「あなたは何を争点に?」 伊東市長選立候補者9人に聞く 伊東記者クラブと地元報道機関による合同調査

学歴詐称問題によって前の市長が失職したことで公示された伊東市長選挙。立候補者は9人となり、伊東市制・史上最多の選挙戦となっています。

伊東市政は前回市長選後の5月末から副市長や教育長不在であり、市政混乱の中、政策的経費である肉付け予算が編成できない状況が続いていることから、主な争点は、前市長の騒動によって停滞した市政の立て直しや物価高騰・経済対策と見られています。

「あなたは何を争点に?」 伊東市長選立候補者9人に聞く 伊東記者クラブと地元報道機関による合同調査

こうした中、立候補者たちは何を争点に戦おうとしているのか、伊東記者クラブと地元報道機関による合同調査で全員から回答を得ました。

Q:あなたが考える市長選の争点は(届け出順に記載)
★新人・利岡正基候補(52)は「未来への約束」
その理由は「市長に求められるのは、未来を語ることではなく、実行し約束を果たす力です。伊東の課題は複雑で責任を持って未来に向きあえるかが最重要。約束できる根拠を持つ候補かどうかが、最大の争点です」

★新人・石島明美候補(58)は「清潔で正直であること」
その理由は「前市長のあり様、並びに次々と表に出てくる市議たちのスキャンダルそしてかつての市長らの不祥事を鑑みると、今、市民が求めているのは、クリーンであることだから」

★元職・小野達也候補(62)は「市政正常化・生活安定」
その理由は「市民の皆様は、現在直面している非常事態を早急に正常化し、即効性のある物価高騰対策による日々の生活安定を熱望していることを肌で感じており、この半年間で混乱し信頼を失ってしまった市政を確実に回復するため」

★新人・岩渕完二候補(73)は「市政の正常化と透明化」
その理由は「8年間の小野市政はほぼ無策であった、加えて田久保前市長は必要最小限の決済さえも履行されない情況下で決算も予算編成も出来ず完全に市政は停滞し市全体の活力を失ってしまった。よって、その具体的対応政策が必要」

★新人・黒坪則之候補(64)は「医療と経済」
その理由は「医療介護が人員不足で機能不全目前。
命の安心安全が脅かされ危機的状況の中、これをどう解消するか?日本屈指の少子高齢化で衰退が進む中、どう経済を立て直し若者を増やしていくか?」

★新人・杉本憲也候補(43)は「過去に戻すか進めるか」
その理由は「今伊東市は、急激な物価高騰、出生数減少や高齢化への対応など、課題山積である。これら課題を解決するには、前向きで透明性ある『やれる方法を探し前に進める』新しい市政への進化が必要と考えるため」

★前職・田久保真紀候補(55)は「改革の前進と成長戦略」
その理由は「この町の成長をはばむ大きな要因は旧態依然としたしがらみと利権の構図から脱却できないことにある。新たな伊東の発展のため、毅然とした姿勢で改革を推し進めドラスティックな成長戦略の下、市民生活と経済の底上げを実行」

★新人・大野恭弘候補(58)は「新図書館建設」
その理由は「前回の市長選挙での争点であったと考えるからです」

★新人・鈴木奈々子候補(52)は「外国メガソーラー反対」
その理由「海外資本によるメガソーラー事業により伊東市の環境破壊がなされている。土砂災害により市民の命の危険があり反対する。
また、ベトナム人による包丁で暴れる事件もあった。
外国勢力とどう向き合うかが争点である」

利岡正基候補
利岡正基候補

一方、伊東市民は生活する中で何を不便と感じ、何を求めているのか。前市長の在任期間中の8月から9月に実施した「市民満足度調査」では、18歳以上の市民2000人に対し、651人から回答(回答率32.6%)を得ました。

「伊東市は住み良い町か」の問いに対し、「どちらかと言うと住み良い」が243人(割合37.3%)と1番多く、2番目は「どちらかと言うと住みにくい」が158人(割合24.3%)でした。

そして「住みにくい」と考える主な理由の1番は「買い物など日常生活が不便」であり、市の担当者は「移住してきた高齢者が免許返納や路線バスの減便などで交通の不便さを感じている」と分析しています。
2番は「働く場所がない」
3番は「医療・福祉が充実していない」
4番は「通勤・通学が不便」
5番は「図書館などの公共施設が不足している」となっています。

石島明美候補
石島明美候補

こうした声がある中、市長選の各候補者の公約は市民に寄り添っているのか、確認してみると、「買い物など日常生活が不便」について。

石島候補「地域交通の整備で誰もが安心して暮らせる街」

小野候補は「高齢者の公共交通機関、利用補助金増額」

岩渕候補は「地域循環型交通の即時実施」

杉本候補は「官民共創による交通空白地域の解消の推進強化」

田久保候補は「コミュニティバスの運行など公共交通網の再整備」と5候補が、この問題に取り組む考えを示しています。

小野達也候補
小野達也候補

「働く場所がない」について。

利岡候補「伊東の観光産業を強く育て観光で稼ぐ」

小野候補「観光業と第一次産業のコラボレーション」

黒坪候補「伊東温泉を活性化、4年間で所得倍増」

杉本候補「企業誘致・起業支援の強化や第一次産業振興拡充」

岩渕完二候補
岩渕完二候補

「医療・福祉が充実していない」について。

利岡候補「市民病院の医師確保と設備更新で救急体制を強化、市街地外にエリアにも在宅医療・訪問看護を充実」

石島候補「市民病院の再構築」

小野候補「市内医療環境の充実、遠隔医療導入」

黒坪候補「伊東市民病院の改革など医療介護福祉の徹底改善」

杉本候補「伊東市民病院を250人安心して入院できる環境に」

田久保候補「市民病院を核とした地域医療との連携、終末医療や緩和ケア施設の導入」

鈴木候補「外国人への生活保護支給停止」

黒坪則之候補
黒坪則之候補

次に市民満足度調査では「公共施設の整備について」設問があり、「建て替えや拡張を進める必要がある施設」では、1位(割合44.1%)は観光会館。2位(割合30.2%)は図書館となっており、前回(去年)の割合21.6%から9ポイントほど増えている結果に。

5月の市長選で新図書館建設にNOを突き付けた市民でしたが、市の担当者は「総工費42億円のお金をかける必要はないが、図書館の建て替えや修復工事が必要性である」との声だと見ています。

また「図書館の分館を必要と考えるか」については、必要でないが429人(割合65.9%)、必要であるが192人(割合29.5%)でした。そして必要であると回答がした人のうち、150人(割合78.1%)が南部地域の伊豆高原に必要だと答えています。

杉本憲也候補
杉本憲也候補

 各候補者の図書館問題について考えは。

利岡候補「白紙化を前向きな再出発と捉え、市民の声を基に機能を再設計します。
1か所にこだわらず、南北に広い地理を踏まえ複数配置も検討し、伊東に最適な”未来の図書館”をゼロからつくります」

石島候補「図書館は市民の居場所。子どもたち、学生、子育て中のお母さんから高齢者まで誰もがお金を使わずに安心して過ごせる空間。市民生活向上、移住促進等の未来への投資。国の補助金を積極的に活用して建設を目指す」

小野候補「図書館は生涯学習の推進と教育の支援、そして地域振興の拠点として重要な施設だと認識し、その機能充実は豊かな市民生活に必要不可欠であるため、市民の意見を徹底的に反映させ、ゼロベースから計画を再考する」

岩渕候補「計画見直し、地元企業と市民とで計画を作り3か月を目途として完成早期に着工します。現状の建設費42億円は高過ぎます。同時進行で伊豆高原に多目的ホールを作るための地元業者を含めた住民会議を立ち上げます」

黒坪候補「メインの図書館は市役所庁舎内へサブの未来型ライブラリースペースを伊東駅や伊豆高原駅近くに用意し、観光客も含め利用できる多目的スペースとする」

杉本候補「新図書館計画は、結果として整備の必要性含め市民の理解促進が充分図れてないと考えるため、現建物の耐震性問題等を踏まえた上でできるだけ早く改めて市民の皆様とともに必要性含め計画すべてを見直していく」

田久保候補「老朽化する施設やインフラ問題が山積する中、今やるべきは新しい図書館ではない。今ある施設を活用し各地区に自習室・図書室を配置。市民のニーズに応え、市内全域に本が行き渡る仕組み作りや電子書籍の導入を進める」

大野候補「利用者が集まる施設と考えるならば、周辺に人通りをもたらすと考えます。商店街の近くに建設することにより、幾分かの人通りを増やす効果があると考えます」

鈴木候補「図書館の新しい施設を建設することに反対である。約40億円程度のコストがかかる歳出を行うべきではない。旧図書館の長寿化をはかり、40億円のコストは観光業の促進など他の使い道で有効に活用すべきである」

田久保真紀候補
田久保真紀候補

さらに市民満足度調査では「今後、伊東市が力を入れるべき経済対策・物価高騰対策」について問われ、1位(割合57.3%)が紙の商品券事業、2位(割合44.2%)がキャッシュレス決済ポイント還元事業、3位(割合24.1%)デジタル商品券事業、6位(割合9.2%)地域通貨の導入となっています。

各候補者の公約では、

石島候補「現金1万円給付、家庭用指定ゴミ袋の廃止」

小野候補「生活応援商品券2万円」

黒坪候補「商品券・地域通貨発行、低所得・児童扶養世帯向けの緊急生活支援給付金」

杉本候補「個人市民税の時限的減税やお米券の配布」など家計支援

田久保候補「国の動向を見据えて物価高騰対策、地域通貨導入」

大野候補は「プレミアム商品券の復活」

大野恭弘候補
大野恭弘候補

そして前年度と比較して市当局が注目した項目が「市の財政の健全な運営」で39.0%となり、前年52.8%から13.8ポイント下がっていました。市担当者は「(前市長による)市政の混乱で市議選や市長選の費用1億円が要因となり、財政の健全な運営でない」と評価されたと分析しています。

注目の伊東市長選は14日投開票です。

鈴木奈々子候補
鈴木奈々子候補
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