漁協直営店…開店直後には2時間待ち サクラエビ豊漁でにぎわう由比港 静岡市清水区
組合長「この時期にこれだけ大きいエビは最近記憶にない」
静岡県桜えび漁業組合 實石正則組合長:「この時期にしてはまずまずじゃないのかと思う。まだ4回で、この先を語ることはなかなか難しいが、思いがけなく量があるというのが、自分の中では思っている。品質も近年になく、今まででもないぐらいすばらしい品質。この時期にはこれだけ大きいエビで身のしっかり入ったエビというのは僕も最近記憶にない」
春漁の初日となった5日の水揚げ量はおよそ40トン。近年不漁が続いていた中で、去年に比べて44倍という、関係者も驚くほどの豊漁となりました。この状態が、22日までの4回の漁で“続いている”状況です。
地元鮮魚店「観光客が増えている」
由比の鮮魚店からも「うれしい悲鳴」が聞こえてきます。
ヤマボシ鮮魚店 担当者:「おかげさまで豊漁で、お客さんにもいっぱい来てもらっている。観光客の方も増えてきているので、神奈川や山梨の方とかが結構来てくれている。由比が活性化するので、ありがたい」
由比港のすぐ近くにある、創業およそ100年の老舗「ヤマボシ鮮魚店」。こちらの店では以前、生のサクラエビを1パックおよそ1500円で販売していましたが、今年は豊漁となっていることから入荷数が2倍に増え、1パック1000円で販売。例年と比べ、客足は3倍ほど増えたそうです。
午前8時の開店直後から、県内外からのお客さんで賑わいをみせていました。横浜から来たこちらの家族は、生のサクラエビとかきあげを購入。
横浜市から 40代(父):「サクラエビが(豊漁と)ニュースでやっていたので、食べに行こうかと。とりあえず食べに行く前にちょっと買い物を先にした」
横浜市から 40代(母):「朝4時起きて来た。思い切り食べたいと思って、保冷バッグを2つと、車の中にも2つ入れて、いっぱい買って帰ろうかなと」
横浜市から 10代(娘):「サクラエビを食べたいなと思って、(店を探していたら)由比っていう名前でびっくりして、しかもここで大好きなサクラエビが食べられるということで来た。同じ名前でうれしいというか、よかったというか」
女性の名前は結彩(ゆい)さん。同じユイという名前にも惹かれて、はるばる静岡に来たそうです。
結彩さん:「すごく楽しみです」
Q.今年サクラエビが豊漁らしいが?
A.「たくさん食べようと思いました」
漁協直営店は長蛇の列
週末は、サクラエビ豊漁の影響が一目で分かる事態も発生…。漁協直営の「浜のかきあげや」では、開店30分前の午前9時半ごろには、ご覧の人だかり。整理番号の最後尾はこの時点で115番。早朝からサクラエビ争奪戦が繰り広げられる中、「1番」を勝ち取ったのは、こちらの男性です。
神奈川県藤沢市 80代(整理番号1番)
Q.何時にここに着いた?
A.午前5時半。
Q.何時に起きた?
A.午前1時です。午前3時20分くらいに藤沢を出て来た。
Q.1番と分かった時はどう思った?
A.ちょっと早すぎた。
整理番号ギリギリ2桁台、「99番」をとったこちらの家族は…。
東京都から
Q.何時に起きた?
20代娘:「午前5時半です」
50代母:「1時間ほど待つらしい。すごい人いるなと思ってびっくりした。めったに食べたことないので、寿司屋で少し乗ったものを食べるくらいなので、こういうところに来て食べるのは初めてなので、楽しみ」
最終的には開店直前までに、150番までの整理番号が配られました。いよいよ開店、番号順に並ぶと長蛇の列に。最後尾はおよそ90分待ちという人気ぶりです。
店員:「お待たせしました、番号札1番の方から伺います」
4時間半待った整理番号1番のお父さん、ついにサクラエビと対面です。
神奈川県藤沢市から 80代(整理番号1番)
「もうヤレヤレです」
長時間待った早起き組が、続々と「駿河湾の宝石」をほおばります。
千葉県から 6歳(整理番号11番):「おいしいです。もう真っ暗な時間に起きたよ」
Q.「何時くらい?」
A.「午前4時。」
サクラエビファンの朝は早い。そんな中、見覚えのある家族が…。
横浜市から 40代(父):「抜群にうまい」
先ほど鮮魚店で会った結彩さんの家族。実はこちらに午前7時ごろ一度訪れ、整理番号8番をゲットしていたそう。
横浜市から 10代(娘):「今まで食べて来た中で一番おいしい」
かき揚げ丼を食べていたお母さんは…。
横浜市から 40代(母):「とてもおいしくて幸せ」
Q.きょう初めて食べたサクラエビ?
A.「実はさっき、(鮮魚店で買った)娘のかき揚げを一口いただきました。もう待ちきれずに食べました。お店によって味付けが違うと思うので、これもおいしい」
Q.この後の予定は?
父:「由比の料亭にサクラエビを食べに行く。サクラエビづくしの定食があると聞いたので」
母):「(その後)サクラエビをたくさん買って帰る。(夕飯は)家でまたサクラエビづくし」
「どん底からは脱したのかな」
開店後30分、午前10時半ごろには、列はさらに伸び、最後尾は2時間待ちに。いつになく大人気のサクラエビ、気になるのは今後の漁の“取れ高”ですが…。
静岡県桜えび漁業組合 實石正則組合長:「まだ4日しか出漁してないので、この先どうなるかは自然相手だから、なかなか(言うのは)難しいところがあるが、どん底からは脱したのかなと。資源が少しずつ回復している確信から確証に変わってきたという感じはする。ただ、自分たちが目指しているのは、まだまだこんなもんじゃなくて、もっともっと資源を増やしていかないと、また必ず不漁の時が来るので、もっと資源量を増やして安定供給できるような状況にしたい」