海道新幹線のひかりとこだまの増発について、金子社長が2010年5月10日の国交省の交通政策政策審議会小委員会で名古屋開業段階でも、中間駅のひかり、こだまが増えると発言しているが?
JR東海 金子慎社長(16日):「名古屋開業時点でどうなるかについては、まだイメージとして申し上げたということにとどめている段階だった。現在は、東海道新幹線の運転本数が、当時よりさらに増えて、ダイヤが稠密になっている現実がある。一方で中央新幹線の開業のメリットについて、「静岡県にも早く」という要望があることは私たちも承知しているので、名古屋開業時点で何かできることはないか検討しているのが今の段階」
リニア開業後、静岡県内に止まる新幹線がどれだけ増えるのかについては、岸田総理もこの夏までに取りまとめる方針を示しています。