「310円ランチに行列」「ワンコインで本格中華」社員食堂がここまで進化 “第3の賃上げ”最前線【静岡】

 物価高の影響は、働く人のランチにも及んでいる。外食のランチ代は上昇傾向にあり、日々の食費の負担は無視できないものとなっている。こうした中で注目されているのが、企業による「食事補助」だ。給与のベースアップとは別に、実質的な手取りを増やす取り組みとして「第3の賃上げ」とも呼ばれている。静岡県内でも社員食堂を活用した支援が広がりを見せている。

安い旨い
安い旨い

ほぼ全社員が利用

 富士市の小林製作所。昼のチャイムが鳴ると同時に、社員食堂には続々と従業員が集まってくる。約250席ある食堂はわずか5分ほどでほぼ満席に。みんなの目当ては、3種類の日替わりメニューだ。 肉、魚、丼・麺――。どれもボリュームがあり、見た目は街の定食屋と変わらない。にもかかわらず価格は1食310円に抑えられている。
 その理由は、会社の食事補助制度にある。従業員は月額6500円を負担することで、日々の食事を低価格で利用できる仕組みだ。
 利用している社員は「これだけ安くて、おいしいものが食べられてすごくありがたいです」と大満足の様子。また転職してきたという社員も、「前の職場では毎日お弁当を作っていたので、用意しなくても温かい食事を食べられるので魅力」。
 現在、利用率はおよそ9割。価格だけでなく、“昼の負担を減らす存在”として定着している。

昼食時には長蛇の列が(富士市の小林製作所)
昼食時には長蛇の列が(富士市の小林製作所)

本格中華がワンコイン

 沼津市に本社を置く平成建設の敷地内には、一風変わった社員食堂がある。トタン張りの外観に年季の入った看板。その姿は、どこから見ても昔ながらの町中華だ。しかしここがれっきとした社員食堂なのだ。
 厨房に立つのは中華一筋の料理人、藤森津久男さん。藤森さんは横浜中華街やホテルで腕を磨いてきた。
 提供されるのは麻婆茄子などの本格的な中華料理の日替わり定食。価格は500円。営業は夕方5時からで、寮で暮らす社員が仕事帰りに立ち寄れるようにしている。
 「すぐにパッと出てくるので、実家のような安心感」「ワンコインで食べられるので自炊するのと同じぐらい安いのかなと思う」と社員にも好評だ。
 1日20人前後が利用するといい、運営費や1食が500円に納まるよう会社側が負担しているという。平成建設は「社員の福利厚生で満足度が高くなると思いますので、そこを大事にして500円を維持していきたい」と今後もワンコインを続ける考えだ。

町中華のような平成建設の社員食堂
町中華のような平成建設の社員食堂

労使ウィンウィン

 こうした企業の取り組みの背景には非課税枠の拡大が背景にある。企業側は税負担を抑えながら福利厚生を充実させやすくなり、従業員にとっては日々の食費という身近な支出を直接軽減できる仕組みとなっている。
 物価上昇が続く中、給与だけに頼らない「もう一つの賃上げ」として、社員食堂はその存在感をさらに強めつつある。
(静岡朝日テレビ「とびっきり!しずおか」2026年5月13日放送)

存在感を強める社員食堂
存在感を強める社員食堂