マイナンバーめぐりトラブル相次ぐ…県民「危ない」「困る」 高齢者は高リスクとなる危険性指摘する声も 静岡

 いま、全国で多発しているマイナンバーカードをめぐるトラブル。デジタル庁によると、国から給付金などを受け取れる公金受け取り口座については、誤って別人のマイナンバーに登録されるミスが全国14の自治体で20件確認。また、マイナンバーカードと一体化した健康保険証に他人の情報が登録されたケースが7300件以上確認されるなどトラブルが相次いでいます。

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静岡県でもトラブル発覚

 5月には、「マイナポイント」を巡り、静岡県内で初めてのトラブルも明らかとなりました。

浜松市市民生活課 増田晴美課長:「マイナポイントを支援する窓口で、誤って紐づけてしまったという事案が3件起きた」

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 紐づけミスがあったのは去年の9月と11月。原因はいずれも申込者や窓口支援員によるヒューマンエラーです。手続きに訪れた人が紐づけをする登録途中で作業を中断した際、端末のログアウトをしないまま、次の申込者が登録作業をしたことでミスが発生してしまいました。

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 5月31日には掛川市でも、浜松市と同じようにポイントの紐づけミスと疑われる事案が発覚。掛川市によるとミスがあったのは去年12月ですが、来庁者の記録を残していなかったため、手続きをしていた人の特定ができておらず、いまだに対応はできていないといいます。

県民「危ない」「困る」

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 頻繁にトラブルが発生している状況について街の人は…。

静岡市民 60代:「少し危ない。マイナンバーカードは自分に紐付けられているので、それが誤っていると信頼感がなくなる。100%確実にやってもらわないと使う方は困る」

静岡市民 60代:「率直に言って困る。信用がなくなる完全に。(政府が)自分たちで決めて、それでGOをかけて、(国民)皆従ってやったのにこの状態なので、もうちょっときっちり、慌ててやりすぎたのでは」

「ミスは許されない」…静岡市の取り組み

 そうしたなか、県内の自治体でも、これ以上ミスが起きないように、細心の注意を払いながらの登録支援が続けられています。

 現在、1日に200人ほどが窓口に訪れるという静岡市では…。

職員)ログアウトをしていただきたいんですけど、自分でしてもらっていいですか?

職員)これで終わりなのでここも消してください。

画像: 「ミスは許されない」…静岡市の取り組み

静岡市デジタル推進課 安田洋一郎主任主事:「今回の原因となったログインしたままということが起こりえないように、しっかりログアウトの実施と(次の作業時は)ログインの実施というのを支援で徹底している。ウェブブラウザも閉じてログイン情報が残らないようにしている」

 国から提示されたマニュアル通り、登録作業後には必ず画面を閉じる「ログアウト」を徹底。ピーク時には1日に400人近い人が訪れ登録支援を行っていたそうですが、これまでトラブルやミスは報告されていないといいます。

マイナンバーカードの登録をした静岡市民 40代:「やはり、人のやることなので多少の不安はあるが、ポイントもらえるならと思って申し込んだ。(トラブルについて)不安ではある、すごく。なので、作るのもギリギリまで迷ったし、今後(市が情報を)どう扱っていくのかというのが一番不安なところ」

 静岡市では4月末時点で、マイナンバーカードの発行手続きを行いながら、いまだにカードの受け取りとポイントの紐づけなどを行っていない人がおよそ3万7000人いて、市は引き続き手続きを進めていくとしています。

静岡市デジタル推進課 安田洋一郎主任主事:「ログイン、ログアウトの徹底はもちろんだが、単純な支援で終わるだけではなく、しっかりと情報を伝えて自身でも情報を確認できるようにリテラシーの向上にもつながればと。利用方法を広く知ってもらうとともに、正しい情報をしっかりと周知させていただいて、必要以上に心配になっていただかないように、しっかりとした広報をしていきたい」

健康保険証との“一体化”に疑問の声も

画像: 健康保険証との“一体化”に疑問の声も

 マイナンバーカードのメリットの1つに、健康保険証との“一体化”があります。ところが、医療の現場ではその“メリット”を感じられていないといいます。いわゆる「マイナ保険証」を使うとカードを読み取る際にエラーが頻発したり、自分ではない他人の情報が表示されたケースが全国で7300件以上確認されるなど課題が山積した状況。

 取材したこの日、静岡市内のこちらのクリニックにはマイナ保険証を持参している人は全くいませんでした。

川根本町民 80代:「(マイナ保険証は)全然使っていない、今のところ。今までの保険証があるから必要ない」

静岡市民 80代:「私は保険証だけ(マイナンバーカードと)登録になっているが、使っていない。持って歩こうと思わない。めんどくさいと思っちゃう。義務付けられたら仕方ないので、その時にやろうと思っている」

 このクリニックでは現在、マイナ保険証を利用している人は1日に1人いるかどうか。利用者が少ないため、エラーや誤情報などは発生していませんが、一方で、利便性も感じられていないと言います。

おもて循環器科 表信吾院長:「例えば、検診情報が(マイナ保険証に)入っているとか、(使っている)薬の情報が登録されているからすぐ見れるという便利さを言われるが、実際、今までも薬手帳をほとんど持ってきて、持ってこないのはまず珍しい。健康診断の情報が(保険証に)あるのはいいことだが、(体の)異常を言われた場合、健康診断の結果表を持って診断に来られるので、あまりメリットとしてさほど感じるものではない」

高齢者には「高いリスク」になる危険も

 来年の秋には、現在の保険証を廃止し、マイナ保険証としてマイナンバーカードに一体化することが政府の方針として法案が可決されています。ただ、表院長は、一体化したことによって高齢者には、逆にリスクになる可能性もあると警鐘を鳴らしています。

画像: 高齢者には「高いリスク」になる危険も

おもて循環器科 表信吾院長:「高齢者は物の管理が大変苦手になっている。(情報が)紐づけられれば紐づけられるだけマイナンバーカードを失うことは怖い。しかし、怖いから(高齢者が)うまく管理できるかというと、そうではない。施設などでは保険証を預かったりしているが、マイナンバーカードは、あんな怖いものを預かれない、いろんな情報が入っているので、ということがあるので。あまり強行的なことをすると大混乱が起こるのではないか」

 便利になるためのデジタル化の推進。ただ、県内ではこれによって不便に感じる人たちもいます。国が進めるマイナンバーカード政策ですが、この先、スマートにに進むのでしょうか?