「自主返納」が急増…トラブル続きのマイナンバーカード 市民「危ないものには手を出さない」 静岡県
6月の「自主返納」は全国で約2万件
静岡市 難波喬司市長(7日 定例会見):「やはりマイナンバーカードに対する信頼というのは極めて重要ですので、色々な事があって、信頼ついて懸念があるというのは、大変残念だと思っております」
7日の定例会見で静岡市の難波市長が言及したのは、すでに国民のおよそ8割が申請を済ませているという、マイナンバーカードについて。
ところが、マイナンバーカードをめぐっては公金受取口座のひもづけミスや健康保険証が一体化した「マイナ保険証」で別人の情報が誤登録されるなど、全国的にトラブルが続出しています。
そうしたなか、今、広がっているのが、「マイナンバーカードの自主返納」です。
デジタル庁は6日、本人の希望でカードを返納する「自主返納」が、6月1カ月間で、およそ2万件あったことを明らかにしました。
マイナンバー制度を進めるデジタル庁の河野大臣は…。
河野デジタル担当大臣(11日)
Q.大臣は自主返納の枚数について微々たる数と言っているが、この発言の真意と、また微々たる数だったとしても自主返納の動き自体が制度への不信感の表れと言えると思うが、この点については?
A.「自主返納の数を取っている自治体の数字を見ると、今申請している数に比べると少ないということを申し上げている。マイナンバーカードとマイナンバーの情報の紐づけは関連性がない」
静岡県 4月~6月の自主返納は130人以上
県によると、4月~6月の間にマイナンバーカードを自主返納した人は県内に130人以上いて、特に、多くのトラブル報道があった6月は返納数が多かったといいます。
県民は…
こうしたマイナンバーカード自主返納の動きについて街の人は…。
島田市民70代:「(主人と話して)私たちも返納した方がいいのかしらと言っていた。やたら持っていてもトラブルになったら嫌でしょ。どうせ使わないなら持っている必要もないのかなって。年寄りは何かあったときに対処ができないでしょ。だから使わない方がいい、怖いなと思って」
静岡市民30代:「私は(返納する気は)まったくない。整備が進んでいけば、各種トラブルだったりとか、それ以外の問題も解消されていくことを想定して、(今は)移行期間だと思っているので、大切に持っておいて将来潤滑に使えるようなことを期待して持っていたいと思っている。返納することが多いということ自体は、マイナンバーカードに対する信用がどんどん失われているということなので、それは良くないことだと思っている」
中には、トラブルが多発しているため、マイナンバーカードを全く作る気がないという人も。
静岡市民70代:「なんか危険だなと。何でも情報が流出する今この世の中で。そういうものは年がいけばいくほど危ないものには手を出さない。(マイナンバーカードに)全員が全員賛成したわけではないのに、賛成したかのような(やり方に)いつも疑問をいただいている」
返納が急増した静岡市では
県内でも増えてきている「自主返納」。なかでも大きな変化があったのが静岡市です。静岡市の6月の自主返納数は30件。実は5月に比べて4倍以上の件数となっているんです。実際に窓口を取材してみると…。
職員:「いま、マイナンバーカードの自主返納の受け付けをさせていただいた」
Q.もう先ほどってこと?
A.「そうです。いま受けました。カードのお持ちいただいたが、使う必要性がないということで返納したいという話だった」
6月およそ6000件のマイナンバーカードが交付された静岡市。受け取る人がいる一方で、返す人も増えはじめ、13日も、マイナンバーカードの申請窓口で「自主返納」の受け付けが行われていました。
静岡市葵区役所 戸籍住民課 石上慧悟さん:「自主返納を希望された方には、(窓口で)返納届を記載していただく形になる。(返納理由として)一番多いのがセキュリティーと個人情報の漏えいの不安からの返納が一番多い。マイナンバーカード自体は任意なので、返納したいということであれば葵区役所としては受理させてもらっている状態」
自主返納の多くの理由は、相次ぐトラブルによる「不安」だといいます。静岡市の窓口では、返納の際に将来的にカードの再交付に手数料がかかることや行政サービスが受けられなくなるなどのデメリットを伝えた上で、それでも返納をするという人については受理をしているということです。
静岡市戸籍管理課 長井健一課長補佐:「マイナンバーカードを返納されても、マイナンバー制度で紐づけられて登録されている情報は消えることがないので、その辺はご理解いただきたい。引き続き、市としては申請の体制、交付の体制を整えながら業務を進めていこうと考えている」
県内では障害者手帳とマイナンバーの紐づけミスが60件発覚するなど、トラブルも発生しています。また、来年秋にはマイナンバーカードと一本化することで、健康保険証が廃止予定となっていることから、今後の国による説明にも注目が集まっています。