結婚式会場は電車…線路がバージンロード 岳南電車「地域密着の会社なので…」 なぜ、電車で…新郎新婦は 静岡・富士市
式場は全長9.2kmのローカル線・岳南電車
吉原駅から岳南江尾駅までを結ぶ全長9.2kmのローカル線、岳南電車。その車内を貸し切りにしての結婚式です。
新郎 田中彰さん 新婦 田中文美さん
Q.なぜこういうところで結婚しようと思った?
A.みんな楽しんでもらい、思い出に残る結婚式にしたかった。コロナ禍でなかなか挙式ができなかったというのもあるので、特別なものにしたいと思った。私の母がずっと(岳南電車の)駅員で切符を売っていたのが縁。
岳南鉄道側の狙いは…
この挙式、岳南電車の側にも狙いがありました。岳南電車は、貨物の廃止や乗客の減少で経営難が続いていて、富士市は2004年度から約8億円以上の補助金を出しています。苦境が続く中、PRの一つとして、こうした結婚式も展開していきたいと考えたのです。
岳南電車 大井海渡さん:「地域密着の鉄道会社なので、地元の方に多く知っていただいて楽しんでいただきたい」
線路がバージンロード
午前10時半過ぎ。特製のウェディング列車が岳南江尾駅に入ってきました。いよいよ新郎新婦の入場です。
少し緊張した様子で駅のホームを降りていく新郎の彰さん。
叔父にエスコートされながら、新婦の文美さんは満面の笑みで歩いていきます。バージンロードではなく線路の上を歩き、いよいよ2人だけの特別な形の結婚式が始まりました。
新郎新婦:「本日は、皆さまの前で改めて絆をさらに強くするために、次のことを誓います」
彰さん:「1日3回はカワイイと言います!」
文美さん:「ずっとカワイイと言ってもらえるように、どんなに酔っぱらっても、お化粧は落とします」
ユーモアたっぷりに、あいさつする2人。すでに婚姻届は出していますが、学生時代からこよなく愛した岳南電車で結婚式を行いたいと、今回の人前結婚式を決意したそうです。
新郎 田中彰さん:「本日は、皆さま僕たち夫婦のためにご参加いただきありがとうございます。これからも末永く頑張っていきたいと思います。それでは本日は岳鉄のダイヤのように分刻みでスケジュールが詰まっておりますので、きょうも1日よろしくお願い致します。それではグラスをお願い致します。乾杯」
人生最良の日を、自分たちにとって一番特別な場所で過ごした田中さん夫妻。岳南電車もこうした新しい取り組みを今後も行い、幅広くPRしていきたいと考えています。
岳南電車 大井海渡さん:「月に1回でも2回でも(オリジナルイベントを)やっていく中で、そこから他の人にも乗りに行きたいなと思われる鉄道になりたい」