南海トラフ沿いは後発地震発生の可能性が高い「間髪入れず起こる可能性も」

静岡県内でも、いつ起きるか分からない巨大地震。南海トラフ沿いで連続して起きる可能性がある地震への備えを取材しました。

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南海トラフ沿いは後発地震発生の可能性が高い「間髪入れず起こる可能性も」

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 1995年1月17日。

 震度7を記録した阪神・淡路大震災では、神戸市を中心に甚大な被害をもたらし、6434人が犠牲となりました。

 駿河湾から宮崎県日向灘沖にかけてのプレートの境界を震源域とする「南海トラフ地震」。

 静岡県内では、最悪の場合10万5000人が犠牲になると想定され、そのうち津波による死者数は、およそ9万6000人に上ると考えられています。

 一方、県は2020年整備を進めた防潮堤や避難施設が効果を発揮すれば、想定死者数は7割減の3万3000人と試算しています。

 この南海トラフ地震について10日、東北大などの研究チームが、ある研究結果を発表しました。

 南海トラフの東側か西側、どちらかでマグニチュード8以上の地震が発生した場合、もう片方で同じ規模の「後発地震」が発生する確率が1週間以内に最大77%に上る可能性があるということです。

福島洋准教授:
「プレート境界で起こる地震はプレート内部で起こる地震よりも回数が多いので、そういう意味で後発地震の確率というのもプレート境界の方が大きいというところは言える」

 世界の事例を踏まえると、後発地震が起きる確率は100回に1回ほどとされていますが、研究結果によりますと、南海トラフ地震では平常時と比べ、99倍から3600倍高まるというのです。

 気象庁は、巨大地震の可能性が高まった場合に発表する「南海トラフ地震臨時情報」の運用を2019年から開始。

 これを受け県は、臨時情報が発表された場合、後発地震に備えて1週間津波などから逃げることが難しい住民や高齢者などに事前避難を促す住民事前避難対象地域と高齢者等事前避難対象地域を定めました。

県 危機政策課 袴田充哉さん
「伊豆半島の西側だと早いところだと2~3分で沿岸には(津波が)到達するとされているが、漁業とか観光とかの関係があって、防波堤の整備が難しい。逆に浜松市は防波堤の整備や避難タワーの準備が十分に出来ていて、事前避難対象地域を設定していない」

 自治体は対象地域の住民らに対し、津波警報の解除後に浸水想定区域外の避難所や知人の家に移動し、1週間の事前避難をすることを呼びかけています。

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沼津市の場合

白鳥衛記者:
「沼津市戸田です。こちらの地域はすぐそばに海があり、地震が起きた際の津波の到達時間は4分ほどと言われています。ただすぐに避難できる高い場所がないため住民事前避難対象地域に指定されている」

 沿岸部に位置する沼津市戸田。

 このうち小中島、大中島、一色地区の一部は住民事前避難対象地域に設定されています。

 その理由が…

白鳥衛記者:
「先ほど私がいた場所から1番近い津波の避難場所に到着しました。ここまで徒歩で来たが、
 移動には5分ほどかかり、予想されている最短津波到達時間を超える結果となった」

 沼津市は現状、新たに避難施設を作ることが困難だとして臨時情報が出た場合、同報無線やメールなどで住民に避難を促し、被害を最小限に抑えようとしています。

 気象庁や県が後発地震への備えを進める一方、15年にわたり地震の発生メカニズムについて研究を続ける福島洋准教授は、いまだ南海トラフ臨時情報が十分に浸透していないと指摘します。

福島洋准教授:
「後発地震が起こるとすると、間髪入れずに起こる可能性がある。事前避難対象になっていなくても避難をするというふうに決める(とか)、臨時情報が出た瞬間に自分はどうするんだということをシミュレーションして、事前にぜひ準備をしておいていただきたい」

画像: 沼津市の場合