どうなる伊東市…「前市長失職」に伴う今年2回目「異例の市長選」に9人が出馬会見…告示まであと3日 静岡・伊東市

 前市長の失職に伴う、静岡県伊東市の異例の市長選。市長不在のまま1カ月余り、次のリーダーを決める選挙戦は3日後に迫っています。

前市長 田久保真紀氏(55)

 週末の11月22日に開かれたコーヒーのイベントに、前市長・田久保真紀さんの姿がありました。

前市長 田久保真紀氏:「コーヒー大好きなので、きょうはイベント自体楽しみにしていました。カフェをやっていましたので、久しぶりで楽しいです」

 コーヒーを販売しながら、市民と言葉をかわします。

市民「もう怒りを通り越したよ!」
田久保氏「あはは! いえいえ、とんでもないです。ありがとうございます」
市民「すごいね。人間もとことんやると超越するんだなと」
田久保氏「ありがとうございます」

 出店した目的は伊東温泉の宣伝と、選挙に向けて…。

前市長 田久保真紀氏(55):「自分のSNSの発信がどれくらい回る(再生・拡散される)かみたいなのを見ているんですけど、そちらのほうも頑張ってやっていきたいと思います」

前市長 田久保真紀氏(55):「伊東の街に長い年月をかけて張りめぐらされている、しがらみの構図や利権といった仕組みを断ち切って新しい街を作っていきたい。政党の支援や業界団体の支援、最初からそういった方々に頼ってしまうと改革が進まないという、そういった側面がございます」

 3日夜開かれた、支援者との意見交換会。今、伊東市長に必要なのは支援を受ける団体に縛られず改革を進められることと、行政経験だと訴え、自分こそ適任だと強調しました。

前市長 田久保真紀氏(55):「改革を進めていくためには、やはり誰にも負けない鋼の意志ですね。初心を貫徹する、最初に立てた志を決して忘れないことが重要だと思います。もう一度チャレンジして、市民の皆さんと一緒に、みんなで目指した街を作るために歩んでいきたい」

 物価高対策については「国の動向を見極める」として、慎重な姿勢です。

前市長 田久保真紀氏(55):「党の支援も業界団体の支援もありませんけれども、市民の皆さんと一緒に最後まで走り抜けたいと思っております」

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元市長 小野達也氏(62)

小野氏「ありがとう」
支援者「頑張ってくださいね」

 落選から7カ月、異例の“再戦”に臨みます。元市長の小野達也さん。1日の月曜夜に開かれた、決起集会。前回と同じく自民党の推薦を受け、この日も国会議員、県議、市議らが顔を揃えました。

自民党 勝俣孝明衆院議員:「我々自由民主党静岡県連が推薦させていただきました。もう心はひとつであります。私たちの力を結集して、伊東市はさらに高みを目指していく。それには達也さんの力が私は本当に重要な局面であると考えています」

 小野さんが訴えるのは、伊東市政の「正常化と前進」。市長在任中は財政健全化を推進しましたが、今は“積極財政”を標榜しています。

元市長 小野達也氏:「伊東市は今政治どころか、本当に日本中の笑いものになってしまいました。経験と今まで培った人脈をフルに発揮して、この先の伊東市を今まで以上の覚悟を持って必ず再生させます。経済対策も直ちに、市内で使える商品券2万円分をすぐ発行します」

 5月の市長選と異なるのは、労働団体・連合静岡の推薦を受けていないこと。そして、当時は国政で連立のパートナーだった公明党も、今回推薦を見送ったことです。また、公明党も4日開いた中央幹事会で、伊東市長選について、「自主投票」とする方針を決定しました。組織という面では、厳しさを増したとも言えますが、高市総理の誕生によって、自民党への“風当たり”も前回とは異なります。今回の伊東市長選は、政権発足後初めて全国的に注目される地方選挙かもしれません。決起集会の会場にも、高市総理からの激励の言葉が…。

 陣営からは経験とパイプが重要だと、檄(げき)が飛びます。

自民党 杉山盛雄県議:「高市政権、どうですか。21兆円の補正(予算案)ですよ。黙ってこれが静岡県や伊東市に来るか。来るわけがない。政治を何にも知らない、人脈も何にもない、そういう方々で予算や政策を作って、この伊東市のためになるのか。伊東市のためにどれだけ大きな予算を持って来れるか。これが生まれ変わる小野達也の仕事なんですよ」

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前市議 杉本憲也氏(43)

 週末、伊東市に入った国民民主党の榛葉賀津也幹事長。2人には共通点が…。

国民民主党 榛葉賀津也幹事長:「杉本憲也さんとは、同じかずやですから」
前市議 杉本憲也氏:「ダブルかずやで…」

国民民主党 榛葉賀津也幹事長(演説):「自民党の総裁選挙よりもたくさんカメラいますね。すごいですね。これ今全国で最も注目されている選挙と言っても過言ではないと思います。これからの伊東をどうしていくのか。ピンチはチャンスです」

 国民民主党の推薦を受ける、前市議の杉本憲也(すぎもと・かずや)さん。告示前最後の日曜日、決起集会には榛葉幹事長が駆け付けました。

国民民主党 榛葉賀津也幹事長(演説):「玉木と榛葉が対決より解決なんて言い出して、あいつら本当に税金下げちゃった。ガソリン下げちゃったって。批判する政治は終わりです。私たちは日本の政治文化を変えたいんです。故郷でそれを実現できるチャンスがあるのは、今この伊東市なんですね」

前市議 杉本憲也氏(演説):「国は変わりました。変わり始めています。この伊東も国に負けないで、もう足の引っ張り合いはよしましょうよ(支援者「そうだ!」)。皆さんでこの伊東に新しい風を吹かせませんか/この風は絶対止めちゃいけないんです。これからもっとすごい逆風が来るかもしれない。でも、その逆風に負けないぐらい、皆さんで大きい風を吹かせませんか」(拍手、支援者「そうだ~!」)

 前市議とはいえ、知名度では“市長経験者”には及びません。推薦を受けた国民民主党や、連合静岡の組織力を生かして、選挙戦に臨みます。

国民民主党 榛葉賀津也幹事長(取材に):「国民民主党の党大会並みに熱気があったね。与党も野党も関係なく、いろんな人から支援を頂戴して頑張ってほしいと思います」

Q.ダブルかずやということで思いは
榛葉氏「売れない漫才師みたいだね。ダブルヤングって昔あったけど」
杉本氏「M-1出ましょうか」
榛葉氏「お前、軽いこと言ってんな。まず選挙勝てよ(会場笑い)」

 杉本さんは「経済対策が急務」だとして、物価高が収まるまでの当面の間、個人市民税を減税すると主張しています。

前市議 杉本憲也氏(取材に):「とにかく信頼される伊東市を取り戻していくこと、そして負担を減らすこと、そして人口を減らさず増やすこと。この3点に尽きると思います」

どうなる伊東市…「前市長失職」に伴う今年2回目「異例の市長選」に9人が出馬会見…告示まであと3日 静岡・伊東市

 候補者が乱立し、これまでに9人が立候補を表明している今回の伊東市長選。

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スポーツインストラクター 石島明美氏(58)

スポーツインストラクター 石島明美氏:「私も一市民として、皆様と同じような気持ちであります。私は本当にうそが大嫌いです」

 今回が2回目の市長選挑戦です。スポーツインストラクターの石島明美さんが訴えているのは、「アケミクス3本の矢」という経済対策。市長給与の5%削減、1人年間1万円の現金給付、家庭用指定ゴミ袋の廃止です。

スポーツインストラクター 石島明美氏:「私はまず皆さんが一番必要なのは現金だと確信しております。とりわけ伊東は、年間所得が低い町なんです。静岡県の中でもワースト3に入る。皆様からいただいたお金を、皆様の生活が安定するために、そこに賛同していただいて、この街を作っていく」

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会社役員 黒坪則之氏(64)

会社役員 黒坪則之氏:「人口5万人以上の日本の都市の中で、なんと伊東市がナンバーワンの高齢化社会なんです。健康な高齢者が集う町にせよ。これを一つの標語にしてあります」

 会社役員で、薬局チェーン顧問の黒坪則之さん。「健康日本一の伊東」を掲げ、医療環境の整備を主張しています。経済対策のキーワードは、「所得倍増」です。

会社役員 黒坪則之氏(2日):「まず市民が潤わないと稼げないと若者も来ない。大型クルーズ船を持って来たい。伊東という場所はすごく良いんですよ。伊豆半島の観光、寄港した船は日帰り観光をやる拠点として見るんですね。平日にお客さんがたくさん降りてきて、じゃんじゃんお金を落としてくれる」

黒坪則之氏
黒坪則之氏

NPO法人代表 岩渕完二氏(73)

NPO法人代表 岩渕完二氏:「基本的に透明な政治姿勢はとても大事。誰でも話を聞きますよという体制を作ります。それが透明な政治につながる」

 市政の透明化のために、市役所1階にガラス張りの市長室を。メガソーラー建設の反対活動に取り組んできたNPO法人代表の岩渕完二さんの考えです。

NPO法人代表 岩渕完二氏:「メガソーラーにおいて伊東市が損害賠償請求の裁判を受けている。そこ(賠償額)はもうゼロにするという。それをやるのは私しかできないっていう。そこですね」

岩渕完二氏
岩渕完二氏

観光協会理事 利岡正基氏(52)

観光協会理事 利岡正基氏:「観光で稼ぎ、未来をつくるということなんです。観光で稼ぐことがあらゆる市民サービス(の向上)につながっていく」

 観光協会理事で、ペンション経営の利岡正基さん。基幹産業である観光への投資を重視していて、「DMO=観光地域づくり法人」を設置する考えです。

観光協会理事 利岡正基氏:「どういうものを提供するか、サービスしていくか、どういう人をターゲットとして呼ぶのか、戦略を立ててやること。滞在日数も上がるし、客単価が上がるので、高付加価値の観光地に変わります」

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元会社員 大野恭弘さん(58)

 伊東市の現状を報道で知り、出馬を決意しました。兵庫県出身の元会社員・大野恭弘さんです。

元会社員 大野恭弘さん:「図書館の集客力をいかし、商店街の人通りを増やす。2番目が全国に知られる食べ物の創出を目指す。3つ目が学校の統合を進める。4つ目がプレミアム商品券の復活。この4つになります」

 西小学校の跡地に図書館を造り、商店街と相乗効果を生み出すと訴えます。

元会社員 大野恭弘さん
Q.伊東市民にどういったことを提供したいのか
A.「こういうことをしてほしいんじゃないかという代弁者になれるかもと思っただけです」

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漫画家 鈴木奈々子さん(52)

 今回が政治の世界への初挑戦です。政治団体・日本大和党の漫画家の鈴木奈々子さん。

漫画家 鈴木奈々子さん:「想像力が人よりは大きいと思いますので、何か皆さんが思いつかないようなびっくりするような政策を思いつけたらと思います」

 伊豆高原のメガソーラー計画の廃止や、外国人に対する生活保護の支給撤廃などを主張しています。

漫画家 鈴木奈々子さん:「メガソーラーを完全停止にしたい。そういう気持ちが強くあります」

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 このほかに、政治団体・NHK党の立花孝志さんも立候補の意向を示しています。

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 異例尽くしの伊東市長選は3日後の7日に告示され、7日間の選挙戦に突入します。

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