2年前0店舗がいま47店舗…戦国時代に突入したギョウザの無人販売 なぜ郊外に多い? 県外企業が多い? 静岡県
静岡経済研究所
「今となってはいくつも市内に設置されてきて、競争はかなり激しくなっている」
客:「今月は3回ぐらい来た。安くておいしい」
客:「こんな誰もいなくてね、でもなんかのんびり買えるのが良い」
コロナ禍の巣ごもり生活を背景に、近頃では、デリバリーやテイクアウトなどの需要が増加。そんな中、餃子に特化した少し変わった業態のお店が全国で増えています。
2年で0店舗から47店舗に
県内も例外ではありません。おととしには1店舗もありませんでしたが、去年から増え始め、今では47店舗と急増中(とびっきり!しずおか調べ)。しかし、そのうち県内企業はごくわずかで、ほとんどが県外企業です。餃子王国・静岡の意地にかけて、県内の企業は闘志を燃やしています。
県内で無人販売所を運営する会社
「全国に展開しているお店はたくさんありますけど、静岡だけは譲れない」
私たちの知らないところで、「ギョウザの無人販売業界」は戦国時代に突入。人気の背景とその実態を徹底調査します。
郊外に多い無人販売所 そのワケは
西尾アナ:「JR静岡駅から車で約10分、静岡市駿河区下川原です。最近、街中から少し離れた場所によく見られるというんです。ありました。餃子・幸松と書いてある」
さらに…。
西尾アナ:「先ほどの場所から車で3分、同じ下川原なんですが、ありました、餃子・八幡。こんな近い距離に2店舗もあるんですね」
距離にしておよそ800m、同じ地区内で2つの無人販売所を発見。このように中心市街地よりも、郊外に多いのが特徴です。静岡市では去年1月に県外企業が1店舗目を出店。今では異なる4つの会社、あわせて16店舗まで増えています。
静岡経済研究所 清亮介研究員:「事業者側からみるとコロナ禍で営業時間が短縮され、無人販売は24時間稼動するから、失われた営業機会を獲得できる。消費者側でいうと、わざわざ街中まで買物に行かなくても、郊外に無人販売があることによって手軽に近場で購入しやすいっていうことが一つ」
郊外に多いとはいえ、こんな意外な場所にあることも…。
西尾アナ「このあたりだと聞いたが、すごいのどかな場所で全然看板とか見当たらない」
スタッフ「西尾さん右手。これじゃない?」
西尾アナ「あっここだ、看板ありますね。餃子研究所。ここです。ありました。24時間、餃子無人販売と書いてある」
やってきたのは島田駅から車で15分。のどかな田園風景が広がる場所。静岡市の飲食店「餃子研究所」が展開する無人販売所で、にんにくの量を選べる3種類の餃子が評判です。
中の様子は…。
西尾アナ:「けっこう中は広い、清潔感がある。冷凍庫にはぎっしりと餃子が入っている。この冷凍庫全部餃子ですね。で、ここには料金箱。こんな感じで買うんだ、ここにお金を入れると。お釣りは出ない…。無人販売だから気をつけなきゃ。モニターで買い方の説明をしてくれる。やさしい。無人販売所だからちゃんと防犯カメラで監視されている」
店内の造りは至ってシンプル。餃子を保存する冷凍庫と、お賽銭を入れるような料金箱、あとは購入方法を知らせるモニターがあるだけ。
西尾アナ:「こんな感じなんだ無人販売所って、おもしろい」
餃子研究所の専務、末吉健太郎さんです。
Q.無人販売所を始めたっていうのはいつごろ?
A.「ちょうど1年前ぐらい」
Q.それはどういった経緯で販売することに?
A.「やっぱりコロナで飲食店が主体となってやっているが、そちらの方がちょっと低迷して、おうち需要が増えてきて、そこで多くの人にうちの美味しい餃子をもっともっと知ってもらいたいなーっていう意味でも、この無人販売を始めた」
人件費がほとんどかからないのもメリットです。今はこのお店と静岡市の駿河区に2軒、清水区の草薙に1軒の計4店舗を無人販売で展開中。意外にもこの島田店が予想を超える人気ぶりだそうで…。
末吉さん「島田自体は、やっぱり全部の無人販売所の中でも一番いい」
Q.一番いい!それはどうして?
A.「それはどうしてだろうか、私にもわかりません。『街中に冷凍餃子を買いに行きますか?』っていったら、あんまり行かないのかなって。ついでに買うっていう感じ」
実際に取材中も、平日の午後にも関わらず1時間足らずで5組のお客さんが買いに来ていました。
客(島田市民):「こんな誰もいなくてね。でもなんか夜、急に食べたくなったときにつまみ用にいいんで」
客(藤枝市民):「今月(買いにきたのは)3回くらいかな。安くておいしい」
県外企業が6割
一方で、県内の無人販売所のおよそ6割が全国展開する大手企業の店舗。中でも、国内最大数を誇るのが群馬県に本社を持つ「餃子の雪松」。全国に382店舗、県内にも15店舗を展開しています。
西尾アナ:「車は今、沼津市を走っている。先ほどと比べてもだいぶ交通量が多い。ありましたありました」
やってきたのは、雪松が去年の1月に県内1号店としてオープンした沼津店。店内の造りは、餃子研究所と同じく冷凍庫と料金箱とモニターのみで、監視カメラでの監視や24時間営業といった点も同じです。
西尾アナ:「1包36個入りで1000円。36個入りなんですね。なかなかたくさん入っている」
今回もまた、取材の様子を外で見守ってくれていたのは、雪松のマーケティング部の高野内謙伍部長です。
Q.どうして県内初出店に沼津を選んだ?
A.「たまたまこのいい物件が、めぐり合わせがあったっていう、そういう感じ。もともと静岡の方々は餃子を召し上がるような、そういう文化があるということで、スムーズにお店もちょっと増えたかなという感じ」
Q.餃子文化が根付いている静岡県だからこそ
A.「もう確実にそう」
さらなる県内の新店舗オープンに向け、現在調整中とのことです。
対抗心燃やす県内企業
このように全国規模のお店が続々と県内に進出する中、対抗心を燃やすのが、県内の餃子研究所です。
餃子研究所 末吉さん:「全国にいろいろ展開している店がたくさんあるが、静岡県だけは譲れない。うちは静岡市の方で餃子を作ってる。餃子研究所の餃子をまず静岡市(県中部)の人に食べてもらいたい」
最終的に生き残るのためには「味が重要」とし、商品開発に着手する傍らさらなる消費拡大に向け今年、新しい土地へ新店舗を出店する予定です。
餃子研究所 末吉さん:「今度東の方、函南の方で1店舗出す予定がある」
Q.ひしめきあってるが、やっぱりそこは
A.「絶対に勝ちたいと思う」