【特集 東日本大震災から11年】NPOを立ち上げた静大生が防災教育に奮闘 「小中高大の一貫連携」で地域全体の防災能力向上を
地域防災に取り組む若い世代を増やす狙いで
藤本湧磨さん:「テレビのテロップで津波逃げてって書いてあって。車とか家が飲まれてる姿を見て、いったいそれがなんなのか、何かわからなくて」
静岡大学人文社会科学部の1年、藤本湧磨さん、19歳。東日本大震災の発災当時は、8歳の小学2年生でした。そんな藤本さんが先月立ち上げたのが「New(ニュー) Aniversal(アニバーサル) Act(アクト)」というNPO。地域防災に取り組む若い世代を増やすのが狙いです。
藤本さん:「今、東日本をちゃんと生でおぼえているっていうのは、今の高校生が限界かなっていうのを持っている中で、やっぱりこれを忘れちゃならないなって。危機感とかその当時の教訓ですね。そういったものは絶対に忘れてはならなくて」
NPOの主な活動は、県内の小中学校で授業をしたり、県内外の高校生と災害について意見交換をしたり。メンバーは、大学の同級生をはじめ、出身の駿河総合高校の生徒などおよそ30人です。藤本さんが「災害」について興味をもったきっかけは、高校生の時に、防災に関する教材づくりに携わったこと。
藤本さん:「静岡は災害って言われてきた中で自分は何もやってないなとそこで思って、高校3年生最後ですし、静岡のためになるならばぜひやりたいなというので」
東北や熊本の被災地で感じたこと
その後、東北の被災地だけでなく、熊本県にも足を運んだ藤本さん。そこで、あることに気づきます。
藤本さん:「若い世代がいないと、例えばテントを立てるのも一苦労だし、何か例えば瓦礫とかをですね。撤去する際とか避難を誘導する際っていうのは基本若い方。特に学生さんとかがかなり力になるっていうのは、東北とかあの熊本とかでも実際にあった事例ですので、そういったところでもやっぱり若い力っていうのは重要なのかなというふうに思っています」
さらに、こんな課題も。
藤本さん:「静岡だと、防災訓練っていうと校内で行うことっていうイメージがあるんですけれども、東北だと地域の方と一体になって、本当に山に逃げたり、あの実際に地域の方が一緒に避難してきたりとか、そういったところまでやっていたりするので、そういうところが足りないなあって、今後ちょっと実践していかなければならないかなって感じましたね」
小中高大一貫連携の防災教育
そんな藤本さんに、講師としての出演依頼が舞い込みました。
藤本さん:「小中高大一貫連携としまして、主なNPOメンバーである高校生、大学生と地域の中心である小中学生とか一つのつながりを持って、地域全体での防災能力の向上を目的に活動している」
おととい静岡市内で行われた座談会。小中学生の子どもがいる保護者を対象に開かれました。
藤本さん:「11月に行った授業ですが、実際にこの水防災に関する教材を使用して授業を行いました。いつ避難を開始するのか、またいつ声をかけるのか等をグループの中で考えるという内容です」
藤本さんは、過去に行った授業について紹介しながら子どもたちへの防災教育の重要性を訴えました。続いて、参加者からの質問に答えます。
参加者:「静岡といえばこういうところが危険なポイントだよというのがあると思うが、それを教えてもらえたらと思うんですが」
藤本さん:「駿河区は安倍川の河口がありまして、特に大里地区等は安倍川が決壊した際、ほぼ全域が浸水域に指定されている。そういったところは今後注視していかなければならない」
地域のために地道な活動を
そして、最後に参加者に訴えたこと。
藤本さん:「ぜひ保護者の皆さんにして欲しいなあと思うことがあって、街歩きなんですよ。親と一緒に歩いて、例えばここの道は道幅が狭くて、しかも両側のブロック塀だから地震の時は危険かもしれないとか、その地域のその特性、危険な場所とですね。把握しておくことによって、避難をよりスムーズに行うことができるんじゃないかなというふうに思います」
地域のために地道な活動を…。東日本大震災を後世につなぐ若い力です。
藤本さん:やはり東日本という大きい災害から11年経っている中で、今の小学生だと東日本より後に生まれているという子供も今多く存在しています。やはりそういったところでこの防災に関する活動の必要性っていうのは再び感じている」