「江戸時代から続いている。絶やしたくない」 存続の危機にあった「我入道の渡し船」に初の女性船頭デビュー 静岡・沼津市

 乗りながら富士山の絶景を楽しめる静岡県沼津市の「我入道の渡し船」に、この春初めて女性船頭が誕生、「歴史を絶やさない」という強い決意がありました。

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「江戸時代から続いている。絶やしたくない」 存続の危機にあった「我入道の渡し船」に初の女性船頭デビュー 静岡・沼津市

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 沼津市の狩野川。水面を滑る「我入道の渡し船」。

大沼けい子さん:「ちょうど富士山があの愛鷹連山のあたりに見えるんですよ、きょうはちょっと曇っていますね」

 大沼けい子さん。この春、「我入道の渡し船」で初めてとなる女性船頭としてデビューしました。

大沼けい子さん:「初めて船に乗った時に自然の中できれいな景色をたくさん見た。乗ってくださる方には、ぜひそのきれいな景色を見ていただきたいなと」

江戸時代は庶民の交通手段 一時廃止も観光用として復活

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 江戸時代、庶民の交通手段として親しまれた「我入道の渡し船」。しかし、
港大橋が完成し、1971年(昭和46年)に廃止されました。観光用として復活したのは1997年(平成9年)のこと。運賃は片道大人1人100円で
小学生以下は50円です。沼津港と市中心部の「あゆみ橋」との間およそ1.5キロを20分で結びます。

 現在は基本的にエンジンで進みますが、昔ながらの「櫓(ろ)」の音も魅力のひとつです。大沼さんが船頭を目指したキッカケ…。

大沼けい子さん:「江戸時代から続いている船なので絶やさないこと」

復活25年…存続の危機に

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 復活から25年、運航には船頭2人が必要ですが、去年8月1人が引退。復活当初から船頭をしている川口安次さん(82)だけになってしまう事態に…。

 そんななか、渡し船を運航する組合の関係者から声がかかり、大沼さんと中野敬樹さん(67)が船頭になることが決まりました。

 去年9月、小形船の操縦免許を取得した大沼さん。

 木造和船は風の抵抗を受けやすく、川の水位も日々変化。操縦は一筋縄ではいきません。

大沼けい子さん:「初めてのことでしたので、全てのことが一からということで難しかった。風の流れとか水の水位、いろんな面で、自然の中の仕事ですからね、難しいところもあります」

 川口さんの指導を受けながら特訓すること3カ月。

大沼さん「師匠が」

川口さん「一気に、一気にしなくていい。回しすぎ!」

 まだまだ厳しい声がかかります。

初の女性船頭としてデビュー

 それでも初の女性船頭としてデビュー。この日は朝から親子連れなど多くの人が集まりました。

女性乗客:「生まれであり、ここが地元だから、昔はここを往復、船で行ったらきたり、小学生の頃はしていました。試験に受かったということで応援しています」

女性乗客:「私も地元だが、子どもの頃、我入道の渡しは聞いたことがあって実際乗ったことはないが、きょう初めてで。大沼さんを知っているので、評判がいいということなので期待しています。」

 一方、川口さんは…。

川口安次さん:「まだまだだね~。もう少しだね。まだ教えることはある。気を付けてやっているようだが、まだまだ教えることはある。これから上手になると思うよ。もう少し、1年はかかるかな」

大沼けい子さん:「責任と誇りを持って仕事に取り組んでいきたいと思うが、まずみなさんに知っていただくことが目的なので、安全に楽しくご案内できればいいかなと思っている」

画像: 初の女性船頭としてデビュー