コロナ飲み薬、薬局の備蓄「3人分」まで…薬局間の譲渡も禁止 クラスターに対応できない 静岡県担当者「せめて譲渡は認めて」

西尾梓アナウンサー:「現在の第6波で感染者が急増したことで、県は高齢者施設で感染者が出た場合、軽症者は施設で療養するよう要請しています。その施設内療養において課題があるといいます」

「早いほど効果がある」

画像: 「早いほど効果がある」

 静岡市の薬局にあったのは、新型コロナの飲み薬「モルヌピラビル」です(商品名「ラゲブリオ」)。こちらの薬局でも2月、医師の処方を受けた施設から飲み薬の依頼があったそうです。

Q.処方しようとなってから施設に行き渡るまでの日数はどのぐらいでしょうか?

薬局 担当者「在庫があれば、だいたい1時間以内にはお届けできるかと思います。早ければ早いほど効果が期待できますので、できるだけ迅速にお届けしたいと考えております」

 こちらでは薬剤師が出向いて、施設の職員に薬の説明をしているそうです。

61歳以上の軽症患者、発症から5日以内の服用が条件

画像: 61歳以上の軽症患者、発症から5日以内の服用が条件

 現在の第6波で感染者が急増し、病床がひっ迫していることもあって、静岡県は施設で感染者が出た場合、軽症であれば入院せず施設で療養するよう求めています。

 施設にとどまるにあたって、重要になるのが飲み薬というわけです。国内で主流となっている「モルヌピラビル」は、61歳以上の軽症患者が処方対象で、発症から5日以内の服用が条件となっています。

 施設で感染者が出た場合には速やかな投与が必要となりますが、その供給に課題があるというのです。

薬局 担当者:「3人分が備蓄として認められていますが、それを超える人数になりますと、1つの薬局では賄えなくなります。今のところはだいたい、週に1人か2人ぐらいの陽性者の方に、モルヌピラビルをお届けしているんですけれども、やはり例えばクラスターで10人が陽性で届けてくださいと言われてしまうと、3人分では賄えないので、そこのところを懸念しています」

施設でクラスターが発生すると薬が不足する懸念も

 現在、1つの薬局で認められている在庫は3人分まで。施設がクラスターとなり、患者が一度にたくさん出てしまうと薬が不足してしまうのです。

 そもそも国内の流通量が限られる中、薬局同士、あるいは薬局と病院の間で薬を譲渡することは認められていません。この点でも必要な患者に速やかに薬を届ける難しさがあります。

画像: 施設でクラスターが発生すると薬が不足する懸念も

 静岡県の担当者は「供給量を増やして各地に十分な在庫を置けるのが理想だが、国はせめて薬局間での譲渡ができるように改定してほしい」と訴えます。

 こちらでは、今のところ注文の翌日、遅くても2日後には飲み薬が届いているそうです。ただ、供給が遅れたり、需要が急増したりする可能性もあり、懸念は残ります。

薬局 担当者:「クラスターに対応するには一つの薬局で、ある程度備蓄できないと迅速に対応できないので、安定した供給が望ましいと考えています。供給の数が増えれば柔軟に対応できることが多くなりますので、やはり早急にいただけると、本当に助かると思いますし、譲渡に関しても、ある程度柔軟に、制度が整えば近隣薬局と協力して行うことができますので、それが望ましいかと考えます」