一時帰宅が安全確保のため中止 川勝知事「生活再建に全力を」 静岡・熱海市

午後3時過ぎ、被災地では突如、雷を伴った雨が降り始め捜索活動が中断されました。

画像: 一時帰宅が安全確保のため中止 川勝知事「生活再建に全力を」 静岡・熱海市

一時帰宅が突然中止に…

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熱海市
斉藤栄市長:「一時帰宅において、捜索活動に支障きたすとともに帰宅者の安全確保に重大な問題。いったん中止します」
 
 きょうとあす予定されていた「一時帰宅」は、昨夜、急遽中止されることが決まりました。理由は「安全の確保」。きのうの一時帰宅で、立ち入りを禁止していたエリアに避難者が入ったといいます。
 現在の避難者は500人あまり(529人)。市は安全を確保できる方法を再構築した上で一時帰宅を再開させる方針ですが、時期は未定です。
 きょう、帰宅予定だった避難者は。

90代男性:「家がどうなっているか、被害はどの程度なのか、そういうことを確認しに行きたかった」

 こちらの男性も、昨日一時帰宅しました。土石流が発生した時、99歳になる母親を背負って逃げていました。

男性:「靴はいている暇がないから裸足だよね。裸足でとにかく背負って滑りながら(逃げた)。でも怖いとは思わない、必死だから」

 発災直後、命からがらに逃げ出した男性と母親。持っていた物は来ていた服のみで、そのまま避難所の体育館で一夜を過ごしました。きのう、母親の眼鏡や日用品を持ち帰ろうと、ようやく帰宅しましたが…

男性:「これが僕の家の前です。下が土石流のあった場所です。ここから一気に上から土石流が流れて、地獄の光景でした。前の家は2軒とも流されてなくなりました。車はダメになったけど、親子生きてるだけでもね…。まだ生かさせてもらっただけでもありがたい」

 ただ、男性の中には戸惑いも。
 
男性:「申し訳ない気持ちですよね、自分の家だけ残っちゃって」

少し前まであった人々の暮らしが…

重機をいれての復旧作業が進む場所には、ほんの少し前まで人々の暮らしがありました。

亡くなった女性の知人女性
知人女性:「赤い橋の向こう側、建物はないの。」
Qそこに建物があった?
知人女性:「あったの。木造のアパート。遺体が見つかった時はほっとしました。もう一回会いたかったけどね 仕方ないですよね。何回も泣いちゃったけどね」

 こう語るのは、死亡した女性の知人女性。知人女性の雑貨店に客として訪れたことで知り合い、同じ茨城県出身だったことから、以来35年の付き合いでした。

知人女性:「物静かな感じで、穏やかな人です」

 女性とは世間話をしたり、時には2人で車で旅行に行ったりもしたといいます。アパートで独り暮らしだった女性。土石流当日、アパートの大家が避難を呼びかける電話をした際、「わかりました」と返事があったものの、避難しなかったようです。女性は伊豆山港で見つかり、死亡が確認されました。

知人女性:「こんな被害にあうなんて夢にも思っていなかった ましてやあそこ(海)で見つかるなんて思っていなかったです」

須藤誠人アナウンサー:「長い坂道、急な階段が続く伊豆山地区に住む高齢者の方々に昼食を届けにボランティアの方々が回っています」

画像: 少し前まであった人々の暮らしが…

 伊豆山地区では水道、ガスなどのライフラインは復旧しつつありますが、
道路が寸断されたことで未だに孤立している高齢者が多くいます。

Q.買い物に行くっていのうはなかなか難しい?

女性(87):「私足が不自由だから。こうして届けて下さる 本当に有難く感謝いたします」

 中には、家のドアが土砂で塞がれたままの高齢者もいるといいます。細く険しい道が多い伊豆山ならではの地形には、物資を運ぶボランティアも一苦労です。

ボランティア男性:「結局何がどこが必要なのか一番ここをやってほしいってことが地の人間しか分からないので」

菅総理が現地入り、川勝知事は…

画像: 菅総理が現地入り、川勝知事は…

午後2時から定例会見を開いた川勝知事。「被災した住民の生活再建に全力を尽くす」と話しました。

川勝知事:「県では公営住宅、民営の賃貸住宅含めて、けさ確保して合計113戸確保した」

 きのう菅総理が発災後、初めて伊豆山地区の現場を視察し、川勝知事と熱海市の斉藤市長も同行しました。

 視察後の取材で菅総理は―

菅義偉総理大臣(きのう)
「市長からは激甚災害、風評被害、盛り土の研究、なぜ土石流が起きたのか国として言及してほしいと」

 県が被害を甚大化させたとしている、土石流の起点近くにあった盛り土。
土石流の発生と盛り土の因果関係を解明すべく、国も調査に乗り出す方針を示しました。

石田和外アナウンサー:「大量の雨を受け止めきれず、崩れてしまったのは盛り土とされる部分です。山肌があらわになっています。ところどころに白いものが見えます。鉄の柱のようなものも見えます」

 こちらは番組が独自に入手した2010年12月の現場付近の映像です。映像を見る限り、少なくとも9段の盛り土が確認できます。10年以上前、すでに崩落前に近い状況になっていたということなのでしょうか。

 川勝知事は今の県の条例では今回の被害は防げなかったとの認識を示しました。今後はより厳しい条例に改正する方針です。

川勝知事:「行政の限界が条例上、罰則がなかったこともあり、指示にとどまった。結果的に違反が続き、ついに被害になったので誠に残念なことになった」