江戸時代から受け継がれてきたワサビ田は復旧のメド立たず 河川敷グラウンドは使えず…いまだ残る台風15号の爪痕 静岡市
9月、静岡県に大規模な被害をもたらした台風15号。その爪痕は1カ月以上経った今も色濃く残っています。
河川敷のグラウンドは当面使用できず
栗田麻里アナウンサー:「安倍川の河川敷にあるサッカーグラウンドです。地面が大きくえぐれていて、またゴールポスト下のコンクリートがむき出しになっています」
以前は子どもたちが元気に野球やサッカーなどをしていた河川敷のグラウンド。大雨による川の増水で、スポーツ広場の多くが冠水し、一部が陥没するなどの被害が。当面の間、使用ができない状況が続いています。
静岡市スポーツ振興課 小山貴史主任主事:「河川敷地内に水が入ってしまい、場所によっては大きくえぐられているようなグラウンドだったり、土砂が堆積してひざの高さぐらいまで土砂が積もっているようなところ、その2パターンですね」
安倍川流域には静岡市が管理する19カ所のスポーツ広場があり、そのすべてが被害を受けました。1カ月の間に一部復旧も含め、使えるようになったのは4カ所だけ。残りの15カ所は現在も全く使用できない状況です。
普段グラウンドを利用していた人は…。
利用者:「子どもが土日はすごくにぎやかだが、今はそれがない。早く土を入れてならしてもらいたい、みんなが使えるように」
市によると、台風15号による被害が広範囲で大規模のため、都市災害復旧事業の制度を利用し、国土交通省の補助を受けて修復を行う予定だといいます。
静岡市スポーツ振興課 小山貴史主任主事:「被害状況から見て、市の予算だけで全てを修復するのが難しいと判断して、国の補助を受けられる都市災害復旧事業という形でほとんどの広場を修復していく」
修復が終わり全ての広場が使えるようになるのは来年8月になる見通しだということです。
静岡市スポーツ振興課 小山貴史主任主事:「補助を受けるにあたって被災状況の保存が必要なので、今のところほとんどの広場で修復が進んでいない。日常の一部として利用してもらっていたので、それがなくなってしまっている状態。そこに関しては、非常に申し訳ないと思っている。迅速な復旧を目指して取り組んでいきたい」
江戸時代から受け継がれてきたワサビ田も復旧のめど立たず
梅田航平記者:「静岡市清水区の山間部で立派に育ったこちらのワサビ。以前は一面に広がっていましたが、被害から一カ月たった今もワサビは土砂やガレキに覆われていて、復旧作業は進んでいません」
こちらは清水区両河内地区でお茶とワサビの製造・販売をしている「やまよ」のワサビ田。台風15号の被災から一カ月以上経過した今も全く変化はないといいます
ワサビ農家:「ほとんど手付かずですね。農道の片付けだったり、通常業務をやりながらなので。生活もしていかなきゃなので、復旧ばかりやっているわけにもいかない」
「こういう生きているワサビもこんなに大きくなっているんだよ、これがもう1万何千本って流されちゃったわけだからね…」
古くは江戸時代から受け継がれてきたというこのワサビ田。全長は400メートルにも渡りますが、その9割以上が壊滅的な被害を受け被害額は200万円を超えています。
被災から1カ月。いまだ復旧の目処すらたっていません
ワサビ農家:「材料がまずないわけだから、石垣の石を拾ってきても、そこに入れる砂とか土がない。相当な覚悟がいる、全部直すとなると。とにかく体が疲れてきた、1カ月経っても何も変わってないでしょ。まだまだという感じ」
土砂流入した茶畑は仲間の手助けで通常に
一方で、土砂の流入などの被害があったという茶畑を案内してもらうと…。
ワサビ農家:「ここの高さまでは土が入っていたので、本当に15人ぐらいでバケツリレーで出して、こんな風にしてもらった。友達が来てくれて、手作業で土砂を退けながらここまで辿り着いた」
今は来年の一番茶に向けた管理を行う大切な時期。例年より遅れはとりましたが、友人たちの手助けもあって被災10日目には通常業務に当たれるようになりました
ワサビ農家:「本当にいろいろな人に助けてもらって、友達・仲間・お客さん・先輩・後輩だったり、みんな手伝ってくれて、目に見えてそのご縁を感じられたので、そういう意味では励みになった。1人じゃないと気付かさせてもらったし…」
まだまだ続く復旧活動、山崎さんは「やれること」から少しずつ前に進んでいます。