幻の藤井七冠の王位戦第6局 元外交官女性が考案「勝負メシ」1位のスイーツに込めた思い 静岡・牧之原市
牧之原市では、王位戦第6局に向けて、市内の飲食店から勝負メシ候補を募集し、31店舗がエントリー。
その中から市民投票でランチ部門とスイーツ部門のそれぞれ上位5品が、藤井七冠たちが対局中に食べる「勝負メシ」の候補として選ばれていました。
藤井七冠トークショー会場で『勝負メシ』スイーツ部門を販売
ただ、対局がなくなったことで、幻となっていましたが、今回、スイーツ部門で選ばれた上位5品が、特別に会場で販売されていたんです。
こちらは牧之原産のお茶をつかったアイス。
相良物産:「最近はお茶離れも進んでいる。こういうことから、うちのお茶を知ってもらい、お茶も飲んでみようかなとなってもらえればいい」
こちらは自家製のイチゴがたっぷりと使われているパフェ。
森木農園:「イチゴは自分たちが栽培した完熟のイチゴを使用して、削ってヨーグルトソースや独自のアイスと絡めて、さっぱりと食べてもらえるスイーツになっている。こんな店が牧之原にあると知ってもらえたらいい」
幻の勝負メシ…人気投票1位のスイーツは
東京からきたという藤井ファンは…。
東京からの参加者:「(藤井七冠が)食べるかもしれなかったもの…こういう機会がなければ買うこともできないので、全部の店で買いましたね。1位だそうですね…(商品見せる)」
市民投票で第1位に選ばれたこちらのお菓子。販売していたのは、みかん栽培を手掛ける『いたくら農園』です。
いたくら農園 板倉純子さん:「(牧之原に)本当に全国から来てくれている。そういう方たちが少しでも魅力的に思うものがあればいい。ちょっと、1位ってわかるように、(バルーンを)持ってきたので、皆さんにアピールして」
人気投票1位のケーキとはいったいどんなもの? 現場に行くと驚きの物語がつまっていました!
『いたくら農園』を伊地アナが訪問
幻となった牧之原市の勝負メシ。人気第1位に輝いたスイーツについて、考案者を訪ねると…。
伊地健治アナウンサー:「みかん、いたくら農園という看板がありました。この裏にみかん畑が広がってますよ、木がいっぱい。まだ青いですけど、みかんが鈴なりになっています。青島みかんですかね」
自宅兼農園というこちらで迎えてくれたのが、板倉純子さん。農園でとれたみかんを使ったスイーツを主にネットで販売しています。藤井七冠のおやつ候補として人気第一位になったスイーツを特別にいただきます。
いたくら農園 板倉純子さん:「これがケーキ、ジュレになります」
伊地アナ:「すごい こういうことなんですね」
(運ばれてくる)
お茶にみかん、そして米粉も地元産
いたくら農園 板倉純子さん:「ケーキだけだと、夏に食べるには重いかなと、対局で食べてもらう時にシトラス系のさっぱりしたものも一緒に添えたいなと、今年新しくつくった『じゃばらジュレ』を添えた」
「じゃばら」というのは、強い酸味が特徴の柑橘類。ゼラチンで固めたものをケーキと合わせて食べるそうです。
いたくら農園 板倉純子さん:「(ケーキの)材料にみかんのドライフルーツ。黒く見えるのはお茶の葉を細かくしたもの、あとは小麦粉の代わりに米粉を使っている。その一部を地元でとれた米粉を使ってます」
伊地アナ:「お茶とみかんは牧之原という感じがしますが、米粉も牧之原なんですか?」
いたくら農園 板倉純子さん:「そうですね。米粉も牧之原で作っている方がいるので、そのおいしさを知っていただければなと」
さて、そのお味は…伊地アナが試食
そのお味は…
伊地アナ:「思ったより甘さ控えめで、上品なお茶の香り。しっとりしてて、とってもおいしい」
いたくら農園 板倉純子さん:「藤井七冠はお茶が好きなイメージがある。飲むだけじゃなくてお菓子として食べる。お茶の食べ方の一つとして感じてもらって、次の一手につながったらいいなと」
伊地アナ:「(ジュレを手にもって)ぷるぷるしてます。いただきます。ああ!おいしい。さわやかな酸味と少しの甘み。うーん」
伊地アナ:「市民投票で1位になったということをどう受け止める?」
いたくら農園 板倉純子さん:「市民の皆さんとか、みんなに推してもらったというのが、自分にとって一番の励みというか、うれしさで、うちでとれるみかんをつかったり、地域でとれるものを組み合わせた何かを作りたいというのがあったので、ずっと取り組んできた」
板倉さんは元外交官
いまから4年前に、実家のみかん園を手伝いつつ、お菓子の販売をはじめた板倉さん。以前は、アフリカの途上国を支援する団体に在籍、外交官として国を代表する仕事についていたこともあるそうです。
いたくら農園 板倉純子さん:「紛争地とか紛争後の支援とか、国の発展を考えたときに、ビジネスってすごい力があるなとか、その土地で農業がどれだけ人の生活を支えているのかすごく見てきた。のちのちは自分の国に目を向けて何か出来たらと思っていた。なので、自分でも小さな会社を立ち上げつつ、農園も両親と一緒にやっている」
第二の人生にかける思い
両親が手掛けてきたみかん農園に仕事として関わったことで、板倉さんは、はじめて、ふるさと牧之原が抱えている問題に気が付いたといいます。
いたくら農園 板倉純子さん:「ひとつの課題としてここの柑橘の集荷場が無くなっちゃうかもという話が実際に出ている。生産量が全体的に減っている…
後継者不足の問題は、牧之原のみかん農家全体に広がっています。
いたくら農園 板倉純子さん:「おいしいみかんをずっと作り続けている方もたくさんいるので、続けていきたい、つないでいきたいという思いはすごくある。なので、声をあげていかなければと思っている」
伊地アナ:「牧之原のみかんだぞと」
幻となった第6局で、藤井七冠が食べるかもしれなかったスイーツには、第二の人生をかけて地元の食材を広めていきたいという板倉さんの思いが込められていました。