清水エスパルス 新スタジアムは新設?改修? 「サッカーの街」再興に向けて莫大な費用は誰が負担するのか…
8日、静岡市の田辺市長に要望書を提出したのは、「新サッカースタジアムを考える会」のメンバーたち。
JR清水駅東口近くの民有地での建設を要望しました。
「駅を降りて300m、400mにあるのは前代未聞かもしれない。もしできれば日本中から脚光を浴びるはず。清水区民、大きく言えば静岡市民のために作ってください」
静岡市 田辺信宏市長:
「これはサッカーに限定することではなく、スポーツは人々の心をひとつにする。そういう中できょうの要望書をしっかり受け止めて議論を前に進めていきたい」
新スタジアム建設に向け検討会 2つの案に絞られるも…
Jリーグ・清水エスパルスの本拠地、「IAIスタジアム日本平」。静岡市が所有し、エスパルスが管理をしています
ただ、現在のスタジアムにはいくつかの問題が指摘されています。
スタジアムの屋根のカバー率はJリーグの現在の基準を満たしておらず、建設から30年以上が経過していることから、老朽化という問題も抱えています。
さらに、最寄りの駅となる、JR清水駅までの交通アクセスの悪さもあり、新しいスタジアムの建設を求める声があがっているんです。
こうしたことから、静岡市は新スタジアム建設に向けた検討会を今年6月から開いていて、その3回目の会合が先月開かれました。
委員:
「コストをどう考えるかを常に頭に置きながら、候補地選定を進めた方がいいのではないか」
委員:
「例えば今のスタジアムを改修した時の周辺の街づくりはどうなっていくのか」
3回目の会合では、候補地の選定が行われ、JR清水駅東口近くにある、石油元売り大手のエネオスが所有する土地に新設をする案と、現在のIAIスタジアムを改修する2つの案に絞られました。
委員にも連ねているエスパルスの社長は…。
エスパルス 山室晋也社長:
「(エネオス跡地は)非常にアクセスも良くて、街づくりにも貢献できるということで、個人的には最有力候補かなと思っていましたので、非常にいいエリア、いい場所ではないかと思っている。IAIスタジアムを改修してもアクセス問題は解消されないので、なかなか選択肢としては利用者の皆さんの意向が反映されたものにならないのでは」
2つの案に関して川勝知事の意見は?
一方、2つの案に理解を示しつつ静岡市に対して注文をしたのは、川勝知事です。
川勝知事(先月25日):
「最終的に二つに絞られたと順当な絞り込みかなと思いますね。ここは民有地である。ですからご理解を得なくてはいけないが、県としてはエスパルスというのは清水エスパルスだけではなくて、いわば静岡県のサッカーの代名詞でもあるので。ですから県全体が関係しているスタジアムだということになる」
Q.最後は市が決めることだが、これは知事としてもできることならば、製油所跡地でしっかりと議論されるべき?
「これこそ県市連携でやるのに一番ふさわしい、元気になりますからね。ですから、ようやく2つに絞られたと。私どもの希望はひとつだが、ところが県がオブサーバーとして以外に立場上、積極的な意見が言えないという。そういうところがあるから、ぜひ委員に格上げしていただければと思っている」
候補の1つ「エネオス製油所跡地」はどんな場所? 新設には課題も…
では候補地にあがっている、「エネオス製油所跡地」とはどんな場所なのでしょうか。
栗田麻理アナウンサー:
「JR清水駅から徒歩3分。目の前には清水港があります。そしてあちらの大型のタンクが立ち並んでいるところが、新スタジアムの建設候補地として有力視されている場所です」
候補地として注目される、エネオスが所有する土地は広さおよそ13万平方メートルで駅からわずか100mほどと、抜群の交通アクセスを誇ります。
ただ仮にこの場所に新設する場合、使われていない石油タンクの撤去や土壌の整備、津波対策などが必要で、莫大な費用がかかることが予想されます。
こうした建設費は誰が払うのか、今ははっきりとしていない状況です。
静岡市 田辺信宏市長(8月):
「これは民間主導でスタジアムを建設してほしい。それを私たちがどう下支えできるのかという問題だと思っている。民有地だったらなおさらです。」
エスパルス 山室晋也社長(10月24日):
Q.田辺市長はスタジアムは民間主導で資金を集めてほしいと言っている。エスパルス自前で、あるいは親会社の鈴与から相応の額を出すというそれに向けて鈴与に働きかける考えはありますか?
「そもそものスタジアム構想自体が固まれば、静岡またエスパルスを応援していただいている多くのパートナーの皆さんにお声掛けをかけて協力をお願いしたいと思う」
市民の意見は?J2降格も「サッカーの街」再興に向けて…
ただ市が今年8月に市民を対象にしたアンケートでは「サッカーへの関心がある」「少し関心がある」と回答した人の割合は合わせて57.8%と半数を超えたものの、一方で、20代と30代の若い世代は40代以上に比べて関心が低いなどの結果も示されました。
さらに先日、清水エスパルスのJ2降格が決定。かつて「サッカーの街」として全国に名をとどろかせた清水ですが、現在はどこか寂しい雰囲気も漂っています。
栗田麻理アナウンサー:
「JR清水駅前です。新スタジアム建設については、清水区民の中でも意見は様々なようです」
清水区民 70代
「街を元気づけるためにも絶対必要だと思う。やはりJ1にいて、そういう中でないとなかなか新スタジアムのこともね、(J1かどうか)関係があると思うからぜひJ1に戻ってもらいたい」
清水区民 70代
「(建設予定地の)場所的に心配なことがある。大きな地震に伴って津波が来ると言われているからそれが一番心配。海の近くということが」
清水区民 40代
「新スタジアムができればより(駅の近くに)人が集まって清水の街も元気になるので賛成です/J2のほうが試合数が多くなり、より人の行き来の回数が増えると思う」
清水区民 80代
「清水も今落ち込んでるでしょ。だから何かみんなが頑張れるような、楽しいことを若い人が中心になってやってくれたらいいと思う」
検討委員会では今後、パブリックコメントで市民から意見を募り、年度内に委員会としての意見を取りまとめる方針です。