キンメダイの次は「アカイカ」で街おこし…地元でもあまり知られていない「隠れた名産品」 静岡・下田市
市民も知らない「隠れた名産品」
人徳丸 田中竜司さん:「身が甘くておいしいのがいいと思います」
伊豆海鮮 瀧 小瀧祐一代表:「この時期にしか獲れない」
下田市観光協会 澤地大吉会長:「大きいし甘くておいしいです」
西尾梓アナウンサー:「いま、下田の街はあるもので地域おこしに取り組んでいます」
それは、アカイカ。イカの中でも高級品なんです。産卵を控えたこの時期はまさに旬。港には丸々太ったピッチピチのアカイカが水揚げされます。もちろん市内の飲食店ではアカイカを使った様々な料理がいただけます。
しかし、下田市民は…。
50代:「僕ら自身は全然知らないですね」
30代:「知らなかったです」
50代:「アカイカはあまり聞いたことないですね」
実はまだ地元の人もあまり知らない隠れた名産品。
下田市観光協会 澤地大吉会長:「まず知っていただく、こういうのもあるよって知っていただくことからスタートしていきたい」
このアカイカをキンメダイに次ぐ名物にしたい。極上のイカで町おこしを始めた下田市を取材しました。
最盛期迎えたアカイカ漁
西尾アナ:「午前5時半の下田港に来ています。漁を終えた船が港に帰ってきました」
船から水揚げされたのは真っ赤なアカイカ。正式には「ケンサキイカ」と言われます。港から船で1時間半ほどの漁場で獲れたもの。下田では今、このアカイカ漁が最盛期を迎えています。
人徳丸 田中竜司さん
Q.きょうの獲れ高は?
A.きょうは200杯あるかないかくらい。いい時はもうちょっと獲れたり、きょうはよかったです。
Q.今の時期のアカイカはどう?
A.やっぱ甘くておいしいですね。産卵が終わるとダメだと思うがそれまではいいと思います。
アカイカはスルメイカよりも大きく、体長は50センチから80センチほど。濃厚な甘みでアオリイカやヤリイカと並ぶ高級なイカの一つとされています。
5月からはキャンペーンも
そんなアカイカで町を盛り上げようと、5月から新しいキャンペーンが始まりました。
下田市観光協会 澤地大吉会長:「市内の飲食店と宿泊施設でアカイカを使った料理を出して観光を盛り上げていこうというキャンペーンですね。この時期はアカイカがおいしいよっていうのを勧めていきたい」
およそ30店舗で様々なアカイカ料理を楽しむことができます。早速西尾アナが向かったのは「伊豆海鮮 瀧」。下田港で揚がった新鮮な魚を毎朝仕入れている人気のお店です。こちらでいただけるアカイカ料理とは…。
伊豆海鮮 瀧 小瀧祐一代表:「いま旬のアカイカを使ったイカイカ丼。そういう風に期限限定で販売している」
こちらがそのイカイカ丼。アカイカとスミイカ2種類のイカが楽しめる一日5食限定の丼ぶりです。
西尾アナ:「柔らかいですね。口に入れて噛んだ瞬間に甘みがグッときます」
Q.この時期のアカイカはどう?
伊豆海鮮 瀧 小瀧祐一代表:「今が一番旬というかと、この時期にしか獲れない甘みの強いイカなのかなと、そんなふうに感じながら使っています」
もちろんフライや天ぷらもおすすめです。
続いてやってきたのは「開国厨房なみなみ」。こちらでいただけるのは…。
開国厨房なみなみ 徳島一信代表:「お待たせいたしました。アカイカと下田クレソンのガーリックバター炒めです」
Q.アカイカと?
A.「下田クレソンです」
いただけるのはアカイカと、こちらも同じく新しい下田特産の「クレソン」を使ったオリジナルメニュー。そのお味は…。
西尾アナ:「おいしいです。イカの優しい甘みとそこにクレソンの独特な香りが加わっていいアクセントになってますね」
開国厨房なみなみ 徳島一信代表:「通常イカの料理でしょうゆで焼いてしまうと、イカ焼きみたいな感じが強くてクレソンの特徴も消えてしまうので、バターとニンニクでソテーすることでイカとクレソンが一体化するように作りました」
料理も豊富で味も一級品のアカイカ。でも実は…。
開国厨房なみなみ 徳島一信代表:「お客様がそれほど『アカイカ』という言葉を知らないので、提供していても注文されることは多いわけではなかった」
なんと下田市民もこのアカイカの魅力にまだ気づいていなかったんです。街で話を伺ってみると…。
下田市民 40代:「正直いうと、そこまで下田イコールケンサキイカ(アカイカ)っていうところまではイメージはなかった」
下田市民 50代:「僕ら自身は全然知らないですね」
下田市民 30代:「知らなかったです」
下田市民 50代:「アカイカはあまり聞いたことないですね。食べたことなかったんで、見るようになったら食べてみたい」
きっかけはJR東日本の担当者からのひと言
漁期が3カ月ほどと短く、出回る量が少ないことから、これまで地元の人もあまり意識したことがなかったのです。そこに今年3月、転機が訪れます。
下田市観光協会 澤地大吉会長:「我々下田の人間からするとイカをっていうのは頭になかったんですよ。そしたらJR東日本の方に『下田にあんなアカイカのいいのがあるのに、なんで皆さんに紹介しないんですか』って言われて気が付いたんですよ」
きっかけは下田にも特急が乗り入れているJR東日本の担当者からのひと言でした。
今、イカの産地として知られているのは北海道や青森、長崎など。それらに比べて下田は首都圏から近く、多くの観光客を呼べるのではという提案でした。
下田市観光協会 澤地大吉会長:「下田って今までキンメダイばかりやってましたけど、ただキンメダイばっかじゃない魚がある、いろんなものがあるっていうのを逆に教わったということなので、キンメダイもありアカイカもありっていうのでみんなで頑張っていきたい」
夏には海水浴でにぎわい、冬と夏にはキンメダイが旬を迎えます。アカイカは、「初夏の味」として、下田の新しい名物となるのか。地元では期待の声が。
人徳丸 田中竜司さん:「違う魚種が入ってくると、それなりに他の漁もできるようになるので、自分たちも助かりますね。だんだん下田もそういうので活気づいてくれたらいい」
伊豆海鮮 瀧 小瀧祐一代表:「こういうものを食べに観光客が増えてもらえればすごくうれしい。少しでも役に立って下田を盛り上げていきたい」
下田市観光協会 澤地大吉会長:「まだ始めたばかりなので、ます知っていただく、こういうのもあるよって知っていただくことからスタートしていきたい」
「アカイカキャンペーン」は6月30日まで開催されます。初夏の下田で、旬の味を味わってみてはいかがですか。
(5月26日放送)