コロナ禍に…静岡―新千歳線5年ぶり再開 FDA社長に聞く…そのワケは 北海道の魅力も取材

 新型コロナの感染者数が減少傾向にあるものの、先が見えないコロナ禍の生活。依然、厳しい状況が続いているのは航空業界です。 世界各地で猛威をふるうオミクロン株の影響で、外国人の新規入国が禁止されました。
  
 静岡空港も苦境に立たされています。欠航が相次いだ去年のゴールデンウィークは、開港以来、初めて発着便がゼロになりました。

FDA静岡空港支店 中井秀昌支店長:「出発、到着のお客様や買い物や食事といった皆様で賑わってこそのターミナルビル。その分が大変異例な状況」

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  窮地に陥る県内の航空業界。しかし、今年、新たな挑戦が…。静岡の航空会社FDAが静岡―新千歳線を5年ぶりに再開したのです。なぜコロナ禍で就航を決断したのか?

FDA 楠瀬俊一社長:「静岡に本社を置く会社です。静岡と北海道の航空の路線が冬場とはいえ、途絶えてしまうということは、地域に根ざす企業としてはいかがなものか」

 全国有数の観光都市、北海道。観光客を迎え入れる北海道の感染対策や、街の現状を現地取材しました。

5年ぶり運航再開FDA静岡―新千歳線 理由は「地元企業としての誇り」

 5年ぶりに運航が再開された静岡―新千歳線。県民から注目されている理由とは?

 静岡市清水区に本社を置く総合物流会社鈴与。1801年創業の老舗企業は、海と陸で事業を拡大してきましたが、新たな挑戦の場として空を選びました。
  
 鈴与が親会社のFDA、フジドリームエアラインズは、県内唯一の地元航空会社として2009年に運航を開始しました。

 FDAの社長を務める楠瀬俊一さん。就任は去年6月。去年のゴールデンウィークは、緊急事態宣言の影響で全便欠航。どん底の状態からの出発でした。

FDA 楠瀬俊一社長:「静岡空港に行きましたら、電気も消えて真っ暗な空港。廃墟のような感じがした。空港には華やかさがないと駄目だな」

 その思いが、静岡―新千歳線の就航につながりました。FDAとしては5年ぶりの運航再開です。再開の理由は地元企業としての誇り。

FDA 楠瀬俊一社長:「2016年までは他社も1往復飛ばしていた。弊社と合わせて2往復飛んでいた。オーバーキャパ、提供座席が多かった。(コロナ禍で)他社は繁忙期を除いて運休しました。静岡に本社を置く会社でございます 静岡と北海道の航空の路線が、冬場とはいえ途絶えてしまうということは地域に根ざす企業としてはいかがなものか。『やってみよう!』ということで5年ぶりに復活しました」

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Q.コロナ禍の運航再開から1カ月。反響は?

FDA 楠瀬俊一社長:「ふたを開けてみたら思いのほかご予約をいただいて、FDAが展開する路線の中で一番搭乗率・予約率が良い路線になっています。従って、静岡と北海道を結ぶ路線に対する期待感、願わくばこれがずっと続くよう、皆さんにサポートお願いしたいと思います」

感染対策を徹底

 北海道は全国有数の観光都市。都道府県の魅力度ランキングでも13年連続で1位。搭乗率の高さは県民の注目度が高い証拠です。しかし、北海道は新型コロナの感染拡大で苦しめられています。今年の5月には1日に727人の感染者を確認。

画像1: 感染対策を徹底

 最近は1桁台が続き、落ち着きを見せていますが、旅行者は感染対策に努めなければなりません。

  FDAも感染対策を徹底していました。 係員は、マスクやビニールの手袋をつけて作業。利用客には検温など体調の確認を行っています。

画像2: 感染対策を徹底

飛行時間1時間45分。北の大地、北海道へ

新千歳行きの便には団体客が…

利用客:「島田ですよ、地元です。函館山の夜景を見る札幌のイルミネーションや小樽へ行って2泊泊まって」

 函館山から見る夜景は『奇跡の夜景』と呼ばれ、北海道を代表する観光名所の1つです。

利用客:「寒いかな?と思うけどどうでしょう」

 防寒具だけでなく消毒液も用意。周りの皆さんも感染対策を徹底していました。

 午前11時10分、出発。運賃はインターネットから購入できる「ひょいとe割」を利用すれば8000円から購入できるそうです。空港内だけでなく、機内でも感染対策が行われていました。

 楠瀬社長が太鼓判を押す対策とは?

FDA 楠瀬俊一社長:「機内の空気は3分に1回入れ替わります。新幹線よりも効率が良いと思う」

 機外から常に新しい空気を取り入れるため、3分ほどで機内の空気が入れ替わっています。さらに、感染対策だけでなく、こんな取り組みも…客室乗務員がつけているこのバッジは?

画像: 飛行時間1時間45分。北の大地、北海道へ

FDA 楠瀬俊一社長:「マスク生活が1年半以上続いている。マスクの下の顔が分からない。客室乗務員が機内サービスをする時に自分の似顔絵のバッジを付ける」

 飛行時間はおよそ1時間45分。北の大地、北海道へ。

引退した競走馬やポニーが暮らす「ノーザンホースパーク」

画像1: 引退した競走馬やポニーが暮らす「ノーザンホースパーク」

北川彩アナウンサー:「新千歳空港に着きました。思っていたよりもそこまで寒くない。空気は若干冷たい」

 ただ、前日の最低気温は-9.2度。旅行者は防寒対策が大事ですね。取材用のレンタカーをピックアップするためにバスに乗ったんですが、『黙乗』という注意書きが。感染対策への意識の高さを感じました。

 北川アナは空港の近くにある観光客が訪れる施設の取材に向かいました。

 空港からおよそ15分で行けるノーザンホースパーク。引退した競走馬やポニーが暮らすテーマパークです。最後の緊急事態宣言が解除されてから2カ月。来場者数の現状を伺うと、北海道ならではの問題がありました。

画像2: 引退した競走馬やポニーが暮らす「ノーザンホースパーク」

ノーザンホースパーク 阿部巧さん
「中国や台湾や韓国などのインバウンドのお客様がかなりいらっしゃった。コロナ禍ということで、(海外の)お客様はほとんどいない」

Q.国内はもちろん、海外からもたくさん来てほしい?

阿部さん:「台湾などの暖かい所にお住いの方は雪を見る機会が少ない。雪を求めて北海道にいらっしゃる方が多い」

 やはりネックはオミクロン株。インバウンド需要が見込めないのは施設にとって大きな痛手だと言います。

北川アナも乗馬体験

北川アナ:「最後に、私も人気の乗馬体験をしました。遊びではありません。あくまでも取材です」

 アクアポコ君は22歳。

 慣れてきたらポコ君と外へ!

 少しずつ利用客が戻ってきていることもわかりました。

画像: 北川アナも乗馬体験

札幌の冬の風物詩のイルミネーション

 ノーザンホースパークでの取材を終え、札幌へ。向かった場所は大通り公園。

 札幌の冬の風物詩と言われているイルミネーション。札幌観光協会の岩川さんに説明してもらいました。

札幌観光協会 岩川浩大さん:「札幌ホワイトイルミネーションは今年で41回目の開催。大通会場以外にも駅前通や色々な会場がある。全部で73万球の電球を使っている」

画像: 札幌の冬の風物詩のイルミネーション

 1回目の開催は1981年と歴史あるさっぽろホワイトイルミネーション。市内の5会場で開催されていますが…。

 メイン会場となっているここ大通公園は、来年行われるさっぽろ雪まつりの会場でもあります。

 去年は、新型コロナの感染が確認され始めた2月上旬に開催。来場者数は前年よりも70万人減少しました。

 感染が拡大していた今年の2月はオンラインのみでの開催で、事実上初めて中止に。

 雪まつりの実行委員を務めていた岩川さん。苦渋の決断だったと言います。

札幌観光協会 岩川浩大さん:「イベントができないということは寂しい。オンライン開催という違った開催をしているので、慣れないことをする苦労もありました。お客様に楽しんでいただけないという所が、一番切ない」   

 感染が収まりつつある今、来年の2月に行われる雪まつりは規模を縮小して開催します。

札幌観光協会 岩川浩大さん:「今回 大雪像はない。中雪像を中心に10基以上の雪像が並ぶ」

 雪まつりやイルミネーションは地元の人にとっても大切なイベント。お話を伺いました。

 札幌の大学に通う山口さん。去年の大学生活は…

大学3年生 山口さん:「去年は学校が全て遠隔授業、単位を落としまくっ。全然充実していない。部活動もほとんど活動できない状況。去年と今年を比べた時に、みんながマスクや消毒をして、感染者数を抑えてくれているお陰で、大学生活はこの1年間とても充実しています」

 札幌の人たちも少しずつ日常を取り戻しているようです。

 多くの人に出会い、街の魅力を知ることができた今回の取材。私自身、静岡と北海道の距離がグッと近く感じられるようになりました。

     (12月11日放送)