防潮堤の役割も…エスパルスドリームプラザ新館オープン　ユニクロやスターバックスそれに市内初出店のベーカリーも　静岡市

　静岡市清水区のエスパルスドリームプラザに新館がオープンしました。商業施設としてだけでなく、災害時には防災機能も果たすという新たな賑わいづくりの「形」が見られます。

西尾梓アナウンサー：「午前１０時です。エスパルスドリームプラザ新館パークサイドが今オープンしました。オープンを待ちわびた人たちが、続々とお店の中へ入っていきます」

　１０日、静岡清水区のエスパルスドリームプラザにオープンした「ＰＡＲＫ－ｓｉｄｅ（パークサイド）」。地上３階建ての施設にはユニクロやＧＵ、スターバックスやＡＢＣマートなど９店舗が入っています。

　ユニクロでは地元企業とコラボしたＴシャツやトートバックが数量限定で販売され、お目当ての品を買い求めようとする人で店内はあっという間にいっぱいになりました。お弁当「どんどん」のトートバックは完売してしまったそうです。

　この日はクルーズ船が寄港していることから客の中には外国人の姿も…。

フィリピン人とインド人
「妻にプレゼントだよ、素敵でしょ」
「ここは最高のおもてなしの場所だよ」

　清水区には初出店となるスターバックス。晴れていれば富士山を見ながらコーヒーを楽しむことができます。

清水区民：「今年に入ってフラペチーノをコンプリートしようと思って、路面店とか少し遠くのショッピングセンターに行っていたが、近くで飲めるということでうれしくて来た」

　１階には静岡市初出店のベーカリーも出店しています。

西尾梓アナウンサー：「静岡市初出店のこちらのベーカリーには、朝から絶え間なくお客さんが訪れていています。オープンから３００人以上の方が来ています。みなさん、トレーいっぱいにパンをのせています」

　藤枝、焼津に次ぐ県内３店舗目の出店となった「石窯パン工房ＰＡＴＯＮ（パトン）」。店内には手作りのパンおよそ１３０種類が並んでいます。

　清水店では限定で、「もつカレーパン」「オレンジピールのカンパーニョ」などを販売。オレンジピールのカンパーニョは清水エスパルスをイメージしているそうです。

ＰＡＴＯＮ　松井亮太マネージャー：「僕自身も清水出身で、地域に何か恩返しがしたいといういことで静岡市に初出店になった。地域の皆さまに愛されるお店づくり一生懸命やっていく」

　オープン初日、大盛況となった新たな商業施設ですが、清水区民が招待された９日も違った光景が見られました。

９日正午（アナウンス）：「１２時となりました。本日新館『ＰＡＲＫ－ｓｉｄｅ』プレオープンのお時間です」

　拍手に迎えられ一足先に、清水区民がぞくぞくと新館に入っていきます。

　開店後も来場者の列が途切れなく続く中。館内で真っ先に行列ができていたのが、やはり、清水区に初出店となるスターバックスです。

清水区　２０代：「すごい海もよく見えるし、広々としていてすごしやすいと思う。きょうはジェラート店と、本当は（１階の）パン屋さんにも行きたかったが、めっちゃ行列だったので諦めました。元々ドリームプラザはエスパルスの関係で賑わっているので、それがもっと賑わって嬉しい」

清水区　８０代：「（景色は）見慣れているが、なかなか上から見られることがない。だからこういう感じだなと思って楽しい。いろいろ景気が悪いから、楽しいってことはちょっとそういうことが忘れられていい」

　清水区民も“絶賛”の新館。ただその魅力は景色や買い物以外にも─

東海大学海洋学部　水族応用生態研究会　山本明さん
Ｑ．ウミトモパークと書いてあるが？

Ａ．「ウミトモスコープという取り組みをしていて、東海大学とドリームプラザで連携してやっている」

　新館の３階にあったのは公園のような空間。壁には４つの小窓があり、水槽を覗くことができます。

東海大学海洋学部　水族応用生態研究会　山本明さん
「コーヒー豆のかすを、（水槽の）フィルターの代わり、活性炭というものの代わりにして魚は飼えるのかという実験をしている」

　東海大学の学生の実験を見ることができるこちらのスペース。水槽の高さは子どもが見やすいよう低めに調整されていて、“学び”ながら楽しめるキッズスペースとなっています。

　たくさんの魅力が詰まったエスパルスドリームプラザ「ＰＡＲＫ－ｓｉｄｅ」。ただこの新館は一般的な商業施設とは少し違った側面を持っているといいます。

エスパルスドリームプラザ　大井一郎社長：「これが防潮堤。このコンクリートの壁がずっとつながっています」

　新館海側のデッキの下には、分厚いコンクリートの防潮堤が埋まっていました。実はこのエリアは、最大およそ３ｍの津波浸水想定区域となっていましたが、これまで景観や港での作業に影響があるという理由で防潮堤がありませんでした。

　それが今回、「県」と「民間」の協力によって初めて作られたということです。

エスパルスドリームプラザ　大井一郎社長：「本来だとこの壁が建ってしまうと、国道側からは何も見えない。景色が見えなくなってしまうので、防潮堤の上に海側の玄関を作って上から見られるように。景観を大事にして、かつ安全も担保した」

　１階には高さ２．５ｍの防潮堤、上の階は２４時間逃げ込める津波避難ビルとしても運用でき、防災をかねた商業施設となっていました。

　行政としても新たなモデルケースにしたいようです。

静岡市　難波喬司市長：「防潮堤で壁を作るのではなく、建物と前の公園が一体となって、防潮機能を持たせる。非常に日本の中でもモデルになるような施設整備の仕方となっている」