静岡県東部地区の公立高校11校の野球部が独自のリーグ戦「リーグビースト」に取り組む テーマは「ボランティア」

静岡県内の高校野球界で新たな試みです。東部地区の公立高校が4年前から独自のリーグ戦をスタートさせています。このリーグ戦の特色は「ボランティア活動」です。
選手稲刈り
「ガガガガ」
「僕が収穫しました!」
「いぇい、いぇい、いぇい」
古賀りなアナウンサー
「高校球児がユニフォーム姿で稲刈りをするという珍しい光景ですが、これも野球部が強くなるための第一歩なんです」
試合開始
「お願いします(礼から走りだしまで)」
今年で4年目のシーズンを迎える高校野球の独自リーグ「リーグビースト」。
9月に開幕し、11月までのおよそ2か月間で36試合が行われます。
参加しているのは、有志で集まった静岡県東部地区の公立高校。
この日は、御殿場高校と三島北高校の試合が行われました。
この他にも伊豆伊東高校や吉原高校など9チーム11校が8試合ずつ行います。
このリーグを発案したのは、御殿場高校の内藤英伍監督。
背景には東部地区が抱える課題がありました。
御殿場高校 内藤英伍監督
「ベンチ入り(に必要な人数)が満たせていないというのが中部、西部よりも(東部が)一番多い。試合の結果も西高東低なんて言い方もあったりするんですが、東部地区が少し寂しい結果であるというところがあると思います。成長の場、成長の機会をなんとか作ってあげたいなというところが一番の思いです」
リーグビーストの試合では、独自のルールが採用されていています。
古賀りなアナウンサー
「まもなく4回裏が始まるんですが、1・2塁に既にランナーが置かれていますね」
2回から8回まではノーアウトでランナーを置いた状態から攻撃を始めます。
これも部員不足で実戦練習が足りないチームを鍛えるための工夫です。
さらに、試合中監督はベンチに入りません。
これは選手の判断力を養うためで、指示出しも選手同士で行います。
三島北高校 大嶽壮生選手
「(ベンチに)監督がいないというところで、考える力というのが身につくと思うので、すごくいいなと思います」
試合ごとに活躍した選手を選び、お立ち台に立つという演出も。
ヒーローインタ
「お待たせいたしました。ヒーローインタビューです。(イエーイ)」
「チームのためにバッティングで貢献できるように頑張っていこうと思いました。(拍手)」
試合を見に来ていた地元の人は…。
御殿場高校ファン
「御殿場高校の大ファンです。皆下手なりに一生懸命やってるからね、そのうち上手になるんじゃないかと思って、たまに勝ってくれるとうれしくて」

そして、「リーグビースト」最大の特徴が…。
稲刈り
「(収穫しながら掛け声)わっしょい、わっしょい」
試合当日に必ず行う地域のボランティア活動です。
この日は小山町へ移動し、お米の収穫作業を手伝いました。
選手
「(小さい子から稲をもらって)ありがとう~」
選手
「自分たちが野球やってる環境って当たり前じゃないと思うんで、その人達のためにやっぱり頑張ろうという気持ちはやっぱり出てきます」
これまでも森林整備や、台風の災害復旧活動など、様々なボランティアを行ってきました。
内藤監督はこうした活動がチームを強くするためには重要だと強調します。
御殿場高校 内藤英伍監督
「スポーツは人間がやるものなので、やっぱり人間力。こういった場でどのような動きができるかとか、どんなふうに取り組めるかということが、野球のプレーを向上させる、上達させる経験になると思っています」
人間力を磨き、地域とともに強くなっていく。
「リーグビースト」には活動が始まった年に生まれた子どもたちが
高校3年生になるまでに果たしたい目標があります。
御殿場高校 内藤英伍監督
「(15年後の)2040年までに東部の公立校から甲子園出場を果たすという目標・ゴールを掲げていまして。「ただ楽しめばいいと思ってやっているわけではなくて、あくまでもその目標ゴールを目指して強くなるためにやっているということを発信できたらなと思って
います」
「リーグビースト」は甲子園出場という大きな目標に向かって、全力で野球とボランティアに打ち込みます。
