【サクラエビ】春漁初日の水揚げは去年の44倍…5年前には不漁で秋漁を打ち切りも なぜ? 対策の成果? 専門家は…
初日の水揚げは去年の44倍
5日、静岡市清水区の由比港で行われたのはサクラエビの初競り。今年の春漁は天候や波の影響で、解禁日から2日遅れて始まりましたが、初日の水揚げ量は40トンで去年のおよそ44倍です。近年まれにみる豊漁で、関係者も驚きを隠せません。
由比港漁業協同組合 宮原淳一組合長:「初日に2000杯、記憶にないくらい大漁」
豊漁の恩恵は価格にも。15キロ当たりの平均価格は3万2750円で、去年と比べると、およそ2万円安い価格で取引されました。去年、およそ11万6000円だった最高値は、今年、4万2320円でした。
買い付けた仲買人:「大漁で、本当に久しぶりに! みんなやっぱり活気もあるし、いいですよね。これが続くといいですよね」
買い付けた仲買人:「例年に比べて初日にしては過去最高だと思う。これだけ取れるのは非常に有難い」
買い付けた仲買人:「初日でこの量は良いんじゃないかな、期待できますね」
豊漁の一方で、サクラエビの大きさや状態はどうなのでしょうか?
買い付けた仲買人:「鮮度も非常に良くて、粒も大きいので、春エビらしいエビがあがっていた。非常に状態も良いので、鮮度の良い状態でお客様に届けられればなと思います」
5年前には不漁で秋漁打ち切りも
この日はまれに見る豊漁でしたが、ここ数年は厳しい状況が続いていました。5年前には…。
静岡県桜えび漁業組合 望月武組合長:「待っても大きくならない、網をかけても取れないという状況が続いておりますので、本日をもって秋漁を取りやめということで決定いたしました」
2018年には漁協が調査漁を実施。大きなエビは、ほとんど取ることができないと判断し、秋漁を打ち切ることもありました。
不漁について専門家は…
サクラエビに詳しい東海大学の西川教授は不漁について次のように話します。
東海大学海洋学部 西川淳教授:「一つは漁獲圧、獲りすぎというのも問題の一つ、もう一つはサクラエビを取り囲む海洋環境、海流の流れが少し変わったり、動物プランクトンとか植物プランクトンというサクラエビの餌となるような生き物が黒潮の流れの変化によって変わったり、そういった様々な要因が絡んでいる、減った原因について直接的にはまだはっきりとしたことはわかっていない」
漁を制限も
例年、春と秋に実施されるサクラエビ漁。2018年に記録的な不漁となってから産卵する個体を保護するため、体長35ミリ以下のエビを取らない方針や漁船の数を規制し、漁を制限する保護区を設けるなどしました。
組合ではその効果が今回の豊漁につながったとみています。
由比港漁業協同組合 大石達也専務理事:「ここ数年、漁獲の保護区などを設けて調整しながら、獲らないようにしてきたものですから、成果が出始めてきたのではないかと思っています」
豊漁について専門家は…
豊漁については…。
東海大学 海洋学部 西川淳教授:「漁業者の方に聞いても、すごく努力して出来るだけ獲らないように頑張っていたのは知っている、そういう努力も実を結んだ。今年もし資源が戻るとしたら、今春獲れているサクラエビというのは去年の春からだいたい秋にかけて生まれたものが何回も何回も脱皮して、少しずつ大きくなって、越冬して、それでようやく30ミリから40ミリぐらいのエビになっている。なので、今年の春のエビがいいとすれば、去年の春から秋に生まれた幼生とか未成熟のエビがなんらかの形でうまく生き残れたのが要因」
由比港漁業協同組合 大石達也専務理事:「ずっと不漁で苦しい思いをしてきたんですけど、初日でただけでまだなんとも言えないんですが、少し不漁から抜けたかなという印象。基本は資源保護をやりながらが一番なので注意しながら漁をしていきたい」
今年の春漁は6月9日までで漁獲量を制限するなどの自主規制を設けながら、サクラエビの保護を優先して春漁をしていくということです。
静岡県の特産品サクラエビ。今後どうなっていくのでしょうか?
東海大学海洋学部 西川淳教授:「すぐに急激な回復をするというのはなかなか考えづらい。特に富士川沖、由比から興津川にかけての海域のサクラエビの卵が内側にとどまって、次の年のエビの増加につながっているので、そこをしっかり保護していくのが大事だと考えている」
港近くの「浜のかきあげや」
由比港のすぐそばにあるお店「浜のかきあげや」。由比港漁協が運営する桜エビのお店です。由比港から直接仕入れた新鮮なサクラエビをふんだんに使った料理を提供しています。今回の豊漁を受けてお店でも驚きの声が…。
浜のかきあげや 出羽義昌さん:「初日で今回獲れたのは近年では全然ない状態ですね。行列が厳しくなってくるかなってことで、期待はしていますけど」
人気メニューの一つが「サクラエビのかきあげ」。網にまんべんなくぎっしりとサクラエビを詰めて油に入れて揚げます。今年のサクラエビはかき揚げに最適だといいます。
浜のかきあげや 出羽義昌さん:「かきあげを揚げたときに、あまり小さいものだと揚がりにくいというのもあるので、この間の水揚げの大きさだと揚げるのも楽だと思う」
さらに、生のサクラエビをふんだんに盛り付けた「生桜えび丼」。赤富士をイメージして盛り付けたサクラエビの周りにネギと海苔を合わせたどんぶり。サクラエビ本来の甘さを堪能できる一品です。
この日はあいにくの雨にもかかわらず、多くの客が来店。桜エビの豊漁を聞きつけて県外からも訪れていました。
愛知県から 60代男性:「うちの工場(会社)の工場長さんから話を聞いて、今年豊漁になったと。初めて生を食べて新鮮でおいしいですし、さらにだし汁をかけてお茶漬けのようにして食べますよね、あれがまたさらにおいしいですね。満足できました」
東京都からの客 30代夫婦
夫:「かき揚げがおいしいって聞いて、桜エビの。すごい甘くておいしかったです」
妻:「香ばしくておいしかったです」
Q.生の桜エビとかき揚げだとどっちが好き?
妻:「個人的にはかきあげですね」
不漁と新型コロナの影響を受けてきた「浜のかきあげや」。サクラエビ漁が解禁してまだ日は浅いですが、今回の豊漁に期待しているといいます。
浜のかきあげや 出羽義昌さん:「(雨で)お客さん自体少ないかなと思っていたが、それ以上に来ている、ありがたいと思う。きょうのお客様の入り具合が豊漁に続いていると思う、ただ今後もこの豊漁が続けばいいと思う」
(4月8日放送)