「掘っても掘っても崩れる」世紀の難工事に密着 40分の峠越えが6分に 静岡と長野を結ぶ巨大トンネルの衝撃効果
浜松市と長野県飯田市を結ぶ自動車専用道路で、「国内屈指の難工事」と言われたトンネル工事現場に、番組のカメラが入りました。
飯田国道事務所 奥村賢二副所長:「地形が複雑な上に崩れやすいという地形なので、そこに気を使いながら工事を進めていった」
石上雄基ディレクター:「青崩峠トンネルが開通すると、2つの県がぐっと近くなります」
浜松市と長野県飯田市を結ぶ、「青崩峠トンネル(仮称)」。「国内屈指の難工事」を乗り越えたトンネルの工事現場に、番組のカメラが入りました。
新東名の「浜松いなさジャンクション」から、中央道の「飯田山本インターチェンジ」までを結ぶ、三遠南信自動車道。静岡・愛知・長野をつなぐ、総延長およそ100kmの自動車専用道路です。一部区間が開通する中、最大の「難所」として立ちはだかってきたのが、静岡と長野の県境にある「青崩峠」。国道152号は、この周辺で途切れていて、車は、細い山道を遠回りするしかありませんでした。
石上D「こちらが三遠南信自動車道の青崩峠トンネルです。長さは4998メートルあるということです」
飯田国道事務所 奥村賢二副所長:「今の工事の内容は、消火栓が必要なので、その製作とトンネル内の照明の製作をしている。あと、舗装をしていくための準備の工事をしている」
長野県側の入り口から、車を走らせることおよそ10分…。
飯田国道事務所 奥村賢二副所長:「こちらがトンネルの県境になります、右側が長野県で、左側が静岡県」
Q.だいたい真ん中ぐらい?
A.「長野県側が約2800m、静岡間側が約2200m」
「工事の難所」の理由① 覆いかぶさる610mの土
続いて案内されたのは、県境から50mほど、静岡側に進んだ地点。ここがトンネル工事の「最大の難所」と呼ばれた場所です。
飯田国道事務所 奥村賢二副所長:「この付近が、このトンネルの中で、土かぶり、地表面からの深さが、一番深いところで、約610mある」
「土かぶり」とは、トンネルの上にある「土の厚さ」のこと。つまりこの付近では、トンネルの上に、東京タワー2本分に匹敵する、610mの土が覆いかぶさっているのです。
飯田国道事務所 奥村賢二副所長
Q:610m山(土かぶり)があるというのは、トンネルにとっては、大変なこと?
A.「そうですね、難しい工事になってくる、やはり地表面からの高さが高いと、土の荷重がかかってくるので、大変になる」
「工事の難所」の理由② 軟弱な地質
さらに、「工事の難所」としていたのが、軟弱な地質です。こちらは、中部横断道のトンネル工事の映像。「切羽」と呼ばれる、トンネルの先端部にダイナマイトを設置すると…。
発破「ボカーン」
青崩峠トンネルも、こうした方法で掘り進められました。ペースは、1日平均、およそ2メートル。しかし、すぐ近くに通る日本最大の断層帯「中央構造線」の影響で、現場の地盤は軟弱かつ複雑に。「崩れる青崩」の名の通り、掘っても掘っても山が崩れ落ちてくる、絶望的な地質だったのです。そのため、国内で初めて採用されたというのが…。
飯田国道事務所 奥村賢二副所長:「工事して掘削する時に、通常の3倍の強度、通常のコンクリートより3倍硬いというコンクリートを使っている」
さらに、トンネルの壁を支える鋼鉄製の柱を二重にするなど改良し、掘削開始から4年後の2023年。ついに―。
「トンネル貫通バンザーイ、バンザーイ、ありがとうございました」
「世紀の難工事」を制し、トンネルが一つにつながったのです!
飯田国道事務所 奥村賢二副所長:「安全を第一に1日も早い開通を目指していきたい」
長野県民「浜松のウナギ食べに行きたい」
青崩峠トンネルが開通すると、これまで40分ほどかかっていた「峠越え」が、たったの6分に短縮できます。
長野県飯田市民 50代:「静岡県に行くのに道も近くなるし、暖かいので、海が近くなると期待している」
長野県飯田市民 80代:「浜松や豊橋の海の幸、ウナギなどを食べに行きたいです」
見学会ノイズ「うわぁ涼しい」
毎月行われる青崩峠トンネルの見学会でも驚きの声があがりました。
浜松市から参加 70代:「地層がかなりもろいので、岩がすごくもろいので、大変だろうと思った」
浜松市から参加 70代:「長い年月かかったということで、作業する方の大変さも感じられた」
総事業費901億円と日本屈指の技術力で乗り越えた「世紀の難工事」。開通時期は未定ですが、静岡と長野を結ぶ「希望のルート」の完成が待ち望まれます。