日本の「デニムの歴史」30年さかのぼる 復刻したオーバーオールを寄贈…市長「町中がオーバーオール、デニムの街になれば…」 静岡・沼津市
沼津市 頼重秀一市長:「いやー、なんかすごくフィット感があっていい」
沼津市の頼重秀一市長が着ているオーバーオール。日本最古のデニムの復刻版です。作業服メーカー、山本被服が寄贈しました。
デニムの商標登録に「昭和6年、1931年」
1926年に沼津市で創業した山本被服。今は清水町に本社を移し、年間1000種類以上の作業服を製造・販売しています。
この会社が日本最古のデニム製品を作ったと判明したのは、わずか3カ月前の去年の11月のこと。見つかった自社製品のデニムの商標登録に「昭和6年、1931年」と記されていました。これまで、日本のデニムは、岡山県倉敷市で1960年代に作られたのが始まりとされていました。
しかし、山本被服は、その30年前からデニムのオーバーオールを作っていたのです。
この事実を知らされた社員は…。
社員:「すごいことだなとやっぱり。まさかここが発祥だと思っていなかったので」
社員:「えっ? 身近にそんなことがあるのかなと思ってすごいびっくりしたんですけど、誇らしい」
100年前、創業者がアメリカに出稼ぎへ
ひょんなことがきっかけで判明した“日本初の称号”。その誕生秘話とは…。
時を遡ることおよそ100年。創業者である山本彦太郎さんが出稼ぎのためにアメリカに渡ったことが始まりでした。
そこで目にしたのが炭鉱で作業着として着られていたオーバーオール。山本彦太郎さんは思いました。「丈夫で着やすい。これは日本でも売れるのでは?」。
思いそのままロサンゼルスに作業服製造所を誕生させました。その名も、「スターオーバーオールカンパニー」。
山本さん:「向こうで3年創業して、その間のかなりため込んだというか、売れ行きは良かったと考えている」
予想は的中。アメリカでの売れ行きも安定してきた1926年、会社とともに日本に帰国。現地のノウハウを活かした日本初のデニム作業服メーカーを沼津に開業したのです。
頼重市長: 昔はこういう形の工場だったんですね?
山本被服:そうですね、こちらご覧いただく通りですね、当初働いていた人間もオーバーオールの作業服を着ておりますので。はい、これが1926年。
沼津から始まった日本のデニム。発売当初は、北海道の酪農関係者にも大ウケ。
その後、1960年代にオーバーオールの製造は中止されましたが、もうすぐ迎える創業100周年に合わせ、復刻。日本最古のデニムが、およそ1世紀の時を経てよみがえりました。
沼津市長の感想は…
普段、よくデニムを着るという頼重市長は…。
静岡・沼津市 頼重秀一市長:「着心地が大変良いです。例えば沼津市が開催されているいろいろなイベントがあるんですが、そんなのにさらっと参加していただいて、なんか町中がオーバーオール、デニムの街みたいなそんな形になってくれると、また新たな沼津の魅力の発信になるかなと考えているところでございます」
山本被服 山本陵取締役:「このオーバーオールが沼津市発祥ということをですね、広く知っていただいて、地域活性化に役立てていただければな、と思っています」
沼津市は、このオーバーオールを歴史的資料として保管するとともにふるさと納税の返礼品としても活用することにしています。