緊急事態宣言の再延長で観光地は…地元「とても不安」 観光客「新幹線ガラガラだし安全」 静岡・熱海市
中野結香アナウンサー:(JR熱海駅前 1日午前10時ごろ):「先週、政府は東京を含む9都道府県の緊急事態宣言の延長を決定しました。首都圏から近いここ熱海市では、宣言延長の影響なのか、大きな荷物を持った観光客の姿はあまり見られません」
観光客「新幹線もガラガラで安全」
首都圏からの観光客が8割を占める、県内有数の観光地・熱海。緊急事態宣言の再延長初日のきょうは、平日ということもあり観光客の姿はまばらでした。
ただ、中には首都圏から来たという人も。
東京都から 90代女性:「妹と2人でお互いにシングル。旦那がそれぞれ旅立ったから暇でしょ。遊ぶ人がいないから、ここに来て休養しているの。妹は東京に行くのが嫌だというから。去年は怖かった、電車に乗るのが。だけど新幹線なんかもガラガラだし、混雑した電車に乗らないから安全ですよ、しゃべらないし一切食べない。あとホテルに行ったら部屋の中ばっかりで、ゆっくり温泉に浸かっているからいいと思いますよ」
神奈川県から 70代女性2人組:「ジャカランダの花がちょうど見頃だというので、花を見たくて来ました。近場でちょっと気分転換という意味では、熱海が来やすいかなと」
三島市から 70代:「緊急事態宣言が出ているのは東京ですよね、横浜…神奈川県はまん延防止ですよね 静岡は出ていないですよね、そういう意味で静岡だからっていうので選んだ。都内から動くのはちょっと考えます、都内に行くとかね。ワクチンを1回打っているので、それで少し安心感はあるんですけど」
千葉県から 50代女性:
Q.きょうはどこから来た?
A.きょうは(千葉県)船橋の方から。(気温が)暖かいし、ぶらぶらするのにいいかなと思って、東京で1回乗り換えるだけなので、すごく便がいいなと。もう2年ぐらい我慢していた。だから比較的空いている昼間を選んできた
Q.平日の空いている時間を選ばれた?
A.それはありますね。あまり接触がないようにとか。
土産店「とても不安…」
商店街では、ところどころ休業中の店が…。元々はゴールデンウィーク中の短期集中のはずだった宣言も2回目の延長となり、熱海の観光業でも先行きの不透明さは増す一方です。
干物を販売する土産店では…
Q.緊急事態宣言の延長その影響は?
A.すごく受けている。人もまばらだし以前は結構人通りも良かったんですが特に若い方が少なくなってきました。
Q 週末の人出は?
A.すごく少ないです。1割2割ぐらいになっている。人が多ければいいというわけではないですが、こんなご時世ですから。でもやっぱりいないとね、生活していくのは大変です。
こちらの店では去年4月に出された1回目の緊急事態宣言以降、客足の減少に歯止めがかからず、今は店を開けても赤字状態が続いているといいます。そこに追い打ちとなる宣言の延長ですが…。
土産店:「とても不安です。またこの先20日過ぎて、また延長になったらどうしようという考えはある。死活問題ですよ。でもやっぱり怖いですからね。ちゃんとした措置をとってもらわないといけないと思いますし、(宣言の延長は)仕方ないかと思います」
ホテル 旅先で仕事する「ワーケーション」需要の取り込み狙う
一方、市内にあるこちらの宿泊施設。宣言延長の影響について聞くと、今回はこれまでとは異なる状況だと言います。
ホテル
「今までのように緊急事態宣言が出たから一斉にキャンセルといった状況はなかったです。もしそうなっても、個々の判断で旅行に行くと決めているのかなと思う。でも予約の動きがとても悪い。出掛ける方が少ないというのは実際感じている。宿側の判断としてこの状況で営業できるのかどうかと日々模索しながら、できる範囲での営業に務める。その中で宿は経営を維持できるように何とか資金もうまく回してやっていくといった工夫も必要なので、緊張感のある毎日を過ごしています」
熱海市では、緊急事態宣言中でも5月のゴールデンウィーク中には賑わいを見せましたが、この時期は夏の行楽シーズンを前にした閑散期。宣言が出ていることもあり、こちらの宿では例年と比べても客足が減少しているといいます。それでも、苦境が続く中で新たな取り組みを始めています。
ホテル
「日中、お子様と奥様が出掛けられてご主人様だけが部屋で仕事をしている。そういった景色を数多く見ているので、ワーケーション、これからは仕事もできるレジャーの施設を目指していくべきかなと思っている」
旅先で仕事をする「ワーケーション」の需要を取り込もうと、来月から部屋のネット環境を充実させる改装工事を行うことを決めました。
ホテル
「まず一つは会社のグループでワーケーションで来るとすれば、温泉に入って海を見て頭の中をリフレッシュして新しい発想で新しい企画ができる。家族で来る場合は、家族サービスと仕事が両立できるといいますか、両方の視点から利用可能なようにセットアップを考えていきたい。過去の歴史をみても、熱海会議なんてものも昔はあったようですが、やはりそういう観光地・旅館でガチャっと缶詰めになって集まってものを考えるというのは、これからさらに増えるのかなと、需要は多くなると思っている」