ここに来て問い合わせ急増 ウクライナ情勢の影響も 業界注目の「三保サーモン」とは 静岡市

 林輝彦アナウンサー:「静岡市清水区三保です。ウクライナ情勢を受けて、ここ三保で作られている三保サーモンが注目を集めています。早速行ってみましょう」

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三保サーモン養殖の現場へ

やって来たのは、世界遺産・三保松原のほど近く。2020年11月から三保で養殖が始まった「三保サーモン」。現在は県内を中心に流通しています。

林輝彦アナ:「さて、服も着替えて、長靴に履き替えました。目の前に見えているこの白い倉庫の中で三保サーモンが育てられているということなんです。(ドアを開けて)うわー、広いですね。こちらの青い水槽のようなものの中で三保サーモンが育てられているのでしょうか?」

林アナ:「静岡朝日テレビの林です。きょうはよろしくお願いいたします」

日建リース工業 事業開発部 
高橋亮平主任:「こんにちは、お願いします」

画像: 三保サーモン養殖の現場へ

林アナ:「こちらの水槽で三保サーモンを育てているんですか?」

高橋さん:「はい、そうですね」

林アナ:「実際に中身を見せていただいてもよろしいですか」

高橋さん:「どうぞ」

林アナ:「失礼します。うわー、たくさん泳いでいますね」

高橋さん:「そうですね。これがあと1カ月半ぐらいで出荷になる水槽なんですけど、入れてからこれで4カ月ぐらい飼育している水槽になります」

決め手は水

最大の特徴は、この「水」です。

林アナ:「水もとても透き通っていて、すごくきれいだなと思ったんですけど、こちらの水はどんな水なんですか?」

高橋さん:「ここはですね、三保半島でとれる地下海水を使っています」

林アナ:「地下海水?」

画像: 決め手は水

高橋さん:「はい、ここでとれる地下海水は、年中一定の水温であるというところと、あと地層を通ってきていますので、ろ過されていてとてもきれいです。また酸素がほとんどないという特性がありまして、その特性から寄生虫とか、そういった魚にあまりよくないようなものが生きられない環境になっています。その水を潤沢にかけ流しすることで、きれいな環境でサーモンを大きくおいしく育てている、そういうことをやっています」

 養殖で使う水に重要なのは「豊富なミネラル」、「年間を通じて一定の水温」、そして「寄生虫の心配がない」こと。その点において、三保サーモンはまさに最適な環境で育てられているのです。

林輝彦アナウンサー:「上から見るとより水もきれいです。水槽の底までしっかり見えるというか、かなり水がきれいなんだなということをうかがうことができます」

 しかし、駿河湾の地下水を常時くみ上げていているためコストもかかります。上質がゆえに、一般的な養殖サーモンよりも高級な三保サーモン。そのため、これまでは買い手が限られるという側面もありましたが…。

問い合わせが急に倍増?

日建リース工業 事業開発部 
高橋亮平主任:「ここに来て急に引き合いが増えたというかですね、今まで連絡がなかったようなところからも我々が今までは売りに行っていたんですけど、相手の方からサーモンを出せるかっていうような問い合わせが増えてきたように感じます。サーモン自体の相場が今上がってきているようでして、今まで我々のちょっと高めのこういった陸上養殖サーモンに興味を示さなかった方たちが、今の相場感であれば、これも一つ選択肢に入るのかなということで、いろいろ問い合わせが増えてきたのではないかなと思います」

林アナ:「問い合わせはどれぐらい増えていますか?」

高橋さん:「単純に倍以上になっていると思う」

 背景にあるのは、ロシアによるウクライナ侵攻です。生で食べられるサーモンは主に北欧のノルウェーから輸入していますが、ウクライナ情勢の緊迫化で、航空機がロシア上空を飛行できず輸入量が減少。迂回したルートを使えば輸送費が膨らみ、供給は不安定になっています。

高橋さん:「まず我々最初に苦労したのが食べていただくことでしたので、ウクライナ情勢(がきっかけ)というのは正直、あまりいいことではないと思うんですけれども、注目していただいて食べていただく機会が増えるということは率直にうれしいですね」

気になるお味は…

林輝彦アナウンサー:「新鮮な海鮮がそろう河岸の市です。外国産のサーモンの供給が不安定な中、地元のこちらのお店では三保サーモンの魅力を改めて感じているといいます。さくにお寿司に丼まであるんです」

 清水港の「河岸の市(かしのいち)」に店を構える「ふかくら」。北欧産のサーモンは仕入れが難しくなった一方、地元産の三保サーモンは安定的に仕入れられることがメリットの一つだといいます。目利きのプロは、その魅力について―

ふかくら 河岸の市店 
藤波正伸 店長:「僕もあまり、サーモンを生で食べるとかあまりなかったですけど。実際、食べてみて、全然臭みもないし。食感もいいですね。おいしいと思います。天然に近いというか、養殖の感じがない。脂臭くないっていう、そこが一番の良さだと思いますよ」

林アナ:「今後、三保サーモンがどういうふうになっていくとうれしいですか?

藤波さん:「静岡、清水に来たらサーモンっていう認識を一人一人が持ってくれるような感じになれば、面白いかなと思う」

 気になる、その味は…。

林アナ:「店のイートインコーナーにご用意いただきました。美しいオレンジ色です。では、いただきます。おいしいです。臭みが全くないですね。身がしっかりしていて、サーモンの旨味が口一杯に広がります」

画像: 気になるお味は…

 無菌状態で育った三保サーモンはクセがなく、臭みもほとんどありません。生でも非常に食べやすいのが特徴です。三保サーモンを買いに来た、地元の客に話を聞くと─

買い物客(40代):「これは三保サーモンのお寿司。この前、フライで三保サーモンを食べたら味が全然違ったので、今度は生で挑戦してみようかなと」

買い物客(70代):「臭みがなくてすごくおいしくいただいたので、私はサーモンをあまり食べられなかったので、お刺身なんかも昔の人間だからちょっと苦手だったけど、これで気に入った」