市民に親しまれて半世紀~「海洋科学博物館」「自然史博物館」の有料入館終了へ 背景に施設の老朽化 静岡市清水区
静岡市清水区三保の東海大学の敷地にある「海洋科学博物館」と「自然史博物館」の2つの施設。「海洋科学博物館」はサメやクマノミ、駿河湾の深海生物などおよそ400種、5000匹を飼育・展示。一方、「自然史博物館」は貴重な恐竜の骨格標本を展示しています。
北川彩アナウンサー:「こちらのコーナーでは、日本や世界のクマノミをはじめ、様々な種類を見ることができます。小さくてかわいらしいですね」
ここでは、世界各地のクマノミ、およそ20種を展示。1977年には、研究施設として、世界で初めてカクレクマノミの繁殖に成功しました。さらに、1989年に清水区由比で捕獲された深海魚「リュウグウノツカイ」の標本や、生きた化石とも呼ばれる、深海のサメ「ラブカ」など、希少な魚が見られるのも特徴です。
施設の老朽化「部品もなく修繕できない」
営業を終了する理由の一つが施設の老朽化です。
東海大海洋学部博物館 鈴木宏易学芸員:「これが水温を調節する機械なんですけれども、もう20年以上使っている機械で、非常に劣化が進んでいるという状況なんですね」
北川アナ:「例えば部品の交換というのはできないんでしょうか?」
鈴木学芸員:「修繕を日頃はやっているんですけども、もうここまで古くなってしまうと、部品とかももうなくて、これから先、修繕もできないということで、なかなか難しい状況になっているということです」
入館者「残念」「維持してほしい」
来館者は…。
静岡市 30代:「ちょっと残念な気持ちはありますね。近場でこういう自然に触れ合えるような場所があるといいなとは思いますね」
横浜市 50代父親 10歳息子
「こういう水族館ってすごく維持費がかかって大変だというのはわかるんですけど。子ども達がすごく見たがるので、ぜひ維持してほしいなと思います」
1970年の開館以来、「海洋科学博物館」と「自然史博物館」の来場者はあわせて延べおよそ1900万人。しかし、近年は新型コロナの影響もあって来館者が減少していて、これも営業終了の要因の一つとなりました。
鈴木学芸員:「私たちは閉館という言葉を使っておりません。海の生き物のことを学びたい、海の博物館のことを学びたいという方には、もう無償で見せましょうというような舵を切ったというところです。教育目的でご来館される方を受け入れていくという態勢をなんとか整えていきたいと思っております」