脂は通常の約3倍“白身の極上トロ” アジ×カイワリの答えとは? 新品種「夢あじ」誕生 静岡県沼津市
身近な魚の代表格アジのはずなのに、口に入れると“トロ”のような脂が広がる。そんな意外な一匹が、静岡県沼津市でお披露目された。「夢あじ」と名付けられたこの魚は、カイワリとマアジを掛け合わせた新しい養殖魚だ。地元の養殖技術から生まれた新たな一匹に、関係者も期待を寄せている。
養殖の環境整う
試食会ではその味に注目が集まった。一口ほおばるたびに参加者は「口に入れた瞬間にとろける」「これまでのアジとは違う」と目じりを下げた。同市の賴重秀一市長も「濃厚なうま味と脂が広がるが、後味はさっぱりしている」大絶賛だ。
開発を手がけたのは千葉県の水産企業「さかなドリーム」。うま味の強いカイワリと、養殖技術が確立されているマアジ。それぞれの特長を掛け合わせることで、「味」と「育てやすさ」の両立を図ったという。
夢あじは同市の内浦湾で養殖されている。なぜこの地が選ばれたのか。同社の石崎勇歩取締役は「駿河湾は水深が深く、陸から近い場所でも十分な環境が確保できるし、沼津はアジの養殖技術が確立されている点も大きかった」と説明する。
コスト3倍
成長速度もマアジと比べて早く、何より特徴的なのが脂の量。数値で見れば一目瞭然だ。アジの脂質およそ6%に対し、「夢あじ」は18〜20%に達する。これは本マグロのトロに近い水準とされる。
この味の違いを産んでいるの要因の一つが餌だ。コストは一般的な養殖の約3倍になるそうだが、クロマグロの稚魚にも使われる高品質な飼料を採用することで、「脂の質がさわやかで後味が軽くなった」(石崎取締役)。すでに都内では販売されていて1尾1500円ながら売れ行きは好調だという。
海産物が豊富なことで知られる沼津市で、新たに生まれた養殖魚「夢あじ」。石崎取締役は「遠方からでも食べに来てもらえる魚にしたい」と話す。 “トロのようなアジ”は、まだ生まれたばかり。本当に沼津の名物になるかどうか。いま、その一歩が始まっているー。