『夏バテ』でニワトリもグロッキー…卵のサイズが小さく 「この暑さが1カ月続くと影響が出る」 静岡市
「ニワトリの食欲が落ちて卵が小さくなった」
静岡市葵区の「清水養鶏場」。およそ1万5000羽のニワトリを飼育し、1日におよそ1万3000個の卵を生産。また直売所では卵を使ったプリンやシフォンケーキなどの加工品も販売しています。そんな私たちの食卓に欠かせない食材、卵ですが、いま異変が起きているというのです。
清水養鶏場 清水茂取締役:「Mサイズだが、こちらのMは暑さの影響でMSまで1ランク下がっている。(ニワトリの)食欲が落ちてしまって、食べるエサが少なくなった分、卵の栄養分が少なくなって卵が小さくなっている」
連日の厳しい暑さによってニワトリも“夏バテ”し、卵のサイズが小さくなっているというのです。この日、午前9時の鶏舎の外の気温は33.6℃、一方、鶏舎内の温度は32.6℃と、さほど変わりませんでした。もともと暑さに弱いニワトリは、人間のように汗をかいて体温を調節することができません。そのため、口を開けて暑そうにしている姿も…。
清水養鶏場 清水茂取締役:「普通で言えば、梅雨が明けた20日ぐらいから結構暑くなって、8月の間はそういう(卵が小さくなる)傾向がずっと続く。(今年は)梅雨の時期が暑かった。そういうの(卵が小さい状態)がずっと響いている」
「小さい卵も…お願いしている」
卵のサイズは一番小さいSから一番大きい3Lまでの6種類に分けられます。例えば一番大きな3Lの卵は、ニワトリの夏バテによってひとつサイズの小さい2Lの卵にサイズダウン。その差は一目瞭然です。
こちらの養鶏場では、洋菓子店や飲食店などからLや2Lの大きな卵の注文を受けていますが、必要な量を集めるのに苦労しているといいます。
清水養鶏場 清水茂取締役:「ちょっとお願いして、猛暑で卵が小さくなっているので、今回はひとつ下をお願いしますということで、いつもだと3ケース、4ケースの中に1ケース2ケースは1つ小さいサイズを合わせて使ってもらうようお願いしている」
卵のサイズが小さくなることで、洋菓子店では卵を割る手間が増えたり、飲食店では、いつもの材料以上の卵を使うことになるなど影響が出ているといいます。
鶏舎の気温を下げる工夫も
少しでもこうした状況を防ごうと、こちらの鶏舎では26℃を超えると換気扇が自動で回って温度を下げる対策をしています。さらに…。
能地アナ「何か今、上から出ていますが、こちらはどういったものですか?」
清水茂取締役:「細霧冷房と言って、気温を下げるために霧を吹いています」
鶏舎内の温度が33℃を超えるとニワトリが体調不良を起こすため、室温が32℃に達すると自動的にミストが噴霧されるシステムも導入しています。ただ今年の暑さは異常だと話します。
餌に「ニンニク」混ぜて夏バテ予防
清水養鶏場 清水茂取締役:「去年は10分回して10分休むという形で、比較的短時間で効果があると考えていたが、(今年は)10分だと甘い。20分連続で回さないと温度が下がらない、高温な日が多いので」
今年はこの暑さで去年と比べて稼働回数も2倍になっているといいます。さらに夏バテ予防に、私たちもよく食べるあの食材もエサに混ぜているといいます。
清水養鶏場 清水茂取締役:「夏は特に(体力が)低下するので、ニンニクを与えるようにしている。ニンニクは比較的、人間も暑い時とか寒い時に取ると体力が保てるので、ニワトリもそういう傾向があるので、夏場の暑い時にはニンニクを添加して乗り越えるような工夫をしている」
ただ、こうした飼料もウクライナ情勢の影響で価格が高騰。さらに異常な暑さにより換気扇やミストを噴霧することで電気代がかさみ、そこに卵のサイズも小さくなるというトリプルパンチの状態です。
では、気になるのは今後の値上げについて。卵といえば物価の優等生と言われたのも今や昔。農林水産省が発表している食品価格動向調査によると、1パック10個入りの卵の7月の全国平均価格は306円と、過去5年と比べると44%上昇しています。今後はどうなっていくのでしょうか。
清水養鶏場 清水茂取締役:「熱射病で死ぬニワトリが出てくるぐらい状況が悪くなると、卵を産むのもやめるニワトリも出てくるので、(清水養鶏場では)そういう状況まではいっていないが、今後この暑さが1カ月続いたとすればやっぱり影響は少し出てくる」