コロナ禍で注目された「ワーケーション」の今 熱海市「観光以外の需要掘り起こしにつながる」 焼津市では新たな試みも 静岡県
ワーケーション目的の客呼び込もうと改修工事 熱海市のビジネスホテル
JR熱海駅から歩いて3分、ビジネスホテルの瑞宝荘。新型コロナの感染拡大で客足がゼロになったときに一念発起。ワーケーション目的の客を呼び込もうと、改修工事を行いました。
瑞宝荘三代目 渡辺慎太郎さん:「元々は納戸だったんですけど改修して、ここで仕事ができるようにWi-Fiが入るようにして、この大きな窓、外に向かってパソコン作業ができたらいいかなと」
ワーケーション専用の宿泊プランも作り、多いときは月に10組ほどが訪れるようになりました。現在は…。
瑞宝荘三代目 渡辺慎太郎さん:「やはりワーケーション利用はわずかになりましたね」
ほとんどは観光客ですが、今でもワーケーションでの利用が月に1組か2組はあるそうです。
瑞宝荘三代目 渡辺慎太郎さん:「観光客と違った需要を獲得できたのかなと」
熱海市担当者「平日や閑散期の集客が課題」
観光以外の需要を掘り起こしたいのは、行政も同じです。
静岡・熱海市観光建設部(観光担当) 立見修司次長:「熱海でいうと、平日や春・秋の閑散期にいかにお客さんを引っ張ってくるかが課題になっている。仕事の一環で来られる方は平日の利用につながる」
熱海市ではワーケーション目的の施設を整備する事業者に、最大500万円を補助する制度を行っていて、これまで3年間で15件ほどを助成。ただ、今年度はまだ利用がないそうです。
静岡・熱海市観光建設部(観光担当) 立見修司次長:「首都圏から安定して集客するためには、ビジネス利用が一番熱海にはマッチしている。ワーケーションという形で使っていただくような街になっていければ」
焼津市には「新しい形」のワーケーションが
まだまだ期待の声が聞かれる中、焼津市では、新しい形のワーケーションが始まっていました。
静岡・焼津市商工観光課 打桐浩之さん:「外からの企業と焼津の事業者がコラボレーションするワークとコラボレーションのワーケーション。焼津版のワーケーションというものを今後は強く打ち出していきたい」
焼津港のすぐ隣、今年5月に部分開業したワーケーション施設、「焼津ポーターズ」。市と漁協、民間企業が連携し、漁のための倉庫をリノベーションして誕生しました。
焼津PORTERS 高谷正道艦長:「普段から利用する方は地元の方が多いんですけど、たまに東京・大阪からいらっしゃる方も」
利用料は1日1000円、または1カ月単位で1万円から。現在14社が、月単位で契約しています。
利用者に話を聞いてみると―
IT企業 讃井寛海代表:「なかなかできないじゃないですか、海を見ながら仕事をすることが。ゆったり仕事をしながら、発想をいろんなところから受ける仕事(の仕方)をしている」
こちらは東京に本社を構え、海外にも拠点をもつIT企業の代表。現在は会社の事業を静岡で展開できないか、県内各地を転々としながら、リモートで働いているそうです。
地元で働く人も、施設を活用しています。
利用者:「会社にいるといろいろ電話が鳴るし、お客さんも来るし、自分の仕事に100%集中できるわけではないので、気分転換しながら集中するというのが、私はいいなと」
ワーケーションを目的とした施設ですが、企業同士のマッチングの場にもなっています。利用をきっかけに、焼津ポーターズと関係を深めた企業も。焼津と藤枝に工場をもつ家具メーカーです。
焼津市の家具メーカー 中根正雄代表:「コロナがあって結構東京・大阪に仕事が行けなかった時点で、やはり地元の仕事になんらか関わりたいと思っていた。地元の方とどこで知り合うんだろうとずっと悩んでいた」
施設内に家具を置かせてもらい、ショールームとして活用しています。
「焼津ポーターズ」では来年から宿泊施設も稼働する予定で、今後もワーケーション需要を取り込みたい考えです。
焼津PORTERS 高谷正道艦長:「(ワーケーションは)一時のはやりとかではなくて、新しい文化としてもっと根付かせていきたいなと、こういうスペースを運営しています」