70歳まで働きますか? 法改正で70歳までの雇用が努力目標に 75歳まで雇用継続する男性「気持ちはすごく若い」 静岡市
70歳まで働くことが当たり前になる時代になるのでしょうか。先月、高齢者の雇用に関する法律が改正されました。目指すのは、年齢にとらわれない多様な働き方がです。
4月、高齢者の雇用に関する法律が改正され、事業主は70歳までの雇用を確保することが努力義務として定められました。背景には少子高齢化が進み、年金の支給開始年齢が引き上げられたことや人生100年時代に突入したことがあります。
街の人は…
70歳まで働くことについて、街では様々な意見が…。
自営業(50代):「一番はや生活でしょ。この時代。ただじゃ飯食べられないので、働かなきゃならないと思いますけど」
会社員(60代):「もう辞めます、65で。もうそれ以上は働きたいとは思わないですね、あまり」
会社員(40代):「この子たちに負担が行くので、(70歳まで働くのは)仕方ないと思う。僕らが働かないと」
今回の法改正では、働き方の「多様性」確保がポイントだといいます。
労働局「幅広く選択できるのが特徴」
静岡労働局 職業対策課 伊藤祥課長:「雇用という形ではなく、委託契約やボランティアでの活動なども選択肢として増えたのが大きな特徴になっています。ご本人の意思を尊重するような形で選択できるように、制度も幅広く設定されたという背景だと聞いています」
改正後の法律では、65歳から70歳までの就業機会を確保するため、70歳までの定年を引き上げることや定年制の廃止などを努力義務としています。定年を70歳に引き上げることを義務付けるものではありません。
37人の従業員のうち、65歳以上が3人の企業
こうしたなか、県内に7店舗を展開する「お仏壇のやまき」では、今回の法改正前から雇用者の希望を聞き取ったうえで70歳まで雇用を継続しています。(定年は65歳)
お仏壇のやまき 浅野秀浩社長:「私たちの商売が仏事に関することや地域の供養の習慣、文化をお客様に伝えていかねばならないと、そういう仕事のミッションがあるなかで、70歳までその知識を生かしてもらおうと取り組んだのが第一歩だった」
現在、従業員37人のうち65歳以上は3人です。
さらに先月、清水店の店長を務める沖林道典さん(69)が、今月70歳の誕生日を迎えることを機に雇用の継続を75歳まで引き延ばしました。
お仏壇のやまき 沖林道典さん:「それは感謝してます。やっぱり辞めてくれって言われるよりは、やってくれっていう方がうれしい」
沖林さんは店長として、店舗経営や墓の設計を行うほか、接客や営業もこなします。
お仏壇のやまき 沖林道典さん:「自分自身はあまり年は意識したことないが、よく考えると結構、年だなとは思うが、気持ちはすごく若い。お客様に頼りにされているなってことはよくある。それがあるから気持ち的にはもっと勉強しなくちゃっていう気になっていると思います」
お仏壇のやまき 社員(20代):「わからないことを聞くと、すべて答えてもらえて仏事、お墓などすべてに関して何でも知っていてすごいなと思います」
長年培ってきたノウハウを生かすことができ、客との年齢が近いことも強みです。沖林さんはフルタイムで働いていますが、本人の希望次第で年に3カ月だけ働く短期間勤務や1日4時間など短い時間で働く社員もいます。
静岡労働局によりますと、このように66歳以上の人が働ける制度のある企業は県内で36.2%です(対前年2.8ポイント増)。
静岡労働局 職業対策課 伊藤祥課長:「高齢者雇用はこれから企業が継続・発展していくためには必要なことだと思います。ぜひ今回の法改正の趣旨を各企業に理解いただいた上で、取り組みを進めていただければと思っています」
人生100年時代に入った今、年齢に関わらず、本人の希望に応じて、より多くの選択肢のなかで働ける制度を設けることが求められています。