「海水温の上昇」も原因の一つか…サンマが高騰 水温上昇は静岡県のシラス漁にも影響 静岡

 秋に旬を迎える「サンマ」。8月26日に静岡市内の鮮魚店では、早くも北海道で水揚げされた「サンマ」が店頭に並びました。

鮮魚日の出 川瀬真吾代表取締役
Q:サンマ入りましたね?
A.「はい、良かったです。何とか入って」
Q:どうですか、初物は?
A.「まだやっぱり形は小さいですけど、一応、一番大きいサイズをもらいましたし、ここからどんどん大きくなってくれるとは思うので、これからに期待したい。売れ行きは好調です。もう、なくなってしまうぐらいなので」

画像: 「海水温の上昇」も原因の一つか…サンマが高騰 水温上昇は静岡県のシラス漁にも影響 静岡

 静岡市にある「鮮魚 日の出」。一般のお客さんからプロの料理人飲食店まで様々な人が新鮮な魚を買いに来る人気の鮮魚店です。この日は、静岡初入荷のサンマを2kgほど仕入れ、価格は1匹730円。初物ということで、価格は少々高めですが、飲食店関係者が次々と買い求め、2時間ほどで、ほぼ完売状態に。サンマの入荷が落ち着く、9月中旬過ぎには1匹300円~400円で販売できるのではないかということです。

 近年不漁が続く、「サンマ漁」ですが、国の研究機関「水産研究・教育機構」よると、8月から12月までの時期に、日本近海に来遊するサンマの量はおよそ94万トンで、去年と同じ程度の「低い水準」にとどまると予測です。スーパーなどの小売店に並ぶサンマの大きさについても、去年を上回るものの、引き続き小ぶりなものが中心になるといいます。

 漁獲量についても、2008年には全国のサンマの漁獲量は35万トンを超えていましたが、去年は1万8400トンにとどまり、4年連続で過去最低を記録。今年も漁獲量のアップは期待できそうにありません。

静岡市内のスーパーでは…。

ヒバリヤ高部店(静岡市 8月25日)
鮮魚担当 冝保英知さん:「例年だと9月頭、中旬になれば、ある程度の値段で、安定したものが供給できるかとは思っている。昔に比べるとサンマのサイズも小さく、脂ものっていないので、なかなか以前のように美味しいサンマを食べることが出来ない。だんだん良くなっていけばいいが、例年小さいサイズの方が取れる傾向が強いので、脂がのって良いものが安く提供できるか、なかなか難しい」

画像: 静岡市内のスーパーでは…。

客(80代男性)
Q:サンマは安いイメージがあるがだんだん手が届かなくなっている感じはする?
A.「ありますね、去年おととし、もう2~3年、グラム200円以下でないと。ちょっと年金暮らしには大変」

客(80代女性)
Q:サンマが200円だったら買いますか?
A.「まあまあ ねえ~。考えますけど…」

原因の一つは「海水温の上昇」

 手が届きにくくなっている「サンマ」ですが、漁獲量低下の原因の一つとされるのが、「海水温の上昇」。

画像: 原因の一つは「海水温の上昇」

鮮魚日の出 川瀬真吾代表取締役:「毎年この時期海水温は上がってはいるが、今年はやけに高いとは言っていますので、サンマもいつもは北海道の近くまで寄って来ていたが、最近は北海道の方まで寄ることがなくなってきていて、海水温の上昇とかプランクトンとかの流れとかもあるとは思うが、ちょっと難しくなって来たかなとは思う」

 サンマは海水温が低い場所を回遊するため、海水温の上昇は「サンマ」にも大きな影響を与えているようです。

静岡ではシラスが水揚げ半減

 この海の異変による影響は静岡でも…。

画像1: 静岡ではシラスが水揚げ半減

 全国屈指の産地として知られている駿河湾の「シラス」。7月、県内の主要6港で水揚げされたシラスは274トン。6月は555トンで、水揚げ量は半減しています(主要6港:新居・舞阪・福田・御前崎・吉田・用宗)。

清水漁業協同組合用宗支所 村越浩二さん:「今年も3月22日から漁が始まり、大漁という日はほとんどなくて、毎日ぼちぼちという量はあるにはあるが、大漁ではない。たくさん取れていない分、どうしても魚価の方が上がっていて、燃料高騰とかもあり、シラスの仕入れ値が上がった関係で、どうしてもお客さんに提供する販売価格を、今年6月に値上げせざるを得ないところまできた」

 漁協の直売所で、これまで100グラム400円で販売していたシラスは、6月以降、450円に値上げしました。

画像2: 静岡ではシラスが水揚げ半減

 静岡県の水産・海洋技術研究所によると、静岡沿岸の海水温は平年並みかやや高め。断定はできないものの、黒潮大蛇行による海流の影響で静岡沿岸部の海水温が上昇し、
シラスが回遊ルートを変えているか、産卵場所を変えている可能性もあるといいます。

漁師「年々海水温が上がっている」

 シラス漁の漁師も…。

用宗港 伝八丸 斉藤貴浩さん:「去年も暑い時期が続いたが、今年も去年に比べて1℃から1.5℃ほど、海水温が高く、漁師になって15年くらいにはなるが、15年ほど前は、夏場は上がっても26度ほどだったが、最近の海は30℃近く、きょうも28℃、29℃という海域を見たので、やはり年々海水温が上がっているなと感じている」

 シラスはイワシの稚魚で、春はマイワシ、秋はカタクチイワシが主流となります。特に、カタクチイワシのシラスは脂がのり、甘みもあるといいます。海の異変で、サンマ同様、これから旬を迎える「秋シラス」も高級魚になってしまうのでしょうか。

清水漁業協同組合用宗支所 村越浩二さん:「自然相手なので何とも言えないが、ただ待つしかないので、期待するしかない」

   (8月30日放送)