時間の誤差はわずか2秒。停車位置のずれはなんと0.9cm 自動運転の新幹線に乗車リポート 浜松市

 2028年の運用開始が計画されている東海道新幹線の自動運転の実験が、メディアに初公開されました。
梅田航平記者(JR浜松駅 10日):「まもなく深夜0時です。今、JR浜松駅のホームに自動運転の新幹線車両がやってきました」 
「試運転」の文字を掲げ、JR浜松駅のホームに到着した新幹線。終電後、深夜の東海道新幹線で行われたのは“自動運転の走行実験”です。新幹線の自動運転化。
いったい、どんなメリットがあるのか? 車内に乗り込み取材しました。

画像: 時間の誤差はわずか2秒。停車位置のずれはなんと0.9cm 自動運転の新幹線に乗車リポート 浜松市 youtu.be

時間の誤差はわずか2秒。停車位置のずれはなんと0.9cm 自動運転の新幹線に乗車リポート 浜松市

youtu.be

「発車」は“ボタン1つ”

画像1: 「発車」は“ボタン1つ”

梅田記者:「車両の中に入ってみると、実験車両ではあるが他の車両と大きな違いはないようです」

 今回の実験では、浜松駅を午前0時19分に出発し、掛川駅を通過したあと、午前0時45分に静岡駅に到着、その後、浜松駅に折り返すという行程です。自動運転ということもあり、新幹線の「発車」は“ボタン1つ”だといいます。

画像2: 「発車」は“ボタン1つ”

JR東海 担当者:「こちらの緑のボタンを押すことで発車して、それ以降掛川駅を通過して静岡駅に停車する。そこまでの自動運転を体感していただきたい」

画像3: 「発車」は“ボタン1つ”

 ボタンを押す運転士。すると車両が自動で動き出し自動運転がはじまります。走行中は運転士が速度を調整する必要がありません。ちなみに、停車についてもやはり“ボタンを押すだけ”です。緊急時にはマニュアルで運転することもでき、万が一の事態にも対応できるようになっているといいます。

0.1秒ごとに計算…速度と時間を調整

梅田記者「新幹線が発車してから10分ほどが経ちました。今、かなり速度も上がってきている状況です。新幹線の乗り心地も他の車両と変わらず、通常の乗り心地という印象です」

画像1: 0.1秒ごとに計算…速度と時間を調整

 そもそも、鉄道の自動運転化をめぐっては国際的な基準があります。6段階ある基準のうち、今回の実験は下から3番目のレベルで、運転士が運転席で一部の操作をする「半自動運転」とも呼ばれるものです。国内では東京メトロなどがすでに導入をしています。自動運転化を進めることで、鉄道にとって「生命線」とも言える「ダイヤ」についてもコンピュータが時間調整をしてくれるようになります。

JR東海担当者:「こちらの現在の場所から前方、この位置からずっと遠方、こちらの理想的な運転曲線、これを作成するということと、運転曲線に沿って追従するように走行する、こうしたところが特徴となっています。
これを車両が自動的に作成することと、さらにそれを走行しながらリアルタイムに運転曲線の再作成を行ってそれを繰り返していく」

画像2: 0.1秒ごとに計算…速度と時間を調整

 簡単に説明すると、コンピュータが0.1秒ごとに計算をし、速度と時間を調整しながら新幹線が走行するということです。その実力はというと…。

時間誤差はわずか2秒。停車位置はなんと0.9センチ

梅田記者「今、自動運転の新幹線がJR静岡駅に到着しました。時計を見てみると、概ね時刻通りの到着となりました」

画像: 時間誤差はわずか2秒。停車位置はなんと0.9センチ

 浜松から静岡まで、25分ほどで到着する予定だった今回の行程。コンピュータによる調整の結果、誤差はなんと2秒でした。到着早々、行われたのは“特殊なものさし”を使った計測。規定の停車位置と実際の停車位置の差を計測します。

結果は…

「0.9センチです」

 東海道新幹線の規定では停車位置の差を1m以内と定めていますが、それをはるかに上回る結果に。

JR「精度は良かった」

 今回の結果についてJR東海は…。

画像: JR「精度は良かった」

JR東海新幹線鉄道本部 辻村厚本部長:「精度は、良かったなと思っています。現在、新しい技術を導入して、安全と効率化を目指す業務改革をやっている。今回の自動運転も業務改革の一環で、将来的に自動運転を営業線で導入しようと考えている」

 自動運転化が進むことで、これまで車掌が行っていた安全確認の作業を運転士が行うことができます。こうして1つ1つの仕事を分散化することで、よりよりサービスを提供することが狙いの1つです。JR東海は2028年ごろからこの自動運転システムを搭載した車両を順次導入していきたい考えです。