『新3区案』市の在り方をめぐって一つの節目を迎えた浜松市 6年半にわたる議論の舞台裏は?

79万人以上が住む浜松市。今年、市の在り方をめぐって一つの節目がありました。「新3区案」という新たな区割りの内定です。その舞台裏を取材しました。

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『新3区案』市の在り方をめぐって一つの節目を迎えた浜松市 6年半にわたる議論の舞台裏は?

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 浜松市に現在7つある行政区を再編しようというこの議論。これまで6年半にわたり、意見が交わされてきました。そして、今月内定した「新3区案」がこちら。

▼中区と東区、西区、南区、それに北区の一部をまとめた「A区」
▼浜北区と北区の大部分を含む「B区」
▼天竜区を単独で残す「C区」

課題は行政のコストカット

積年の議題の背景にあるのは「人口減少」。県内最多でも、少子高齢化などの問題を抱え、行政のコストカットが課題です。「新3区案」なら年間6億円以上の削減が見込まれています。

 議論のキーマン、自民党浜松の高林修議員です。

行政区再編特別委員会 
高林修委員長:「この1年についてはそれ(再編の議論)がスピードアップして、おかげさまで12月の段階で内定ということについては非常に安堵しています」

 高林議員は、再編を議論する市議会の特別委員会でおととしから委員長を務め、住民の思いを代弁する12人の委員をまとめる重責を担ってきました。

行政区再編特別委員会 
高林修委員長:「やはり地域の思いがあるのでね。そこのところを大事にしていかないといけないとなると、なかなかこれをまとめるのは難しいなと思いましたね」

夏以降、議論が暗礁に乗り上げそうに…

「難しい」と振り返る今年の山場のひとつが、夏以降の議論です。8月、広い面積や山あいの集落など特性が強い天竜区をそのまま残す方針で決着させたのも束の間…。

 9月の住民説明会では…。

住民説明会 西区自治会連合会
山田渉 副会長:「単に中心だからとか、交通結節点等を総合的に勘案したと言われても、なかなか西区の住民の人は納得しがたい」

 当時のたたき台では、新たな区役所について人口の多い西区役所を生かす案と、地理的な中心に近い北区役所の2つの案が示され、住民の意見が対立しました。

 話し合いが暗礁に乗り上げそうになったとき、委員長は何を考えたのでしょうか。

行政区再編特別委員会 
高林修委員長:「確かに色々なご意見受けて苦しいところありましたけれども、ベースに皆さんのお気持ちがあるのでそれは受け止めようと。治政とか歴史とか文化とか産業とか農業とか地域づくりの事考えて(たたき台決定前の)13案の中にあった新3区案、これが一番適切な形だという風に思った」

 結果、新3区案では別の場所に区役所を構えますが、決して「対立」が原因ではなく、地域の共通課題を鑑みた上での答えだと強調します。

30年後、50年後の浜松市のために…

 議論に議論を重ね、少しずつ進んできた浜松市の行政区再編。新たな「骨組み」に、質を落とさない行政サービスをどう詰めるのか。来年も、それ以降も、踏むべきステップが続きます。

画像: 30年後、50年後の浜松市のために…

行政区再編特別委員会 
高林修委員長:「30年後50年後の浜松市のためにもね。市民の皆さんが浜松市をどういうふうにしていくんだ、ということを考えていただけるようなまずスタートになるんじゃないかというふうに期待しています」

 市のトップは、10年前からこのテーマを重視してきました。今年、ひとつ節目を越えたことについては。

浜松市 
鈴木康友市長:「世の中がガラッと変わっていく時代でございますので。市が柔軟に対応できる組織体制を作っておくというのがこの区の再編の狙いでございますので。しっかり住民サービスを向上させながら一方でそうした柔軟な対応していく。その両立をしっかり図っていきたいと思っています」