7月12日静岡県議会で50年ぶりに知事の「不信任決議案」が提出され、わずか1票差で否決
川勝知事 浜松・中区 おととし10月:
「あちらはコシヒカリしかない。だから飯だけ食って、それで農業だと思っている」
おととし10月、参院静岡選挙区の補欠選挙で
候補者にゆかりのある浜松市と御殿場市を比べ、
「御殿場市にはコシヒカリしかない」と言い放った川勝知事。
いわゆる、この「コシヒカリ発言」に端を発し、川勝知事は「自らへのペナルティー」として給与やボーナスの返上を表明していました。
ところが先週、それが実行されていなかったことが発覚。
川勝知事 県庁 11日:
「私は御殿場に対して大変強い愛着をずっと最初から持ってきた。いかにして御殿場を中心にした東部の発展に寄与できるかと」
「これは一貫して変わりませんで、結局返上したい気持ちと、同じ気持ち」
「返上したい気持ちはあった」とする川勝知事。知事が報酬を返上するためには、議会で条例の改正が必要ですが、返上に関する条例改正案は、これまでに議会に提出されていませんでした。
県議会終了せず
そして、12日午前10時半、県議会6月定例会最終日。
川勝知事に発言の機会が与えられました。
川勝知事 県議会 12日午前11時すぎ:
「給与を返上するための条例案の議会への提案に向けて様々な努力や調整をしましたが、議員の方々からの辞職勧告決議は給与返上を求めるためのものではないという考えが給与の返上と自らの責任のとり方には関係性がないとの意見等を踏まえ、当時提案を見送ることといたしました。
給与を返上するための条例案を提案したいとの思いはその後も全く変わっておりません」
「給与を返上するための条例案をご審議いただける環境に変わったと認識いたしました」
次回の9月の県議会で返上のための条例改正案を提出する意向を表明しました。
これにて6月の県議会も閉会、と思いきや…。
自民改革会議 杉本好重県議:
「議長!15番」
議長:
「15番、杉本好重くん」
自民改革会議 杉本好重県議:
「議事進行。ここで暫時休憩を求めます」
自民改革会議が休憩を求めたことで、議会は終了せず、一旦休憩に。
すっかり閉会の気持ちになっていたのか、知事もこの表情。
Q.厳しい声もあったが?
川勝知事:
「・・・(無言)」
その後、議会運営委員会が開かれ、川勝知事に対し質疑を行うことが決定。
各会派が質問の作成に向けて動き始めます。
この質問状をめぐって県議会最大会派の自民改革会議内では、重大な局面を迎えていました。
午後5時半。
自民改革会議はこの日4回目となる議員総会を開きます。
ここで「不信任決議案」を出すことを決定。
本会議再開
そして午後6時40分。本会議が再開。
自民改革会議 伊丹雅治県議 午後6時40分:
「この条例案については知事が提出しようと思えば提出できたわけで、提出を見送ったのは、あくまで知事自らの個人的な判断であります。
これまで給与返上して来なかった理由を議会の責任とするのであれば、それは全く筋が違います。
今回の騒動がなければ黙っているつもりだったとすれば、批判を避けるためのその場しのぎの発言であったということになります。
県民に対して責任を果たしたと考えるのか。
また、今後についてどのように身を処して行くつもりなのか答弁を求めます。」
川勝知事 午後6時40分ごろ:
「給与返上をお認めいただいたとしても、知事の職にある限り県議会から辞職勧告を突きつけられたのであることに変わりはありません」
一方、川勝知事を支える県議会第二会派のふじのくに県民クラブは…。
ふじのくに県民クラブ
伴卓県議 午後6時40分:
「給与を返上するための条例案を提出した考えについては全く変わりありませんと知事は答弁をされています。
我が会派としては、その後の知事の考えは一貫して変わっていなかったとの認識であります」
川勝知事 午後6時40分:
「当時、給与返上するための条例案の県議会への提案に向けて様々な努力や調整を行いました。県議会においてご審議頂ける状況になれば、提案する意向でございました。」
「不信任決議案」提出そして…
根方ゆき乃記者: 午後10時
「まもなく午後10時を迎えます。本会議が休憩に入ってから3時間以上が経過しますが本会議はまだ再開されません。」
午後10時を過ぎたころ、大きな動きが。
増田享大代表 午後10時ごろ
「提出時の発言」
県議会最大会派、自民改革会議の増田代表は、
実に50年ぶりとなる知事に対する「不信任決議案」を議長に提出しました。
不信任決議案の可決には、議長を含め議員の3分の2以上が出席し、出席者の4分の3以上の賛成が必要で、51票が可決のラインとなります。
会派は自民が40人、公明党県議団5人、無所属5人、知事に近いふじのくに県民クラブ18人です。
可決するには、自民・公明・無所属の全ての議員が賛成しても1人足りません。
そのため自民の県議によるふじのくにへの切り崩しが行われていました。
日付は変わって
西尾梓アナウンサー 午前0時:
「午前0時すぎです。現在議会は休憩中となっていて午前0時半ごろに再開する。再開後は各会派による討論が行われる予定です」
午前0時半
厳しい表情で議場に向かう川勝知事。
そして、議場では採決を前に討論が行われました。
知事を支持する県議会第二会派のふじのくに県民クラブ。
ふじのくに県民クラブ 田口章県議:
「決議案に記載されている4つの発言を時系列に並び変えると何の矛盾もない。
知事が給与返上のために条例案の提出を模索したのは事実。 水面下での作業だったため、 公表できなかったことは誠に残念ですが、これは紛れもない事実であり、当時の自民改革会議の幹部の皆さまはご承知のことと存じます」
いよいよ不信任決議案の採決です。
賛成は白、反対は青を投票します。結果は…。
議長
「開票の結果を報告します。投票総数68票、うち賛成50票、反対18票、以上の通りであります。よって川勝平太知事に対する不信任決議案は否決されました。」
この結果に各会派は…。
増田享大代表:
「目的が達成できなかったことが非常に残念に思っている」
Q今後も辞職を求めていくスタンス?
「その姿勢には1ミリも変わりはありません」
ふじのくに県民クラブ 田口章会長:
「不信任決議を提案をされたということも、まあ重たい事実ですので、まあこれは知事にもあのしっかりあのまあ踏まえて、これからコミュニケーションをとっていただきたいなと思います。」
そして一夜明け川勝知事は…。
川勝知事 13日 午前11時ごろ
「残念ながら結果は票が足りなかったので、私はこの職務に専念すると。この決意は変わりません。とりあえず9月に一昨年の12月の俸給を県民の為に使ってくださいということで、それの条例を出すということを明言致しましたので、それが通るか通らないかどのような形で、それぞれの会派の方たちが筋を通されるのか。その辺のところをみんな見てますので、これまで非常に薄かったそれぞれの会派の幹部の方たちとのコミュニケーションをですね。こうしたものをを深めていきたいというふうに今は思っております。」
Qあと一票で可決というところまで行きました。
その重みについてはどういうふうに受け止めている?