【異変】上海便再開、国慶節で大型連休…中国人観光客の増加期待も相次ぐ「キャンセル」 そのワケとは 静岡県
9月29日から始まった中国の国慶節に伴う大型連休。日本への観光客も多い中、中国人旅行者が口にしたのは、「処理水」をめぐる動きでした。
3年7カ月ぶりの再開
司会:「静岡‐上海線、運行再開、おめでとうございます。どうぞ!」
9月24日、静岡空港で行われたのは、3年7カ月ぶりとなる中国・上海線の定期便再開の記念式典です。午後2時すぎには上海から再開後初となる第1便が静岡空港に到着。
中国からの旅行者:「富士山の周り、伊豆半島も行きます。ゆっくり温泉楽しみたい」
静岡空港では新型コロナウイルスの影響により、2020年2月から全ての中国便の運航を休止していましたが、今回再開された上海便は金曜日と日曜日の週2便運航されるということです。
富士山静岡空港 西村等社長:「中国東方航空の上海路線は、富士山静岡空港では本当に主力な路線なので、週2便ではあるが再開していただいたことに感謝するとともに、非常にうれしく思っている」
定期便の再開に伴い、中国人観光客の増加が期待されますが、県内の観光地では“ある異変”が起こっていました。
観光地での『異変』
静鉄リテイリング 川﨑怜さん(玉露の里 藤枝市 9月26日):「250人ぐらい来る予定だったのが、ほぼキャンセルになってしまった」
こう話すのは藤枝市にある道の駅「玉露の里」を管理運営する静鉄リテイリングの川﨑さん。玉露の里では隣接する茶室で気軽に日本の文化を楽しめる茶道体験が外国人観光客に人気だといいます。8月、中国政府が日本への団体旅行を解禁したことで、茶道体験を目的とした中国からの団体予約が増加しました。
静鉄リテイリング 川﨑怜さん:「その頃から10月の国慶節(中国の大型連休)辺りの予約が増え始めて、10件を超えるぐらいの予約をいただくようになった。コロナ前と比べるとやはりまだ完全に戻ったという量ではないが、やはり(団体旅行が)解禁されたことによってインバウンドのお客様が増えた印象はあった」
上海便の再開に大きな期待
コロナ禍前まで来館客のおよそ4割を占めていたという中国人観光客。玉露の里では、団体旅行の解禁と合わせて上海便の再開に大きな期待を寄せていました。
静鉄リテイリング 川﨑怜さん:「交通手段が増えるというのは、旅行者の方々からしてもありがたいことだが、観光施設を運営している我々にとっても、日本に来てくれるお客様自体が増えることにもなるので、玉露の里にも来てくれるお客様が増えるのではないかという期待は確かにあった」
相次ぐキャンセル
ところが、その期待とは裏腹に“処理水放出”のニュースが大きな影響として降りかかってきました。
静鉄リテイリング 川﨑怜さん:「便が開通されても、(処理水放出の)問題がクリアにならないと、お客様としても来るのがちょっと難しい印象がある。(旅行客が)集まらなくてツアー会社がツアー自体をキャンセルした」
例年、国慶節に伴う連休には、玉露の里にも多くの中国人観光客が来館していたといいますが、10月末までの団体予約およそ13件のうち11件、200人以上の来館が突如キャンセルとなりました。都内や京都など、国内の有名観光地には中国人観光客が戻りつつありますが、静岡県内の一部ではまだまだ道半ばの現状がありました。そんな厳しい状況の中ですが、玉露の里では中国人観光客を取り込もうと、工夫もしているといいます。
静鉄リテイリング 川﨑怜さん:「こちらが外国人観光客の皆様向けのお茶の説明の掲示になります。こちらの施設に来ていただいた(外国の)お客様は、よくここで立ち止まって見ている姿をよく見る」
玉露の里では、売店にお茶の種類や入れ方などを中国語で説明した掲示板を設置するなどして、引き続き中国人観光客を迎え入れる準備をしています。
静鉄リテイリング 川﨑怜さん:「こちらはいつ来ていただいても、変わらず良いサービスが提供できるように準備を続けていくことが大切だと思っている。直接、玉露の里や観光地に問題があって来てもらえないという話ではないので、やっぱり来ていただいたお客様を大切におもてなししていければと思う」
これまで県内にも莫大な経済効果をもたらしてきた中国人観光客。処理水をめぐる“正しい情報”だけでなく、観光地側も“魅力的な情報”を発信することが、この先求められていきそうです。