静岡大次期学長は日詰一幸教授 浜松医科大との統合再編は慎重派も「双方の一致点を見つけられれば一番いい」
そして、けさ、学内外の委員8人で構成する選考会議で、日詰教授が新しい学長に選ばれました。任期は来年4月1日から4年間です。
日詰一幸教授(静岡大学 午前10時ごろ):「とても重責を担い切れるだけの力があるかどうか、非常に昨晩は寝つきが悪くてきょうを迎えた。学長候補者として、本学全体のあるべき姿、方向性を私自身が担っていかなければいけない」
学長選は面接や教職員の意向投票を経て、最終的に選考会議での話し合いで決めます。15日の意向投票では川田教授が455票、日詰教授が537票と日詰教授が82票、上回っていました。
日詰一幸教授:「反対意見もあれば賛成意見もある、双方の合意点を導き出せないか。浜松のキャンパスの教職員の皆様だけではなく、静岡キャンパスにいる教職員、皆さまともう一度胸襟開いて語り合っていきたい、その中から何らかの方向性、一致点を見つけることができれば、それが一番いいやり方」
学長選考会議議長は…
学長選考会議は日詰教授を選んだ理由を、こう説明しました。
学長選考会議 榊裕之議長:「大学における教学・教育と研究ですね、それから研究のトップとして将来のビジョンを的確に示すことができるか、大学全体としてのリーダーシップを発揮できるか」
静岡大、浜松医大は統合・再編に合意
学長選の争点となったのは、静岡大学と浜松医科大学の法人統合・大学再編です。2つの大学は去年3月、来年度をめどに法人を統合して、静大静岡キャンパスの4つの学部を中心とする静岡地区と静大浜松キャンパスの2つの学部と浜松医大でつくる浜松地区、2つの大学に再編する案に合意しました。
静岡キャンパス中心に反対の声…
統合には反対の声も
しかし、静大静岡キャンパスを中心に、再編に反対する声が上がっていました。
反対派・静大理学部 坂本健吉教授(2019年3月):「1つの大きな総合大学。これが小さいながらも知の拠点としてあったものが、分断されてしまうと、浜松ではたった3学部、静岡ではたった4学部の小さな大学になってしまう」
現学長は統合推進
任期満了で今年度退任する石井潔学長は、この統合を推進。方針を引き継ぐ工学部部長の川田教授と、再編に慎重な人文社会科学部部長の日詰教授が、次の学長候補になっていました。 川田教授は業務の効率化や医療分野での連携強化を狙いとする統合・再編に賛同。再編に関する説明は「十分にされている」と石井学長に理解を示していました。
一方、日詰教授は、現在の再編案では静大の総合大学としてのパワーが落ちてしまうと主張し、「十分な議論を経たとは思えない」と指摘していました。
学生は…
新しい学長に日詰教授が選ばれたことに、静大と浜松医大の学生は。
静大 静岡キャンパス 教育学部4年:「静岡といえば静大みたいなところがある。静大というブランドでここまでやってきたので、いまさら合体するのはあれかなと」
静大 静岡キャンパス 人文社会科学部4年:「時代の流れがそんな感じなので、そういう運命なのかと。工学部と医学部があわさって、新しい技術が生まれるならいいと思うが、文系学部とかはたぶん扱いが…というのはちょっと寂しい」
浜松医科大学2年:「医学と工学って、情報分野やAIとかのテクノロジーで医療分野と親和性が高い。研究は連携して進めていくのがいいのではないか」
選考会議は約3時間に及ぶ議論の末、次の学長を日詰氏に決定。ただ、日詰氏が浜松医科大学との統合・再編にブレーキをかけないよう、これまでの議論を尊重するよう説明したといいます。
日詰一幸教授:「基本的な立場・スタンスは持っているが、それを押し通すことで本学全体が動けなくなってしまうことがあってはいけない。合意書もあるので、その枠組みの中でいったい何ができるのか。最初は浜松キャンパスの教職員の皆様とお会いして、もう一度、静岡大学の将来に寄せる思い、法人統合、大学再編に対する思いを聞いていきたい」