値上げの秋は静岡駅の駅弁や駅そばにも… 食材・包材の仕入れ値高騰に老舗が打った一手とは 「安くてうまい」あの店は苦渋の値上げを決断
2022年4月、およそ60種類の弁当をすべて5%ほど値上げ
西尾梓アナウンサー:「こちらの工場では、駅などで販売する弁当を作っています。食材や包材の仕入れ値が上がった事で、販売価格の値上げも検討せざるを得ないということです」
東海軒 製造部
櫻井美光 部長:「もともとコロナが始まりまして、今ウクライナ、ロシアの紛争の状況ですとか、中国をメインとした、各国の食材文化の変化によって、日本の購買力がやはり落ちてしまってますので、そこでの品不足ですとか、そういったことが、大きな要因で考えられると思いますけれども」
東海軒の人気商品に欠かせないのが魚介類です。
櫻井部長:「うちは焼きサバを一番多く出させていただいていまして、そのサバ自体もかなり値上がりしてしまっていますし、ウナギなんかですと中国の食文化の影響で、全然こちらに回ってこないということで、値上がりが続いてます 」
仕入れ値が上がったのは魚介類だけではありません。ほとんどの食材が、コロナ禍前と比べ20%から30%ほど上がったといいます。さらに弁当で使われる包装資材も仕入れ値が上がっています。
櫻井部長:「(包材も)やはり20%から30%ぐらい上がっていまして、原油高でプラスチック容器なんかも特に上がっていますので、その後、第二弾で紙製のものも上がってきていまして、また秋に(仕入れ値の値上げ)そういう打診も今受けている状態ですので、何処までいくかっていうところになっている状況ですね」
食材や包装資材の高騰にガスや電気など、光熱費の値上がりも追い打ちをかけています。さらなる値上げの検討を迫られている状況です。
櫻井部長:「価格転嫁は一番最終手段と思っていますので。出来るだけ社内努力の中で、お客様に提供できる値段というのを現状維持のままなんとか努めたいと思っているんですけれども」
値上げの波を乗り切るため様々な工夫も
東海軒 製造部
櫻井美光 部長:「従業員の個人能力のレベルアップですとか、生産効率を上げようということでやっていますし、商品開発も今していまして、冷凍のお弁当も出しているもんですからリアルタイムでジャストインで出しているお弁当と違って、冷凍のお弁当は合間、合間に作れますので、そういった商品開発も含めて生産性を高めているというような努力を今進めてます」
厳しい状況に、長年東海軒の弁当を買ってきたお客も・・・
Q:東海軒の好きな品は?
静岡市民(80代):「鯛めしとか、ああいうの。(販売価格値上げは)こういう時代だからしょうがないっていうこともある」
しかし、ここに来てさらなる懸念が。円安の影響です。
櫻井部長:「それ(円安の影響が)来年、来年度に向けてどういった状況になってくるか全く分からないので、先々明るい見通しっていうのはちょっと望めないのかなと思ってます」
値上げの波は、駅に欠かせないこちらのお店にも
西尾梓アナウンサー:「こちらのそばやうどん販売する店は安さが売りということなんですが、仕入れ値の高騰によって、4月に1度値上げをしました、ただ止まらない原材料価格の高騰で更なる値上げを検討しているということです」
こちらはJR静岡駅のホーム内にある立ち食いそば店「富士見そば」。この場所にできて50年以上。多くの人に親しまれているお店です。
静岡市民(20代):「仕事終わりには毎回寄っています。スープが昔ながらっていうか、すごい安心するような味なんで毎回食べちゃいます」
安くておいしいと人気のそばですが、2022年4月値上げに踏み切りました。かけそばが320円から10円上がって330円に。きつねそばは350円から30円上がって380円に。かき揚げそばは390円から40円上がって430円になりました。
そばに使うほとんどの食材の仕入れ価格が、3%から20%ほど上がったためです。
富士見そば
松永町子 店長:「原材料の仕入れ値の値上がりがもう凄まじい、もう値上げするしかないんですよね。安くてうまいがうちのモットーなんであまり上げられないんですけど、それでも30円ぐらいは上げないとちょっとやっていけないので、上げさせていただきました」
「そば」に欠かせない原材料が小麦です。こちらの店では、輸送費の高騰などの影響で2022年4月「そば」の仕入れ値がおよそ6%上がりました。ウクライナ情勢などによる小麦の供給不足の影響で、今後もさらに値上がりするのでは、と不安を口にします。
富士見そば
松永店長:「もう(販売価格)あげたくないんですけどね、本当は。(小麦の仕入れ値が)上がるっていうなら仕方がない」