送り出されるのは自称「クレイジー校長」 小学校でサプライズ卒業式 静岡・島田市

 静岡県島田市の小学校で4月1日、「卒業式」が開かれました。送り出されたのは、校長先生です。

 4月1日、島田市の川根小学校…。体育館に在校生や卒業生らが集まっています。進められていたは「卒業式」の準備。それにしても、「式」という割には皆さん、ラフな格好です。

画像: 送り出されるのは自称「クレイジー校長」 小学校でサプライズ卒業式 静岡・島田市

 そのころ、体育館の外にいたのが、この日の主人公・石原一則先生、60歳。2019年3月までこの学校の校長を勤めていました。戸惑いを隠せない石原先生。それもそのはず、ここで何が行われるのか…、一切、知らされていません。

サプライズ卒業式 送り出されるのは、石原先生

 体育館の照明が落とされ、いよいよ「式」がスタートです。

「石原校長先生、卒業証書授与式を開式します」

「え、何で?どうしたの?」

 サプライズで行われたのは、石原先生の「卒業式」です。

画像: サプライズ卒業式 送り出されるのは、石原先生

 東京都出身の石原先生。結婚を機に静岡県にやってきました。教師生活37年、県内では33年にわたり各地の学校で教壇に立ってきました。

「クレイジー校長」 式典で熱唱

 ここ川根小学校には2016年に校長として赴任。わずか3年という短い期間ながら、自らを
「クレイジー校長」と称し、〝普通〟の校長先生像を壊したそうです。

元川根小学校校長 石原一則さん:「それでは、いきますか。はい、それではいきます」

画像: 「クレイジー校長」 式典で熱唱

 マイクを手に大熱唱。川根小学校開校50年の記念式典で、自ら作詞にも携わった「LOVE KAWANE」を全校児童の前で披露しました。

 石原先生のモットー…。それは「学校は地域の中にあり、地域の人と作り上げる」。

 町内のイベントへ積極的に参加するその「行動力」で、赴任してすぐに児童からも地域の人からも「愛される先生」になっていました。

 サプライズ卒業式は、半年前から地域の人たちが企画。参加したのは卒業生や在校生をはじめ、毎年町内で開かれている「音楽フェス」に出演するアーティストです。

 こちらの染谷さんは「地域と共に」を掲げる石原先生から2018年に音楽の授業の講師を依頼されました。

ファンキスト 染谷西郷さん:「僕らも、この川根小に来させて頂いて、先生が子どもたちの近い距離でまいた種が、きっとこの川根でたくさんの花を咲かすんだろうなと思いながら、きょうこの式典に参加させてもらっています」

「卒業証書」授与…ところが

 そしていよいよ「卒業証書」の授与です。

「これからも、いろいろな人たちと戦って、まあしばらく? 子どものために頑張ってください」

 「授与」のはずが「授与されず」…。

 またしても戸惑う石原先生。その後、言われるがままにステージ上の紙をめくっていくと…。

「卒業さ・せ・ま・せ・ん」

 まだまだ、「地域のために頑張ってほしい」。そんな願いが込められています。

 サプライズ卒業式は大成功。

画像: 「卒業証書」授与…ところが

川根小学校5年生:「人を助けることを心がけていました。(石原先生は)すごく人望がある人です」

石原校長を祝う実行員会 松島和徳委員長:「本当にお疲れ様とていう会で、校長からいっぱい、いろんなものをもらったので、それを少しでも恩返しできたり、節目としてこの川根という地で、みんなでお祝いできたことはすごく良かった」

元川根小学校校長 石原一則さん:「自分が37年間経ってね。教職やってきて、ずっとこう学校に携わってきたんだけど、こういう風な形で最後ね、本当に大好きな人たちに卒業式をやっていただいて。こんな幸せなね、教職人生はなかったなと。地域と学校っていうのは、こういう関係性を持っているんだと。それを本当に、強く感じましたね」