最初は下駄屋だった…名店「戸隠そば」知られざる創業秘話 静岡のソウルフード“磯おろし”驚きの誕生秘話…「邪道」と言われた食べ方が大ヒット
静岡県内に数多く存在する「ローカルチェーン」。県民に“長年愛されている秘密”とは!? 静岡市民に愛され続けている老舗ローカルチェーン「戸隠そば」。
客:「静岡と言えば戸隠」
客:「磯おろしと言ったら戸隠」
今年で創業70周年。ただ、そのルーツには驚きの事実が。
戸隠 津村直人社長:「最初は“下駄屋”をやっていました」
知られざる戸隠そばの歴史。“名物”の誕生秘話に迫ります。
佐々木沙羅アナウンサー:「静岡市民なら誰もが知っている老舗チェーン『戸隠そば』にやってきた。ランチタイムで外まで列を作っている。すごい人気ですね。見てください、中もこんなに人がたくさんいます。大にぎわいです。すごく良いそばの香りがしてきますね」
静岡市葵区清閑町の本店を含み、直営店4店舗を展開する「戸隠そば」。キッチンに響く心地良い音に…。
店内全体に漂う活気。ランチタイムは常に満席です。
静岡市民:「姉が宇都宮から遊びに来て、そばが好きなので連れて来た。よく来ていて、誰かが遊びに来たら連れて来ている」
5歳女の子:「甘かった」
母:「おいしかった?」
女児:「おいしかった。いっぱい爆食いしていた」
静岡市民:「妻が好きなのでよく来ます。暑い日にはばっちり最高」
掛川市民:「昔から食べているから、ここへ来たら必ず食べる、静岡来たら」
静岡市民だけでなく、多くの人々を虜にする戸隠そばですが、その原点を遡ると、驚きの歴史が。
戸隠そばの秘密① 実は〇〇屋だった!?
秘密に迫るため、戸隠そば3代目・津村社長を直撃すると…
戸隠 津村直人社長:「元々は食堂、その前は下駄の職人をやっていて、戦後、下駄の需要が無くなって、高度経済成長期でお腹を空かしているような時代だったので、食堂やればお客さんが来てくれるのではないかと始めたみたい」
戸隠そばのルーツをたどった先にあったのは、下駄屋の後、オープンしたという食堂「つむらや」。
戸隠 津村直人社長:「この写真が当時のものなんですけど、同じ場所で食堂を営んでいましたね」
佐々木アナ:「まさに同じ場所にあったんですね」
津村社長:「この場所は町はずれの場所で、あまりお客さんが来るような場所ではなかった。大体売り上げの7割は出前の注文で、店に来てくれる人はわずかだった]
創業当時は、ラーメンや丼ものなど、他のメニューも提供していました。
佐々木アナ:当時からそばは人気だった?
津村社長:「店内でも人気で、出前でも人気。創業者の夢があって、お客さんが足を運んでくれるような店を作りたいと。人気があったそばに特化していったと聞いています」
こうして1968年にオープンしたのが、「戸隠そば」です。
津村社長:「当時そば粉の名産地として知られていた長野の戸隠からそば粉を仕入れていて、そこから」
佐々木アナ:「インパクトのある名前にしたかった?」
津村社長:「そうですね。専門店とお客さんに知っていただくために」
狙い通り、効果は抜群。当時では珍しかった午前0時までの深夜営業を行うなど、着実にファンを広げ、今では連日このにぎわい!
看板メニューは…市民におなじみの「磯おろし」です。
戸隠そばの秘密② “邪道”と言われた名物「磯おろし」誕生秘話
客:磯おろしと…
店員:磯おろしセットおひとつ
客:天磯おろし
佐々木アナ:「皆さん、食べられているのが「磯おろし」です。次から次へと注文されていきます」
レギュラーメニューは梅や納豆、なめこなど10種類を展開し、夏には、なんとお客さんの8割が注文。1日に500杯以上も出るという「磯おろし」はまさに店の顔。
掛川市民:「特に暑い時は、こういうふうにあっさりしたものがほしい」
静岡市民:「静岡市民のソウルフード」
特徴は、冷たいつゆをかけ、そばの上に乗った揚げ玉、のり、きぬさや、大根おろしを一緒に混ぜて食べるぶっかけスタイルです。
佐々木アナ:磯おろしは当初からメニューにあった?
津村社長:「専門店になった当初は、磯おろしはまだなかった。従業員がまかないとして食べていたスタイル。そばの上につゆをかけ、そば屋によくある薬味やのりをかけてササっと食べていた」
実は、まかないから生まれたという「磯おろし」。常連客から「食べてみたい」と言われたことがメニュー化のきっかけでした。
戸隠 津村直人社長:「それまでのそばの食べ方はセイロに一口ずつ香って食べるというのが当たり前の食べ方とされていた。ただ当時、開業間もないそば店だったので、チャレンジャーというか、お客さんが受け入れてくれたので、ここまで広がった」
「磯おろし」は瞬く間に大ヒット。今や、なんと2000食を毎朝、製麺所で仕込んでいます。こだわりは、そばを3回に分けて伸ばすこと。
戸隠 津村直人社長:「最初から薄くしてしまうと、生地にストレスがかかりすぎて、おいしいそばにならない。弾力とコシが命なので、
(圧力をかける)スピードや厚さにもこだわって、それでコシとしなやかさが生まれる」
現在使っているそば粉は山形県産や北海道産の厳選されたもの。少し甘めのつゆがマッチする磯おろしの中で、一番人気は、小えび天が乗った「天磯おろし」です。
佐々木アナ(食リポ):「のど越し最高です、おいしい。コシすごくてかむほどにそばの風味を感じられます。(具材が)たくさん乗っていますけど、まとまりのある一杯ですね」
天ぷらも店の自慢のひとつです。
戸隠 津村直人社長:「元々食堂だったので、一皿でそばから天ぷらまで、気軽におなかいっぱい満足して食べてもらいたいというところが原点にはある」
市民のソウルフードになっても…。
「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」
食堂時代から変わらない原点。
戸隠 津村直人社長:「親しみやすい店とか、日常食として提供し続けているところは変わらないところ。効率化できるところはしているけど、最後提供するところは人でなくてはいけない。おなかも満たされ、心を満たせる、そういう店であり続けたい」
静岡の歴史とともに歩んできた一杯は、きょうも訪れた人にぬくもりを与えています。