【密着】高さ2m重さ1t…醤油木桶初めての引っ越し “伝統の味”を守るため8代目が挑戦 静岡・掛川市 /ニュースの現場

 静岡県掛川市の「栄醤油醸造1795年創業の老舗です。社長の深谷允さん(38)。栄醤油醸造の8代目です。

【密着】高さ2m重さ1t…醤油木桶初めての引っ越し “伝統の味”を守るため8代目が挑戦 静岡・掛川市 /ニュースの現場

深谷社長:「先祖代々の醤油蔵です」

伊地健治アナウンサー:「これ醤油蔵って言うんですか?あ、黒いね。木造の建物で瓦屋根で、かなり古い感じですけれども、もうここに来るだけで醤油の強い香りがしますね」

深谷社長:「はい、もろみですね」
伊地アナ:「もろみの香りなんですか?」
深谷社長:「これ古いですね。この建物も、この梁とか。西側に木桶が並んでますね。醤油の木桶、ここに1個見えますね。2つある。100年以上使ってます」
伊地アナ:「100年以上も!? 今この中に醤油が入ってる?」
深谷社長:「入ってます。もろみですね。これを絞ると醤油になるんですけど」
伊地アナ:「なるほど」

【密着】高さ2m重さ1t…醤油木桶初めての引っ越し “伝統の味”を守るため8代目が挑戦 静岡・掛川市 /ニュースの現場

 木で作られた桶で仕込む醤油。春・夏・秋・冬、四季の温度変化にまかせた昔ながらの天然醸造です。もろみをしぼり、火入れをする前の「気揚げ醤油」を味見させて頂きました。

伊地アナ:「すごくスッキリして美味しいです」
深谷社長:「ありがとうございます」

伊地アナ:「確かに醤油でしょっぱいんですけど、しょっぱいだけじゃなくて、ちょっと透明感があるというか、スッキリ感があって甘みも感じます」

【密着】高さ2m重さ1t…醤油木桶初めての引っ越し “伝統の味”を守るため8代目が挑戦 静岡・掛川市 /ニュースの現場

「栄醤油が味の決め手」 ラーメン店店主「市販のしょうゆとは全く別物」

 伝統的な方法でつくられたしょうゆ。この味にほれ込んだ店があります。掛川市のラーメン店「麺屋さすけ本店」。この店のしょうゆラーメンは、栄醤油が味の決め手です。

客:「最高です」
客:「美味しかった」
客:「美味しかったです」
客:「うまみがすごくておいしかったです」

【密着】高さ2m重さ1t…醤油木桶初めての引っ越し “伝統の味”を守るため8代目が挑戦 静岡・掛川市 /ニュースの現場

 世の中に数えきれないほどの醤油が存在する中、なぜ栄醤油なのでしょうか。

麺屋さすけ本店店主 佐々木優介さん:「市販で売ってる醤油とは全く別物。深み、香り、うまみっていうのが自分的にはマッチングして、使わせていただいている感じです」

【密着】高さ2m重さ1t…醤油木桶初めての引っ越し “伝統の味”を守るため8代目が挑戦 静岡・掛川市 /ニュースの現場

2022年「ウマいもの遺産」

 飲食店でも愛される“伝統の味”実は4年前、番組では栄醤油を取材したことがありました。8代目に就任したばかりの深谷さんは、当時こんな“目標”を語っていたんです。

深谷社長:「もろみを並べて、その木桶を並べる蔵を作って、生産量を今の倍ぐらいになる予定してますけど」

 この時に語っていた“醤油増産”プロジェクト。1日、新たな蔵が完成し引き渡されました。

【密着】高さ2m重さ1t…醤油木桶初めての引っ越し “伝統の味”を守るため8代目が挑戦 静岡・掛川市 /ニュースの現場

木桶の引っ越しを決断した理由は

伊地アナ:「木桶が現れましたね。ピカピカ新しい醤油蔵なのに、中の木桶はものすごく年季が入ってます」

深谷社長:「あちらに見えるのが新しい桶ですね」
伊地アナ:「ほんとだ。たくさんの古い桶が運び込まれてますけれども、その一角に、これは今回新しく作られた木桶ですか?」

深谷社長:「引渡しと同時に(4月)1日2日で入れていただいて、そこからもろみの移動、桶の移動っていう流れで…、ダンダカ(どんどん)やってます」

【密着】高さ2m重さ1t…醤油木桶初めての引っ越し “伝統の味”を守るため8代目が挑戦 静岡・掛川市 /ニュースの現場

 醤油をつくるために必要不可欠な木桶の引っ越し作業。大きな決断をした理由とは?

深谷社長:「栄醤油の木桶しょうゆが、大事かどうかはお客さんに教えてもらった。『このしょうゆでないと、ウチの味が決まらない』。そういう風に言ってくれるなら、後世に残していかないといけない。先祖が残してくれたこの環境を私の代で後世につなげていく、というのを頑張っている」

100年以上使った桶が壊れるリスクも

 移設した古い木桶。不具合が見つかるケースも少なくありません。

伊地アナ:「この木桶は、下に段ボールがったり、ちょっとこれ…」

深谷社長:「これね。ちょっとでダメで、結局、桶を動かしてるじゃないですか。やっぱ全部100年以上経ってるんで、壊れるか分からない状態の中での移動なんですよ。結果としてこれはダメでしたね。もろみ移したところ滲み出てきちゃって」

 桶は醤油作りの命だといいます。

深谷社長:「今まだやってる最中であるんですけど「これで無事に木桶が運び終えました」で、それで終わりではないんですね。毎年毎年ダメな桶から新しい桶に更新していく作業。ここで更新をしていくんですね」

 栄醤油の創業以来“初”となる木桶の引越し作業。私(伊地アナ)も手伝ってきました。

 掛川市の老舗醤油醸造所で始まった“前代未聞”の木桶のお引越し。高さおよそ2m重さ1tの桶を、壊れないよう慎重に運び出します。

深谷社長:「良くも悪くも裏表で、100年経ってるからこそ良い醤油ができる。蔵癖(醤油蔵の特徴)が生きてる一方で、永久に持つわけじゃないので、桶は」

狭い場所をフォークリフトで

 私も木桶の引っ越しをお手伝いすることに。今回、作業をサポートしてくれるのは藤枝市にある青島桶店の青島和人さん。日本でも数少ない大型の木桶を作る職人です。

伊地アナ:「青島さんは栄醤油の今回のプロジェクトはどんなふうに見てらっしゃいますか?」

青島さん:「いやもう尊敬しかないですよね。自分のとこではすべてを木桶でやる。その気概というか尊敬してるに近いですね」

 引越し作業は、まず桶の中のもろみを抜き、足場になっている天板を外します。

【密着】高さ2m重さ1t…醤油木桶初めての引っ越し “伝統の味”を守るため8代目が挑戦 静岡・掛川市 /ニュースの現場

 フォークリフトで木桶を持ち上げると…。

伊地アナ:「お!動きました!上がりましたよ。こういう形で置かれていたんですね。すごいですね木桶が動いている様子は。広い場所に移したら木桶のホコリを落とし、狭い場所を通れるように方向転換」

 方向転換し狭い場所をフォークリフトで通します。

伊地アナ:「文字通り難関をくぐり抜けるんですね。狭いので、柱を削ってあるんですよ。削って広げてるんですね。あの数センチがキワキワを行くので。すごい」

【密着】高さ2m重さ1t…醤油木桶初めての引っ越し “伝統の味”を守るため8代目が挑戦 静岡・掛川市 /ニュースの現場

先代社長「僕だったらやらない。リスクが大きい」

 そして木桶を新しい蔵に移動します。

伊地アナ:「桶が蔵の外に出てきました。もう目の前は道路に面しているんですけれどもね。周りに車が走っている中で、蔵の横をゆっくりと木桶が進んでいる。非常に面白い光景が今繰り広げられています。最後の難関を今くぐり抜けて、新しい蔵の前にやってきました。足場を決めて木桶を慎重に設置していきます」

 “100年以上使われてきた木桶”およそ30個を移動。増産体制を作る一大プロジェクトです。先代で父でもある益弘さんはどう思っているのでしょうか?

【密着】高さ2m重さ1t…醤油木桶初めての引っ越し “伝統の味”を守るため8代目が挑戦 静岡・掛川市 /ニュースの現場

先代(父)深谷益弘会長:「僕だったらやらないですよね。この事業は。リスクが大きすぎるし」

 そんな先代ですが、本音も…。

先代(父)深谷益弘会長:「事業承継でついでくれて、やるようにやるってことだから、そこは認めてやらないといけないかなと思っています」

 “伝統の味”を守っていくため、大きな挑戦に出た栄醤油。今後は古い桶から新たな桶に、醤油の命となる「菌」を順次移していきます。

【密着】高さ2m重さ1t…醤油木桶初めての引っ越し “伝統の味”を守るため8代目が挑戦 静岡・掛川市 /ニュースの現場

伊地アナ:「ここにいっぱい良い菌が住んでるわけで」
深谷社長:「はい、うちの栄醤油の蔵癖がここに生きてる」
伊地アナ:「それを徐々に徐々に新しいものに更新していきながら、その菌も蔵癖も引き継いでいく」

深谷社長:「おっしゃる通りです」
伊地アナ:「すごいロマンを感じますね」

【密着】高さ2m重さ1t…醤油木桶初めての引っ越し “伝統の味”を守るため8代目が挑戦 静岡・掛川市 /ニュースの現場