【台風15号】「ドーンという衝撃とともに投げ出された」 3軒が巻き込まれた土砂崩れ…原因は「違法盛り土」か 浜松市 /今週の静岡
9月24日の未明、浜松市天竜区緑恵台で発生した土砂崩れ。家族3人が暮らす住宅など、3軒が巻き込まれました。浜松市は崩落を防ぐ応急対策を講じましたが、住民からは不安の声が上がっています。
近隣住民
「雨が降ったら避難してくださいと言われた」
「隣近所には避難してくださいと言われたら、一緒に連れて行ってと頼んだ」
自宅へ向かう男性。両ひざ、そして腹部にも包帯。体を引きずるように、男性は被災した自宅へ…。
記者「大丈夫ですか?」
佐藤さん「富士山登った時より苦しいよ」
土砂崩れに巻き込まれた佐藤聖徳さん:「ここが一番重いんですけども、十何針縫って、ここが5針ぐらいだったかな。首にも物が刺さって抜けたので、そこのところは7針ぐらい縫って、一応回復はしていますので、あとは肋骨のここ、上から10番目をぽっきり折っています」
9歳の男児は13針縫うけが
痛々しい傷が残る、佐藤聖徳さん、63歳。当時、佐藤さんは妻と息子の3人で自宅にいて、ドーンという衝撃とともに、道路に投げ出されたと言います。
妻はすぐにガレキの中から出てきましたが、そこに9歳の息子の姿はありませんでした。
土砂崩れに巻き込まれた 佐藤聖徳さん:「戻って子どもがいるところが1mぐらい奥の、目に見えるところで起きていて、手を切ってけがをしていたのはすぐに分かったんですけど、とにかく動けない状態。テレビの画面と台座の間に腰を挟まれて、上から裏から落ちてきた50cmぐらいの大木が乗っていて動けない。もうほぼパニックですよね」
自身も深い傷を負っていましたが、周囲に助けを求め、消防へ通報。息子は、およそ2時間後に助け出されましたが、手に13針を縫うけがを負い入院しました。
「もうすごい、すごいの一言」
土砂崩れに巻き込まれた 佐藤聖徳さん:「いや、もうすごい、すごいの一言で。すさまじいですね」
2階にある息子の部屋は、土砂の流入こそなかったものの、1階部分がつぶれた衝撃で、物が散乱し、足の踏み場もありません。
Q:これはお子さんの本?
佐藤さん「はい、そうです」
佐藤さんが、けがをおしてでも自宅に戻った理由の一つは、息子の好きだった本を取りに行くためでした。
土砂崩れに巻き込まれた 佐藤聖徳さん:「僕らに心配かけないように気丈にふるまっているんですけど、ふとした横顔を見ると、とても怖そうにしているのでね。好きだったものをまた返してあげることで、早く回復ができる。早い回復のために(本を)渡してあげることができたらいいなと思っている」
「違法な盛り土」との指摘も
伊地健治アナウンサー(25日):「斜面を利用して多数の住宅が建っている住宅地なんですが、その斜面、数十メートルにわたって崩れ落ちているが分かります。今、見えている家は、そのうち半分ぐらいが土砂崩れで壊れてしまっています」
浜松市天竜区で住宅3軒が巻き込まれ、3人がけがをした土砂崩れ。周辺住民は、この土砂崩れの原因が「違法な盛り土」の可能性があると指摘しています。
近隣住民
「10年ぐらい前から木を切って、上から土砂を落としているみたいだけど」
近隣住民
「たびたびトラックで土砂というか、土を運んで、山林になってたもんで、そこへ運んで、バーって」
付近の住民によると、崩れた場所では、「少なくとも10年ほど前から、木を伐採し、盛り土が行われていた」と言います。
これは、2012年、土砂崩れが起きた場所のグーグル・ストリートビューです。周囲には木が茂り、土地の幅は車1台が通れるほどしかありません。
これが、去年には、伐採された木の向こう側に住宅の屋根が見えていて、土地も平らに整地されていました。
浜松市によると、この場所に関して、条例に基づく盛り土の届け出は確認されていないということです。そのため、違法な盛り土の可能性が浮上しています。
近隣住民
「昔、自治会でも心配して、市と相談して、手を打ってくださいとやったらしい」
住民からは市に対して、少なくとも4回、「土が運び込まれている」などの情報提供があったということです。
鈴木市長「検証・対応する」
浜松市 鈴木康友市長(9月26日):「(土砂崩れが起きたことは)大変由々しきことで、これから今までの経緯の中で、どういうふうに現場の状況を把握していたのかも含めてしっかり検証して対応したい」
Q.盛り土があったかどうかは?
A.「私も(26日)午前中に報告を受けて、これまでは(盛り土があった)認識がなかったので、早急に第三者委員会を作って、経緯も含めて検証・対応していきたい」
(10月1日放送)