地元の水と大麦で…キリンが新たなウイスキーづくり始める 「日本人の嗜好にあったウイスキー目指す」 静岡・御殿場市
静岡県御殿場市でおよそ50年間、ウイスキーづくりを行っているキリンの富士御殿場蒸溜所。4日、こちらでは御殿場市の新たな名産品を生み出すあるプロジェクトが始まりました。
堀優奈アナウンサー:「フルーティーないい香りがします。こちらのウイスキーがつくられている御殿場の蒸留所では、今回、御殿場の水と大麦を使用した新たなウイスキーづくりの挑戦が始まったということなんです」
富士御殿場蒸溜所は原料や蒸留方法の違う2種類のウイスキー、モルトとグレーンの原酒を製造していて、仕込みからボトリングまでを一つの場所で行っている世界的にも珍しい蒸留所です。
富士御殿場蒸留所は今年で50周年。その節目に市内を流れる富士の伏流水と御殿場の休耕田を利用して育てた大麦を使った、まさに御殿場づくしのウイスキーづくりが始まることになったのです。
キリンディスティラリー 押田明成代表取締役:「我々が目指したのはスコッチでもバーボンでもなく、日本人の嗜好にあったウイスキーをつくる、これを目的にやってきた。一言で言うと、クリーン&エステリー。日本語で言うと雑味がない、清らかな味わいとフルーティーで華やかな香りのウイスキー。これをつくりたいと50年間やってきた」
実は国内のウイスキーの消費量は、40年前の1983年をピークに減少傾向。現在は徐々に回復していますが、まだまだピーク時の消費量には達していないのが現状です。
そうしたなか、今回、満を持して挑戦が始まったのが、御殿場の水と御殿場の大麦を使用した“御殿場産のウイスキーづくり”なんです。
堀アナ
「こちらが会場で振る舞われた熟成前のウイスキーです。無色透明でかなり酸味の強い香りがします。熟成前のお酒を飲むのは初めてです。いただきます。穀物のような甘さを感じつつも、後味はすっきりとしていて思っていた以上に飲みやすいです。これが大人の味なんですかね」
御殿場市の新たな名産品として注目があつまるこのプロジェクトに、地元からも期待の声が…。
JAふじ伊豆 梶毅組合長:「この御殿場にとって一つ、大きな節目になるのかなと。農家生産者も非常にこのことについては期待を寄せている」
静岡・御殿場市 勝又正美市長
Q.先ほど試飲をしていたが、味の感想と期待感は?
A.「突然の試飲だったが、香りは素晴らしく、きょうはあまり飲めなかったが素晴らしい香りでした。この高原で育った大麦から素晴らしい技術でモルトウイスキーができるということ、農業から産業へ広がっていく、御殿場市の活性化につながると非常に期待しているので、本当に楽しみにしている」
そしてこの日は、この新ウイスキーを熟成するための樽詰め式も行われました。熟成前のウイスキーは、市販のウイスキーのようにアルコール度数を調整していないため、度数は60%以上と高め。今後、完成品の度数については、調整を重ねながら検討していくということです。
期待と注目が集まる今回の“新たなウイスキー”。完成には時間がかかるようです。
キリンディスティラリー洋酒生産部 藤田聖さん:「私も初めての取り組みなので、どれだけ寝かせればいいかというのはこれから見定めていかなければならないが、やはり最低5年以上は寝かせて、皆様にお届けできればと考えている。本当に御殿場らしい、御殿場を思わせるようなウイスキーになればと」
(12月4日放送)