プラモデルの街・静岡市…電話やポストもプラモ? ターゲットは初心者…メーカーの戦略は

 過去最多となる97の企業や団体が参加した国内最大級の模型展示会「静岡ホビーショー」。5日間にわたって静岡市のツインメッセ静岡で開かれ、多くのファンが来場しました。
来場者「毎年来ています」
来場者「前からずっとホビーショーに来たかったけど、コロナ過があったのでなかなか行けなくて、きょうは会社に休みを取らせてもらって、じゃあ行ってこようと」

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4年ぶりに海外のバイヤーも

 今年は海外のバイヤーが4年ぶりに来日。会場のあちこちで、メーカーの担当者と商談する様子が見られました。

チリから来たバイヤー:「いつも素敵。新しいものを見るのが面白い。私にとっては直接顔を合わせて会うのがとても大事」

画像: 4年ぶりに海外のバイヤーも

インドネシアから来たバイヤーけ「コロナ禍で3年参加できなかった。ようやくここに戻って来られた。私たちはバンダイのガンダム製品をインドネシアで売っている。他の製品もとても良いのでインドネシアに持っていきたい」

業界はコロナが「追い風」

画像1: 業界はコロナが「追い風」

 世界中を苦しめた新型コロナウイルスですが、プラモデル業界にとってはチャンスに。輸出額は右肩上がりで、去年は170億円。10年前に比べて、4倍以上です。

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静岡模型教材協同組合 田宮俊作理事長:「コロナはこの業界にとって追い風だった。巣ごもり需要があった。外国も全部そう、外国から注文が殺到しているし、静岡の模型がないと海外が困る。彼らも(買い付けに)来なければいけない。静岡に来て楽しんでいる」

街にはなぜか「プラモデル」

画像1: 街にはなぜか「プラモデル」

 コロナ禍の巣ごもり需要を背景に、ここ数年人気が高まっているプラモデル。プラモデルの国内出荷額8割を占める静岡市が取り組んでいるのが、「静岡市プラモデル化計画」です。

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静岡市産業振興課プラモデル振興係 石川直哉係長:「街にあるものをプラモデルの枠にはめ込んで設置し直す。公衆電話や郵便ポストを設置し直して、「プラモデルの街」だと体感してもらう取り組みを実施している」

青島文化教材社 初心者向け開発して市場開発を 

 さらなる市場拡大のため、それぞれのメーカーが力を入れているのが、初心者でも簡単に作れるような商品の開発です。

画像1: 青島文化教材社 初心者向け開発して市場開発を

 例えば、車のプラモデルといえば、本物のような精密な作りで塗装を楽しむのが醍醐味の一つ。しかし、こちらの商品は、塗装も接着剤も不要。組み立てを楽しむのがコンセプトです。

画像2: 青島文化教材社 初心者向け開発して市場開発を

青島文化教材社企画課 清水正幸さん:「一番最初(のコンセプト)は初めてプラモデルを組む客向け。昔、プラモデルを作っていて、何年かぶりにプラモデルに復帰したいなという方に向けて作った商品。(サイズが小さくパーツも少ないので)通常のカーモデルに比べて値段がちょっと安くなっていて、初心者の方に向けて勧めやすいと言ってくれているので、メーカーとしてはすごくありがたい」 

バンダイ 初心者にオススメは「プラノサウルス」

 アニメやゲームのキャラクターを使った商品が人気のバンダイも、初心者をターゲットにした商品に力を入れています。

画像1: バンダイ 初心者にオススメは「プラノサウルス」

 こちらは一見、ただの恐竜のプラモデルに見えますが…。

バンダイスピリッツ ホビービジョン 小川健太郎さん:「骨から組み上げて、そこに外皮という外側のパーツを付けていく商品。組み立てることで、より恐竜のことを理解・学習できるプラモデル」

画像2: バンダイ 初心者にオススメは「プラノサウルス」

 その名も「プラノサウルス」。初心者にオススメの理由は…?

バンダイスピリッツ ホビービジョン 小川健太郎さん:「この商品はニッパーや接着剤といった道具が一切不要で組み立てられる。初めて作る方も作りやすい商品になっている」

ホビーショーでは小中高生3700人を招待

画像: ホビーショーでは小中高生3700人を招待

 ホビーショーでは、ものづくりの楽しさを子どもたちに知ってもらおうと、県内の小中高生およそ3700人が招待されました。出展したメーカーが模型の組み立て教室などを開き、子どもたちは初めて体験するプラモデル作りに夢中になっていました。

参加した児童
Q.今までプラモデル作ったことはありますか
「ない」「ない ない ない」 「ない」
「すごく(興味が)高まったし、もっとお母さんにも教えてあげたい」

参加した児童
「プラモデルってあまり買う機会もないし、やる機会もないので難しかったし、できると楽しい感じもあったので、やって良かったと思いました」

伝統工芸をコラボしたプラモも

 青島文化教材社で行われていたのは、プラモデルと伝統工芸をコラボさせた、オリジナルおひなさま作り。使うのは、3色に色分けされたパーツと、実際に「駿河雛人形」の衿に使われる2枚の布。さらに、着物になる布は茶葉で染めた「駿河和染」と、まさに静岡ならではのプラモデルです。

画像: 「駿河雛人形」×プラモデル

「駿河雛人形」×プラモデル

参加した児童
「伝統工芸品とプラモデルが混ざっているということで、作るのにも工夫があったりして面白いなと思いました」

参加した児童
「静岡のいいところをたくさん使っているので、すごくいいなと思いました」

 子どもたちの笑顔は、メーカーにとっても大きなやりがいです。

画像: 伝統工芸をコラボしたプラモも

青島文化教材社 青嶋大輔社長:「これはかなり熱い思いで開発をした。いわゆる地場産業を集結させて子どもたちに作ってもらい、子どもたちに地場産業を理解してもらう。作るという作業で、ものづくりの大切さを伝えたいと思い開発した」