67年続いた老舗の「ラーメン」復活劇 昨年末惜しまれ閉店した蒲原館が営業再開 支えたのは“常連客の思い” 静岡・清水区
あっさりとした醤油ベースのスープ。それがよく絡む中細麺。チャーシューにメンマ。ナルトにノリ。そして、ネギが添えられて1杯600円。静岡市清水区にある「蒲原館」の看板メニュー。惜しまれながら閉店した老舗店の再出発です。
閉店発表に…「嘘だろ」
「12月19日をもって、閉店することとなりました67年間のご愛顧、誠にありがとうございました」
去年10月に閉店を発表した蒲原館。67年続く老舗でその味は地元だけでなく、県外の人にも愛されていました。家族経営で、店主の望月昇さんの年齢などが閉店の理由でした。
栗山勝訓社長:「生まれてから物心付いたときからずっと蒲原館に来ていまして常連中の常連でした。閉店のうわさを聞いたときは本当に人気店だったので嘘だろと最初は思いました」
こちらは、蒲原で生まれ育った栗山さん。最初は、閉店を信じられませんでした。それでも…
伝統の「味」を継承することを決意
栗山勝訓社長:「閉店を阻止しようと思ってどうにか経営者を探したりとかシェフを探したりして、何とかこの店が残ってもらえるように動いた」
自らも魅了された67年変わらぬ「味」。それを引き継ぐことを決意しました。
店長の杉山味乃里さんは閉店前の去年12月から、望月さんのもとで、味を継承すべく、奮闘の日々。
杉山店長:「自分自身も蒲原館の味を継承して蒲原を盛り上げていけるように頑張っていきたい」
ついに「再開の日」
そして、23日。迎えたオープン当日。元店主の望月さんも応援に駆けつけました。
望月昇さん:「どの程度お客さんが戻ってきてくれるか、そういう不安はあるが、でもまたオープンできたということでほっとしている」
Q,元店主からみて味は?
望月昇さん:「私も味見したがほぼできていると思う」
午前10時。開店まで30分。
<朝礼>
「おはようございます。すでに2人並んでいてドキドキワクワク、不安もありますが頑張って元気に」
「はい、よろしくお願いします」
「よろしくお願いします。頑張りましょう!」
開店10分前、店の外にはこの行列。そして…。
復活を支えたのは「常連客の思い」
<オープン>
「お待たせいたしました。いらっしゃいませ」
待ちに待った、蒲原館の再出発です。
ラーメン運ぶ:「お待たせいたしました」
40年通う常連:「もう変わらない味でとてもおいしい。記憶通りの味で作ってもらってうれしいです」
次から次にやってくるお客さんで店内は常に満席。厨房も、せわしなく動き続けています。蒲原館の復活を支えたもの、それは、常連客の思いです。
親子3世代で常連客:「閉店って聞いたときみんな残念がったんですよ。だけど続けてやる方がいるってことで。きょうになって。よかったです。あっさりしているんだけど昔懐かしい」
家族で7年通う:「そのまま無くなっちゃうんじゃないかって家族みんなで不安になっていたが開店してくれてよかったです」「とってもおいしい」
50年以上通う:「最高にうれしいです。閉店の日も来たがきょうも初日ということでどんな味の変化があるのかなと興味持って来た。どれがどう違うって言うとちょっと微妙に違うとしか言いようがない。これからこういう味に慣れていくんでしょうね。おいしいですよ」
大盛況に…元店主「うれしいです」
再出発の初日。自慢のスープがなくなるほどの盛況ぶりでした。
栗山社長:「味が変わらないと言っていただいた方はうれしかったですし、少し味が変わったけどそれはそれで新しい蒲原館を作っていけばいいと言っていただいて、最後に必ずおいしいと言っていただけて、それはなによりほっとしている」
元店主・望月さん:「うれしいです。本当に。これだけ来ていただいて」
67年続いた蒲原館。愛されたその味。再出発です。