父の背中を太鼓代わりに練習も…祭り囃子「しゃぎり」に打ち込む女子中学生  静岡・三島市

 静岡県三島市の夏の風物詩「三嶋大祭り」は17日が最終日。4年ぶりに制限がない中で開催されています。「しゃぎり」と呼ばれる伝統的な祭りばやしに打ち込む中学生のひと夏を取材しました。

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父の背中を太鼓代わりに練習も…祭りばやし「しゃぎり」に打ち込む女子中学生 静岡・三島市

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台風7号で開催が危ぶまれたが…

 台風7号の影響で、開催が危ぶまれていた三嶋大祭り。一部の行事は中止になりましたが、多くの人で賑わっています。16日のメインイベント「頼朝公 旗挙げ行列」では、頼朝役に、お笑いタレントのあばれる君が登場しました。

画像1: 台風7号で開催が危ぶまれたが…

 夜の街に響く軽快な音色。ここ三島に古くから伝わる祭りばやし、その名も「しゃぎり」です。

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嶋田光希アナウンサー:「三嶋大社の大鳥居前に来ています。きょうは時折強い雨が降るんですが、その雨にも負けず、威勢のいい掛け声と、しゃぎりの大音量が三島の町に響き渡っています。ものすごい熱気と迫力です!」

 祭りのクライマックスは午後8時ごろ、三嶋大社の大鳥居前に各町内の山車が集まり…。

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 「喧嘩ばやし」とも呼ばれる曲を一斉に演奏する「競り合い」が始まりました。

来場者「かっこいい。雨なのにみんな頑張ってて、すごいかっこいいです」

来場者「小さいころから60何年聞いてますから。もう体に染みついちゃって、とてもいい。わくわくしてきます」

「しゃぎり」に燃える中学3年生

画像1: 「しゃぎり」に燃える中学3年生

 こちらは、芝町青年会のグループ。大人に混じり、汗を流すのは中学3年の谷澤舞佳さんです。

谷澤舞佳さん:「もうやっと夏が戻ってきたなという感じで。最高ですね。制限がないので、開放的に楽しくしゃぎりの真の魅力の大きな声を全面に出していけるので最高です!」

画像2: 「しゃぎり」に燃える中学3年生

 谷澤さんは、祭りの3カ月前からしゃぎりの練習に取り組んできました。週2回、青年会のメンバーと一緒に音を合わせます。

画像3: 「しゃぎり」に燃える中学3年生

 三島しゃぎりは、発祥が江戸時代と言われ、音色に特徴のある「摺り鉦(すりがね)」のほか、竹で作られた「篠笛」、「大胴」「小胴」と呼ばれる太鼓で構成されています。谷澤さんの担当は摺り鉦と祭りばやしのリズムやテンポを決める大胴です。

 しゃぎりには、楽譜がありません。江戸時代から全て口伝えで受け継いできました。

谷澤舞佳さん:「太鼓をまだ全ての曲を覚えきれていないので、完成できるように頑張っていきたい。大変よりも楽しいが常にあるので」

始めたのは小1の時…父の背中を太鼓に見立て

画像: 始めたのは小1の時…父の背中を太鼓に見立て

 谷澤さんがしゃぎりを始めたのは、小学1年のとき。すぐに夢中になり、ときには父、靖洋さんの背中を太鼓に見立てて練習していました。

舞佳さんの父、靖洋さん:「いい練習相手になって、コミュニケーションになってよかった。肩こりにはちょっと微妙だったかもしれない」

楽しみだった「子どもしゃぎり」がコロナ禍で中止に

画像1: 楽しみだった「子どもしゃぎり」がコロナ禍で中止に

 この頃、毎年楽しみにしていたのが、小学生までの子どもたちが集まって演奏する「子どもしゃぎり」。ところが、小学6年の夏、コロナ禍で祭りの開催が中止に。

谷澤舞佳さん:「号泣でした。しゃぎりがもう一生できないと思ってすごく落ち込んだ」

 そんな中、芝町青年会は、中止が続いた期間、オンラインで練習会を開いたり、発表の場を作ったりするなどして、子どもたちを励まし続けました。

画像2: 楽しみだった「子どもしゃぎり」がコロナ禍で中止に

谷澤舞佳さん:「青年会の皆さんが工夫して、披露できる場を作ってくださったので、それに向けて練習に頑張ることができた」

「後継者不足」

 コロナ禍を乗り切った三島のしゃぎりですが、後継者不足という問題を抱えています。

芝町青年会会長 佐野哲也さん:「子どもが少なくなってきて、後は、子どもたちの学校と習い事でしゃぎりをやれなくなってしまった。他の町内も、三島全体、小学区それぞれありますけれど、(後継者不足の)流れは一緒だと思う」

画像: 「後継者不足」

 谷澤さんのような若者が、希望の光だと言います。

芝町青年会会長 佐野哲也さん:「これからの次の次の世代のリーダーをやってほしいと、既に思ってしまっている」

日本と言えば「シャギリ」と言われたい

 16日は谷澤さんが周りを盛り上げようとする場面も。

画像: 日本と言えば「シャギリ」と言われたい

谷澤舞佳さん:「大きな迫力ある音と、演奏している人も見ている人も繋がれる。それが一番の魅力。伝統を崩さないことも大切だけど、伝統を引き継いでいくためには自分たちのような若者のアイデアを積極的に取り入れていくことが大事だと思うので、自分のできることを探して、積極的に活躍していきたい。『しゃぎり』っていう単語が世界で、日本といえば『しゃぎりだよね』ってくらいを目指して活動を広げていきたい」