「脳が活性化する」…シニア層に広がる健康マージャン めざすは「ねんりんピック」 静岡市
「賭けない・飲まない・吸わないの3ないルール」
しずおか健康麻将の会 松村範子理事長:「一番決まっているのが、賭けない・飲まない・吸わないの3ないルール。(マージャンは)怖いというイメージがあるから、そういうイメージを持たないように、同じぐらいのレベル、同じぐらいのスピードで卓を組んで、公民館とか健康マージャン専用のサロンがあるが、そういうところで楽しんでもらう」
健康マージャンのポイントは、「お金をかけない・たばこを吸わない・お酒を飲まない」。不健康なイメージがあるマージャンとは一線を画し、社交の場で、打ち方などを教わりながら、趣味として楽しむことができるのが特徴です。
こちらの健康マージャンの教室、参加者の多くは年配の女性。経験がなく、ゼロから始めるという初心者は、ほとんどが女性だということです。
静岡市民85歳:「4~5年ぐらいこちらでお世話になっている」
Q.始めたきっかけは?
A.「やはり年をとったものだから、ボケ防止に。友達にも会えるし、先生に教えていただけるから、とても楽しい」
静岡市民70代:「3年ぐらいやっているかな。頭を使うのと、体を使うのと、音楽の3つをやろうと思って、そのとき2つはやっていたので、頭を使うマージャンをやれば、これから老後を元気でいられるかなと。このゲーム自体が楽しい。ドキドキしたりワクワクしたり、もう来るのが楽しみ」
「脳の活性化に非常にいい」
マージャンは指先を使って牌を扱いながら戦略を考えたり、相手の手を読んだりします。
高齢者福祉に詳しい専門家は、この「手を使いながら、頭も使う」という動きが、シニアの健康につながると指摘します。
静岡県立大学 佐々木隆志名誉教授:「健康マージャンは、少なくとも3つから4つぐらいの効果は期待できる。(マージャンは)手先を同時に使う。手先の動きは脳の活性化に非常にいいということが証明されているので、脳の働きを活性化していく。マージャンが生きがい活動につながっている。多くの方は次、いつあるということを非常に楽しみにしている。人というのは楽しみがあると生活にメリハリができてくる。老いの喪失というところと生きがい活動に結びついているということが非常に効果があると思う」
こちらの教室を運営する「しずおか健康麻将(マージャン)の会」には、現在、600人以上の会員が所属し、静岡市だけでなく富士市や沼津市など様々な場所で活動しています。コロナが収まりつつある中、健康マージャンを始めるシニア層は増加傾向だということです。
しずおか健康麻将の会 松村範子理事長:「コロナが収まってから最近よく、(始めたいという)問い合わせの電話がある。うちはレベルで合わせるので、初級者を受け入れるサークル、それから上級者を受け入れるサークルというのが空いていれば、そちらにおすすめしている。いろんな人が集まってくるので、誰とでも仲良く、トラブルのないようにするというのが大事」
めざすは「ねんりんピック」
実際に健康マージャンとは一体どんなものなのでしょうか。
しずおか健康麻将の会 松村範子理事長:「(対局前に)点数を出す勉強をするので、中級以上の教室は勉強として点数表の暗記をしていただく。必ず1回始める前に暗唱していただく」
健康マージャンを始める前には、まずルールの勉強を行います。
しずおか健康麻将の会 松村範子理事長:「(対局に)入る前にマナーの注意をするが、まず健康マージャンは知らない人に威圧感を与えないために、牌を強打してはいけません。女性相手が多いので、怖いと思われないような態度でやるのが良いと思う」
勝ち負けよりも皆で楽しむことを目的とする「健康マージャン」。そのため、重視されているのがマナーです。対局中は私語厳禁。ゲームとはいえ、スポーツのようにフェアプレーの精神が健康マージャンには重要です。
勝負が終われば、自然とコミュニケーションが生まれるのも健康マージャンの魅力です。
しずおか健康麻将の会 松村範子理事長:「マージャンを覚えて友達ができて、その人たちだけで、(マージャンを)できるというのが目標の一つ。ただマージャンをするだけではなくて、今度は大会に出る。『ねんりんピック』というのがあって、健康マージャンも正式種目になっているので、そういう大会に出て、もっと自分の腕を磨く、いろんな人とやってみて。そういう目標を持っていただきたい」
公民館で初心者教室も
2007年から、60歳以上を中心とするスポーツと文化の祭典「ねんりんピック」の正式種目にもなった「健康マージャン」。愛好者も増加傾向ということですが、マージャンはルールが複雑。全く経験のない人が始めるには、ハードルが高いとも言えます。
そこで、しずおか健康麻将の会では市内の公民館などで、初心者教室も行っています。指導する先生はマージャンのアマチュアプロの資格を持つ上級者。基礎的な知識をきちんと教えてから実践に入ることで、初めての人でもマージャン楽しめるようになっています。
この日、教室に訪れていたのは全員が年配の女性。マージャン経験は全くない方ばかりです。
参加した初心者 70代:「楽しい、すごい楽しい。初めて会う方ばかりだが、本当に和気あいあいとしていて、気兼ねなく楽しめる」
Q.かなりハマっている?
A.「ええ、ハマってます。もっともっと上手になりたい」
シニア層の新たな居場所として広まりつつある健康マージャン。高齢者福祉の専門家は、こうした生きがいづくりが、これからのシニア層には必要と話します。
静岡県立大学 佐々木隆志名誉教授:「サクセスフルエイジングって言葉がある。サクセスフルって成し遂げるって意味。エイジングは老化。サクセスフルエイジングという言葉、老いを豊かに過ごすという、まさしく老いは成熟期だと思う。その成熟期をどのように描いていくかっていうのは、限られた資源の中で楽しんでいくっていうことが、これからますます求められると思う。要するに介護予防という観点から、そうした取り組みがこれからもどんどん進んでいくことを期待したい」