【密着】新人潜水士の初訓練…初日からアクシデント 合格率1割未満の狭き門突破して小学校からの夢叶える 静岡・清水海上保安部
オレンジの潜水服でスタートラインに
静岡市の清水港。
山口大輔さん:「海上保安庁を知り、海猿をみてそれで知って、かっこいいなと目指した」
オレンジの潜水服は一人前の潜水士の証。それでも、スタートラインに立ったばかりです。
海の安全を守り、海の事故から命を守るため過酷な訓練に挑みます。
山口大輔さん:「本日、小学生からの夢だった潜水士になることができました。これからは先輩潜水士に追いつけ追い越せの精神で、日々の訓練に取り組み、ひとつでも多くの命を助けられるよう頑張ります。よろしくお願します」
登る、渡る、泳ぐの要素
山口大輔さん。北海道出身の22歳。去年11月に潜水士の試験に合格し、8月31日、正式に清水海上保安部に配属されました。清水港での潜水訓練はこの日が初めてです。
最初の訓練は、緊急時を想定した脱出訓練です。高波などの天候が悪い時にも対応できる体のさばき方を身に付けるため、登る、渡る、泳ぐなどの要素が取り入れられています。
潜水士の主な仕事は海底の調査や救助活動。「人命救助」はどんな過酷な状況であっても、現場に出動し、命を守らなければなりません。
それに耐えられる体力と精神力をつけるため、厳しいメニューをこなします。
「声出せ」
「最後まで声出せよ」
総重量10キロ。この立ち泳ぎは、体力作りと水に浮き続けることが目的です。続いては、海面から船へとつながるロープを登ります。
※ロープをあがる訓練
「踏ん張れ」
「1、2」
「あと一歩、ファイト」
山口さんは合格率1割にも満たないという狭き門を2度目の挑戦で突破。
潜水士を目指したきっかけは…
山口大輔さん(22):「小学生のころから水泳をやっていて、その水泳の関係で海上保安庁を知り、海猿をみてそれで知って、かっこいいなと目指した」
自分の力で人を助けたい。この熱い想いが原動力です。
アクシデントも…。ウエイト外れ
訓練の中盤アクシデントが…。
「ウエイト外れました」
「潜ってとってこい」
体を沈みやすくし、バランスを保つために腰につけるウエイトが外れ、海の中に沈んでしまいました。
当日朝まで降っていた雨の影響で濁った海。果たして、見つけられるでしょうか…。
「ありました」
山口さんは1時間にわたって続いた訓練を着実にこなしました。
先輩潜水士「あえてキツイメニューにしたけど、最後までなんとかこなした」
訓練を指導した先輩潜水士は…。
洞口直紀班長(32):「元々、体力には自信のあるタイプの潜水士でありますので、きょうはあえてキツイメニューにしたんですけど、最後までなんとかこなして、期待以上のパフォーマンスじゃないですけれど、訓練内容だったかなと思っております。実際の海難現場で、自らの命を失ってしまう無理をすることがないように自覚をもって、プロとして一人前の潜水士になってほしいと思っております」
山口大輔さん(22):「これから日々の訓練を重ねて、先輩の潜水士においつけるようにまた追い越せるように日々の訓練に取り組んで、将来的には特殊救難隊だったり、救難の最前線に立ち、人の命を助けられるように仕事していきたい」
新たな一歩を踏み出した新人潜水士。「その時」に備え、訓練の日々は始まったばかリです。