【リニア】「今年は全線開業に向け、大きな一歩を」岸田総理の発言について静岡市長「歓迎したい」一方、川勝知事は怒りをあらわに…「批判をしているだけではもういけない段階」との指摘も
「これは歓迎したいなと思っています。やはり実質的に私たちにとって新幹線、ひかりの停車が増えるということは大変メリットがあります。ですので、岸田総理がそういう指示を出してくれたということは、私たちにとっては大変ありがたいことだと言うふうに思っています」
岸田総理「本年はリニア中央新幹線の全線開業に向け、大きな一歩を踏み出す年にしたい」
静岡市の田辺市長が10日の定例会見で言及したのが、今月4日に岸田総理が年頭会見で発言した「リニア開業後の東海道新幹線の増便」について。
その岸田総理の発言というのが・・・
岸田文雄総理大臣(4日):
「本年はリニア中央新幹線の全線開業に向け、大きな一歩を踏み出す年にしたい。その中で静岡工区に関しては水資源と環境保全について、地元自治体との調整あるいは国交省の有識者会議での議論をさらに進める。また、リニア開業後の東海道新幹線における静岡県内の駅等の停車頻度の増加について、今年夏をめどに一定の取りまとめを行い、関係者に丁寧な説明を行っていきたい」
JR東海が目標としてきた2027年の品川-名古屋間の開業が難しい状態になっているリニア中央新幹線。
開業後に静岡県内の駅に停車する東海道新幹線の便数をどのぐらい増やせるのか今年の夏までに取りまとめる考えを明らかにしました。
川勝知事「どんな一歩ですか」
静岡市の田辺市長が国の方針に歓迎の意思を示す一方で怒りをあらわにしたのが川勝知事です。
Q.(リニア新幹線について)岸田総理が『今年は全線開業に向け、大きな一歩を踏み出す年にしたい』と述べました。また、静岡県内の駅で東海道新幹線の停車頻度をどの程度増加できるかについて『今年夏をめどに一定の取りまとめを行いたい」と意欲を示しましたが知事の受け止めは?
川勝知事(5日):
「もうそれは計算されているでしょ、JR東海が。リニアが開通すれば、のぞみ機能がリニアに移りますからね。どんな一歩ですか。全部開通したらダイヤが変わりますからね。そして、ひかりとこだまが多くなるというのは言われていなくても常識です。リニアのサービスが1時間何本になるのかというようなことが分からないと、ひかりとこだまの回数がどれくらいになるのか分からない」
関係者によると、リニア開業後の東海道新幹線のダイヤについては不確定要素が多く、仮定をもとにしないと出すことができないといいます。
こうした背景もあって、JR東海はこれまで一貫して、静岡県内での“増便”の“試算”を明らかにしていません。
川勝知事(5日):
「リニアが全部開通しないと分からない。ほとんど机上の空論。真っ向から違うことを言っている、ご自身が。リニアの第一歩は、リニアから引く第一歩かもしれないと思うぐらい一貫していない」
静岡市長「批判をしているだけではもういけない段階に」
国の方針と真っ向から対立する姿勢を見せた川勝知事。
これに田辺市長は・・・
田辺信宏市長:
「知事もリニア推進を条件に同盟会に加入をされたのでやはりリニア推進という立場から、このひかりの停車が増えるという事は実質的な静岡市民にとってのメリットになるという風に思いますし、知事はリニア推進、反対ではないです。大推進だとおっしゃっているわけですから、それに向けて、知事の立場として取りまとめに努力をする。批判をしているだけではもういけない段階になっているんじゃないかなと。そんなふうに私は理解しています」
Q知事が言うには、要するにまだその時期尚早じゃないかと・・・
「時期尚早じゃないですよ。もう本当に、もう早く早くやらなければいけない。やっぱりこれは静岡県のみならず国策でありますし、神奈川県や愛知県や岐阜県からも期待をされることであります。時期尚早だという認識が私は思っていません」
キーパーソンは川勝知事との指摘も
一方、県内では10日こんな動きも・・・
市民団体:
「JR東海に対してこれまで通り実現可能な全量戻し方策についての科学的・工学的説明を求め続けてください」
10日午前、リニア問題に関する市民団体有志が県庁を訪れ、静岡工区についての要望書を川勝知事宛てに提出しました。
要望書にはJR東海に対する県の姿勢の他、大井川流域の市町との連携強化を求める内容が盛り込まれました。
リニア問題をめぐる川勝知事のへの“要望”は、きょうの田辺市長の会見でも…
田辺信宏市長:
「やはり今県知事がキーパーソンだと思います。やはり環境の問題と経済の問題をどう両立して行くか、どう合意を形成していくかっていうのが、政治の一番大事な役割ですね。その期待が流域の首長にもあります。ですので、知事も合意形成の作業をしてほしい。知事の任期中に何とかそれをしていただきたいということ。私は期待しています。