花粉の飛散量は昨年の2.8倍の予想 薬局「売り上げのピークは2~3週間早い」 『無花粉スギ』に植え替えも

東静岡耳鼻科 加藤高志院長:「(花粉の飛散量は)今年ここ10年で一番多い予想です。昨年に比べて約280%飛散する予報になっている」

画像: 花粉の飛散量は昨年の2.8倍の予想 薬局「売り上げのピークは2~3週間早い」 『無花粉スギ』に植え替えも

飛散量去年の2.8倍、飛散時期も早まる

画像1: 飛散量去年の2.8倍、飛散時期も早まる

 これは先週土曜、河津町で撮影された映像です。モクモクと、おびただしい量の花粉が飛んでいく様子が確認できます。日本気象協会によると、今シーズン東海地方の花粉の飛散量は去年のおよそ2.8倍。例年比でおよそ1.8倍と、非常に多い予想となっています。さらに、今年は飛び始めの時期が早まっているようで…。

東静岡耳鼻科 加藤高志院長:「急に飛散量が増えているので、例年は3月の1週目に来る人も、もう症状が出てしまったということで早めに受診する人が多い。今年はかなり患者も多い」

画像2: 飛散量去年の2.8倍、飛散時期も早まる

 静岡市葵区の1平方センチメートルあたりの花粉量を見ると、先週末から一気に跳ね上がっています。本格的な花粉シーズンを迎え、耳鼻科にも多くの人が…。

受診に来た人:「(症状は)くしゃみと鼻水と目のかゆみです。目のかゆみが我慢できなくて」

受診に来た人:「少し前から(受診に)来ていて、薬を飲んでいるが、ちょっと眠気が強くて、次の日眠くなっちゃうので、薬を替えてもらいたくて」

 中には、初めて花粉症と診断された子どもも…。

受診に来た人(親):「2人とも花粉症じゃないかと(診断された)。結構鼻がズルズルしている感じで、今週に入ってから気になりだした」

花粉関連の商品 2~3週間ほど早くピーク

林輝彦アナウンサー(杏林堂薬局 静岡小鹿店):「今年は花粉のピークが例年よりも早いことに加え、飛散量も多いことから、静岡市内のドラッグストアでは目薬や鼻炎薬など、花粉関連の商品の売れ行きが好調だといいます」

画像: 花粉関連の商品 2~3週間ほど早くピーク

杏林堂薬局 正田葉月さん:「今年は昨年と比較すると2~3週間ほど早く(売れる)ピークが来ている。2月に入ってから売り上げが鼻炎薬は約140%、目薬は約120%前年比で伸びている」

薬局では『瞳を洗浄する目薬』が人気

 例年、花粉症の関連商品が売れるピークは2月下旬から3月上旬ごろですが、今年は前倒しで客が殺到している状況です。特に売れ行きが好調なのは瞳を洗浄する、こちらの商品。コンタクトやメイクをしたまま使用できるのもポイントです。

画像: 薬局では『瞳を洗浄する目薬』が人気

 花粉症歴20年、この時期は薬の服用が欠かせない、林アナウンサーが試してみると…。

 
林アナ「全然違う。すごいスッキリ。ゴロゴロ感がなくなった」
杏林堂薬局 正田葉月さん:「(目に)ゴロゴロ感がないきれいな状態なので、そこにアレルギー対応の目薬を差してもらうと、より効果が実感できる」

 こちらのドラッグストアで扱っている花粉症関連商品はおよそ160。年々品数が増えているといいます。

『無花粉スギ』に植え替えも

 一方で、県内では花粉に悩む人たちを救うかもしれない画期的な研究も進められています。その現場を取材するため、番組スタッフは浜松市へ―

阿隅健一ディレクター(浜松・天竜区龍山町 22日):「浜松市の中心部から車で1時間半ほどの場所にある天竜区の山間部です。ここに私の膝ほどの高さのスギが植えられている。実はこのスギは『無花粉スギ』といって、花粉を全く出さないスギとして注目を集めている」

画像1: 『無花粉スギ』に植え替えも

 「無花粉スギ」は県が中心になって15年ほど前に研究が始まったプロジェクトで、今は4種類の「無花粉スギ」が品種登録されています。花粉が飛ばない杉に植え替えることで、スギ花粉の発生源をなくす狙いです。

県農林技術研究所 袴田哲司博士:「ここの場所で200本くらい。他の場所にもいっぱい植えているので、県内全部合わせれば1500~2000本くらいある」

 去年植えた苗は1年で、およそ80センチまで成長。研究用の「無花粉スギ」は浜松市を中心に、島田市や伊豆の山間部にも植えられています。植え替えには長い時間が必要ですが、いつの日かスギ花粉とは無縁となる日が訪れるかもしれません。

画像2: 『無花粉スギ』に植え替えも

県農林技術研究所 袴田哲司博士:「今国民の4割が花粉症だと言われていて、4割はかなりの数だと思う。何らかの対策を林業的側面からもやっていく必要がある。植え替えるのはものすごく時間がかかるが、無花粉スギを開発して少しずつでも花粉症対策に貢献できたらいい」